「金(ゴールド)」の売り叩き
「2月29日」に起きたことは、「ヨーロッパのLTRO(長期資金供給オペ)」と呼ばれるものであり、同時に、「金や銀などを、大量に売り叩いた」ということである。具体的には、「12月21日」に続き、再び、「約57兆円もの資金を、3年間、1%の金利で多くの銀行に貸し与えた」というものであるが、このことは、典型的な「問題の先送り」であるとともに、「借金爆弾の規模を、大きくする効果しかない」とも言えるのである。
つまり、最後には、「すべての借金を、紙幣の増刷で賄えばよい」というような考えにより、「できるだけ、時間稼ぎをしたい」という思惑が存在するようだが、常識から判断できることは、「借金爆弾の破裂時期が遅れれば遅れるほど、破裂した時の衝撃が大きくなる」ということである。そのために、海外の投資家は、ほとんどが、「金融システム」や「通貨制度」の破綻を予想し、「実物の金や銀を買い、6か月分の食料を備蓄する」ということを、今まで以上に切実に訴え始めているのだが、日本においては、残念ながら、ほとんど理解されていないようである。
そして、実際に大事件が起きると、今回の「AIJ投資顧問の詐欺事件」と同様に、大慌てしながら、「こんなはずではなかった」と嘆くことになるようだが、「どのような時代においても、同様の悲劇が繰り返されている」とも言えるようである。そのために、「過去に学び、将来に備える」ということが必要とされているものと感じているのだが、今回の「金の売り叩き」に関しても、「過去11年間、ほとんど、同じことが繰り返されている」という状況になっているのである。
つまり、「2001年の250ドルから、昨年の1920ドルにまで上昇する過程」において、きわめて大きな規模の「金の売り叩き」が起きており、そのために、本来あるべき価格からは、はるかに低い水準に「金価格が放置されている」ということである。しかも、「世界の資金量」を考えると、「過去10年ほどで、大量の資金が創出された」ということも理解できるために、より一層、「貴金属の価値」が高まっているのだが、この点については、「はっきりとした形で大事件が起きない限り、ほとんどの人には理解できない」という状況が考えられるようだ。
そして、このことは、「2011年の大震災」の時と同様に、「大事件の後に、人々の意識が様変わりになる」ということでもあるが、このような観点からは、余計な警告は無用であり、返って、人々の「気付き」の妨げになる可能性もあるようだ。(3月7日)
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年金の闇
「AIJ投資顧問の詐欺事件」には、たいへん驚かされたが、その理由としては、「これほど単純な詐欺事件に、多くの年金基金が騙された」ということであり、また、「社保庁から年金基金への天下りが、きわめて大きな規模だった」という点が挙げられるからである。そして、このことは、「中小企業による総合型の年金基金」だけでなく、その他の、いろいろな年金基金にも、同様の状況が考えられるようだが、基本的には、国会での答弁からも明らかなように、「日本の年金は、ほぼ破綻状態であり、また、その他にも、多くの闇の部分が存在する」とも言えるようである。
そして、この事件で明らかになったことは「デリバティブ」の問題でもあるが、実際には、「政府やメガバンクの主導により、はるかに大きな規模で、デリバティブが取り引きされている」とも言えるのである。具体的には、「約6京円」とも言われる「デリバティブ」が、先進諸国に存在し、金融政策に、大きな影響を与えているのだが、このことは、「国債の買い支え」や「為替の介入」などに関して、「我々の想像を超えた規模で取引が行われている」ということである。
しかし、「権力の暴走」というものは、時として、予想以上の力を発揮することにも間違いはなく、そのために、いろいろな「歪み」がうまれてしまったようである。具体的には、「長期間にわたる異常な低金利」のために、「表面上は高利回りの金融商品に、多くの投資家が飛び付かざるを得なくなっている」ということである。つまり、現在では、いろいろな詐欺事件が、数多く起きているのだが、ほとんどの場合において、「常識で判断すれば、このような利回りが払えるはずがない」ということが明らかだからである。
また、「なぜ、このような異常な低金利が、世界的に継続しているのか?」という点については、やはり、「世界的な国家財政問題」が指摘できるのだが、それは、「金利を上げると、国債価格が暴落する」という状況のことである。そのために、先進国の政府は、大量の資金供給を行い、「国債の買い支え」を行っているようだが、同時に起きていることは、「株式や商品の価格を下げることにより、表面上のデフレを演出する」ということである。
しかも、「デリバティブ」を使うことにより、きわめて大きな「レバレッジ(テコの効果)」が効いているようだが、今後、年金に関して考えられることは、「ほとんどの資産が、国債になっている」ということであり、実際には、「国債価格が、世界的に暴落する」という状況に見舞われた時に、本当の「年金の闇」が明らかになるものと考えている。(3月7日)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0823 :120324〕