政官業の癒着
「原発問題」については、現在、さまざまな事実が明らかになっており、この時に、「どれほど、政官業の癒着が起きていたのか?」ということが、全ての国民に理解され始めている。そして、「国民の怒り」に関しても、暴発寸前の状態になっているようだが、現時点で、必要な事は、「福島原発問題を一刻も早く解決し、放射能汚染の問題を取り除く」ということだと考えている。しかし、現在の民主党にとっては、「一日でも長く、政権を維持する」ということしか、頭にないようにも感じられるのである。
つまり、旧来の「癒着の構造」を維持し、問題の先送りを目論んでいるようにも見えるのだが、このことが、東北地方の復旧に関して、進展が遅くなっている理由とも言えるようである。別の言葉では、「国民のことを無視して、自分の地位だけを考えている」ということが、「政治の混迷」を生み出している可能性があるのだが、この点については、より大きな「政官業の癒着問題」が、今後、明らかになるものと考えている。
つまり、「原発問題」というのは、「実体経済に関する問題」なのだが、今後、大きな注目を浴びそうなのが、「金融に関する問題」であり、このことは、「預金や保険、あるいは、郵貯などの資金が、どのように使われているのか?」ということである。より詳しく申し上げると、「国民の預金などが、今までに、どのように使われてきたのか?」ということであり、「この実情が、広く国民に知れ渡った時に、どのような事が起きるのか?」ということである。
より詳しく申し上げると、現在の「世界的な金融混乱」が、今後は、「金融システム」や「通貨問題」にまで発展し、その時に起きることが、「日本の財政問題は、本当に大丈夫なのか?」という議論だと思われるのである。つまり、「アメリカは、この問題を真剣に議論しているが、日本では、原発問題同様に、ほとんど無視されているのではないか?」という疑問のことである。
このように、今回は、「1971年に操業を開始した福島原発」が問題を起こし、次には、「1971年のニクソンショックから始まった、現在の金融システムと通貨制度」に、問題が発覚するものと考えているが、残念ながら、この点を理解する人は、まだ少ないようである。そのために、「今後の混乱が、どれほどの規模になるのか?」を、深く憂慮しているのだが、唯一の救いとなるのは、「現在は、混乱の最終段階に入った可能性が高い」ということである。(8月7日)
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2008年と2011年
2011年の8月は、「8月5日の米国債格下げ」や「8月9日の株価急落」に象徴されるように、大荒れの相場となっている。そして、多くの人は、「2008年のリーマンショックのような状況となり、再び、株価の暴落が起きるのではないか?」と考えているようだが、「2008年」と「2011年」とを比べると、大きな違いが存在し、実際には、「まったく逆の動きになる」ということが想定されるのである。そして、この点については、海外のマスコミでも、理解が深まってきたようだが、具体的には、「ウオール・ストリートジャーナル紙」にも、次のような指摘がなされているのである。
つまり、「三つの違い」ということだが、最初の違いは、「2008年」は、「民間企業や民間銀行の問題だった」という状況だったのだが、今回は、「政府の信用が失墜している」ということである。そして、二つ目の相違点は、「国民の意識」が述べられているのだが、今回は、2008年とは違い、「貯蓄率の上昇などにより、株価急落時の被害が小さい」ということである。また、最後の点は、「2008年の時に行われた政策が、今回は、機能しない」ということだが、このことは、「金利の下げ」や「流動性の供給」などが、「もはや、使えるような段階ではない」ということである。
しかし、現時点で起きていることは、「株価の急落」であり、かつ、「金利の急低下」というように、「表面上は、2008年の動きと酷似している状況」でもあるのだが、このことが意味することは、「間もなく、この相違点が、世界的に認識される」ということでもあるようだ。つまり、「2008年の残像」が消えた時に、「問題の本質」が明らかになり、その時には、「国債を、誰が買っているのか?」、そして、「これから、誰が、どのようにして、資金を供給するのか?」という疑問点が出始めるということである。
そして、人々の理解が進んだ時には、「大量の資金が、一斉に、貴金属などの商品に向かう」という状況が想定されるのだが、このことが、現在、「金価格が史上最高値を更新し、外資系証券会社が、年内にも2500ドルに達するのではないか?」とコメントした理由とも言えるようである。つまり、今回は、「政府の金融政策が、完全に行き詰った」という状況であり、あとは、「紙幣の増刷しか残されていない」という点が理解され始めているのだが、このことが、本当の意味での「インフレ」であり、海外では、「ジンバブエ・ワイマール型のハイパーインフレ」という言葉が使われ始めているのである。ただし、残念ながら、日本においては、まったく、理解が進んでおらず、依然として、「2008年型の金融危機」を想定している人が、数多く存在するようである。(8月10日)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0601 :110828〕