野田首相の自爆テロ解散
11月16日に、野田首相が「衆議院の解散」を行ったが、このことは、「バカ正直解散」や「破れかぶれ解散」、あるいは、「自爆テロ解散」とも呼ばれているようだ。しかし、実際には、首相就任直後から危惧されていたように、「実務経験の少ない政治家が、自分の考えに固執して日本全体を混乱状態に陥れた」という状況でもあったようだ。つまり、以前の「永田議員の偽メール事件」と同様に、根拠のない考えを貫き通し、結果として、「民主党の崩壊」だけではなく「日本の崩壊」までをも引き起こす可能性が出てきたということである。
具体的には、「消費税の増税を実現すれば、問題はすべて解決する」というような考えに囚われ、「原発問題」や「東北の復興」などを無視したという状況でもあったのだが、実際に起きたことは、「日本の国家財政問題」を先送りすることだけに奔走し、「問題の本質から目をそむけた状態」でもあったようである。つまり、「国家の借金爆弾」については、規模を大きくするだけであり、「本質的な解決を怠った」ということだが、この結果として起きたのが、いわゆる「赤字国債発行法案の問題」でもあったのである。
別の言葉では、「40兆円強の税収」に対して「90兆円以上もの歳出」という、「誰が見ても、行き詰りが見えている問題」に対して、「根本的な解決策」ではなく、「消費税の増税という小手先の解決策」を選択したということである。そして、この点については、いわゆる「ポピュリズム(大衆迎合政策)」の問題も存在するようだが、これから問題になるのは「政治の混乱が生み出す通貨の信用失墜」だと考えている。
つまり、「自民党はこりごり、民主党はうんざり」というような報道からもお分かりのように、「日本国民は、政治家に対して、完全に信頼感を失った」という状況の後に、どのような展開が待っているのかということである。別の言葉では、「ばら撒き政策を行う政治家を選択し続けてきた日本人にとって、これから、どのような状況が待っているのか?」ということだが、歴史の教訓から考えられることは、やはり、「国民全体が、今までのツケを払う」ということである。
具体的には、「数年前のジンバブエ」や「20年ほど前のソ連」、あるいは、「終戦直後の日本」のように、「膨れ上がった国家の借金を、全て、紙幣で返済する」ということである。そして、今回の解散については、このような状況を引き起こすキッカケとなった可能性があり、実際には、「日本の自爆テロ解散」とも言えるようである。(2012.11.17)
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スカイネットの崩壊
最近、海外では、「スカイネットの崩壊」という言葉が使われ始めているが、この「スカイネット」というのは、映画の「ターミネーター」に出てくるコンピューターの名前のことである。そして、映画の中では、「大量のロボットをコントロールし、人類の滅亡を図っている」という状況が、近未来の姿として描かれているのだが、まさに、世界の金融界では、「コンピューターを駆使した大量のプログラム売買により、ほとんどの市場がコントロールされている」という状況にもなっているのである。
つまり、今年話題になった「LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作」のように、数行のメガバンクが、「デリバティブ(金融派生商品)」などを駆使することにより、「金利」のみならず、「為替」や「株式」、そして、「商品市場」までもが、「ロボット取引などにより、コントロールされている」ということである。しかし、この点については、「目に見えない金融戦争」のために、ほとんど知らされることもなく、また、多くの国民は、「ゼロ金利政策」に対しても問題視することなく、単に、「景気が回復すれば、世の中はよくなる」と考えているようにも思われるのである。
しかし、これからの展開として考えられることは、前述のとおりに、「スカイネットの崩壊」ということであり、結果として、「さまざまな金融コントロールが効かなくなる」ということである。つまり、今後は「金利の急騰」や「円安」の状況が予想されるのだが、このことが意味することは、「目に見えない二つの金融ツインタワーが崩壊する」ということであり、実際には、「デリバティブ」と「国債」に関して、歴史的な崩壊局面を迎えるということである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降に起きていた「世界的なマネーの大膨張」が、いよいよ、終焉の時期を迎えるということだが、この時に考えなければいけないことは、「1971年以降の約40年間に、世界がどのように変化したのか?」ということである。つまり、「マネーの大膨張に踊らされて、世界中の人々が、我を忘れた状態に陥っていたのではないか?」ということだが、このことは、「お金さえあれば、何でもできる」と錯覚した状況のことである。
より具体的には、「現在の金融資産が、実は、絵に描いた餅にすぎない」という点に気付いた時に「現代人が、大きなショックを受ける」ということだが、実は、その時から、「新たな時代」が始まることも予想されるのである。(2012.11.16)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/ja/column.html を許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1082:121127〕