世界平和アピール七人委員会は2月26日、第2回米朝首脳会談が27、28日にハノイで開かれるのを前に、朝鮮半島、アジア、全世界の平和と安定を求めるアピールを発表した。
世界平和アピール七人委員会は1955年、ノーベル賞物理学者湯川秀樹ら七人により、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならないを原則に、日本国憲法の擁護、核兵器禁止、世界平和の実現などについて内外に向けてアピールを発表してきた。今回のアピールは132回目。
現在の委員は武者小路公秀(国際政治学者)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者・慶応大学名誉教授)、池内了(宇宙物理学者・総合研究大学院名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学・上智大学教授)。
以下はアピールの全文。
朝鮮半島・アジア・全世界の平和と安定を求め、
第2回米朝会談に期待する
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進
米国のトランプ大統領と、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩委員長の第2回会談が2月27、28両日に開かれる。私たち世界平和アピール七人委員会は、第1回米朝会談に対しても期待を表明した。改めていま米朝両国が、朝鮮半島の非核化・安定化、日本を含むアジア、さらに全世界の平和と安定に向けて、着実な歩みを進めていくことを期待する。
会談の成功のためには、双方が支障になる行動を慎まなければならない。私たちの懸念は、2月2日の米国のINF(中距離核戦力)全廃条約離脱通告と、それに対するロシアの義務履行停止である。私たちは、1988年6月の発効以来、世界の緊張緩和と冷戦終結の実現に貢献したこの条約が、中距離及び準中距離核ミサイルと重なる役割を持つ「潜水艦発射弾道ミサイルまたは巡航ミサイルを装備した潜水艦」の規制を含む核軍縮につながることを期待してきた。 米国は新たなミサイルの研究・開発に着手すると明言し、ロシアのプーチン大統領も対抗手段の研究・開発を進めることを承認したが、これは世界最大の核兵器国である両国が、「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を負っている核兵器不拡散条約にも違反するものであり、他国の軍拡を誘発する危険性が大きい。私たちは両国の再考を求める。
再考が米朝関係の改善に貢献することは間違いない。一方、米朝会談の成功は世界の緊張緩和にプラスになる。私たち世界平和アピール七人委員会は、米国と北朝鮮が、朝鮮半島の非核化に向かう更なる一歩を進め、他の核兵器国とともに核兵器のない世界にむけて行動を起こすよう改めて要望する。
連絡先:http://worldpeace7.jp
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