本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(103)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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呻吟語に見る安倍首相の現状

中国の古典である「呻吟語」には、「6種類の宰相」が述べられており、この中で、「最も理想的な宰相」から、「最も避けるべき宰相」まで、ありありと描写されている。具体的には、「太陽」や「大地」のように、「人々に、多大な恩恵を与えながらも、決して、見返りを求めない存在」が最上級にランクされ、また、最下位には、「奸険、凶淫、煽虐(せんぎゃく)、君心を蠱惑(こわく)し、国家の命脈を断じ、四海の人望を失う宰相」がランクされているが、この観点から、現在の安倍首相を見ると、「5番目」に位置するようにも感じられるのである。

具体的には、「我欲私心が強くなり、公を無視して憚らない存在」のことだが、実際に、「憲法を無視し、また、国民の声を聴かずに、自分の思いを達成した」という事実は、まさに、この種類の宰相に相当するようにも感じている。しかも、現在では、現職の「与党議員」や「官僚」などが、「安倍首相の政策」を支持しているために、今後は、「最下位の宰相」にまで落ちる可能性も存在するようである。

つまり、今後、「権力の暴走」が、より一層、加速し、この時に、「誰も、その動きを止めることができない状況」が発生すると、「国家の命脈を断じ、四海の人望を失う可能性」が存在するようにも感じられるのである。具体的には、「表の軍事、裏の金融」という言葉のように、今後、本格的な「金融大混乱」が、日本を襲う可能性のことであり、この時には、「アベノミクスの正体」が明らかになるものと考えている。

具体的には、「異次元の金融緩和」と呼ばれる政策は、単に、古典的な「リフレーション政策」にすぎず、実際には、「日銀のバランスシート」を大膨張させて「国債の大量買い」を実施しただけにすぎないのである。そして、この時には、当然のことながら、「円安、株高」の現象が見られることになるが、現在では、誰も、この点を指摘しないのである。つまり、「初歩の経済学」を学んだものなら、誰でも、この点を危惧するものと思われるが、実際には、「ケインズ」の言葉のとおりに、「百万人に一人も気づかないうちに、通貨の堕落が進行している状態」となっているのである。

その結果として、今後は、「国債価格の暴落」とともに、本格的な「大インフレ」が、世界を襲うことになるようだが、問題は、「この時に、安倍首相が、どのような行動を取るのか?」ということだが、過去の歴史では、「スターリン」や「ヒットラー」などの「最悪の宰相」が出現したことが見て取れるのである。(2015.9.25)

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嚢中の錐

東洋学には「嚢(のう)中の錐(きり)」という言葉があるが、内容としては、「袋の中にある錐は、必ず、表に顔を出す」ということであり、実際には、「優れた人物は、必ず、世の中に表れる」という意味で使われているようだ。しかし、私自身としては、「王様の耳はロバの耳」という言葉のように、「真理は、必ず、世の中に広まる」、あるいは、「不条理な事態は、必ず、是正される」という意味を持っているようにも感じている。

つまり、相場の世界では、往々にして、きわめて異常な事態が発生するが、このことは、「木の葉が沈んで、石が浮く」という格言で表されているように、「人智では、考えられないような理不尽な状況」のことである。具体的には、現在の「ゼロ金利」や「国債のマイナス金利」などのことだが、不思議なことに、最近では、誰も、この異常さを疑問視しなくなり始めているのである。

別の言葉では、現在の異常な金融情勢は、「世の中が窮まった状態」を表しているようにも思われるが、実際には、「資本主義」そのものが、一種の「機能不全状態」に陥っている可能性もあるようだ。つまり、「中央銀行が国債や株式などを買い、結果として、金融市場の安定が図られている状況」というのは、どのように考えても、正常な資本主義とは言えないようである。そして、今後は、この点に関する「大事件」が起き、結果として異常事態が、一挙に是正されるものと考えているが、このことが、「袋の中から、錐が飛び出す状況」とも言えるようである。

具体的には、「国債価格の暴落」、あるいは、「デリバティブ・バブルの崩壊」などの大事件が予想されるが、このことは、行き過ぎた「金融資本主義」の行き詰まりを意味しているようにも感じている。また、この点については、特に、「日銀のバランスシート」が、気に掛かる状況とも言えるが、実際には、「当座預金」の大膨張により、「民間資金の吸い上げ」が行われているのである。

その結果として、現在では、「社債」や「ヨーロッパの一部の国」など、体力の弱い分野から、徐々に、金利上昇が始まっているようだが、このことは、「金融コントロールにおける堤防決壊」とも考えられるようである。そして、今後は、「紙幣の大増刷」という「金融の大津波」が起きることを想定しているが、このタイミングについては、年内になる可能性が高まっており、実際には、「アメリカ」を始めとした「先進諸国の利上げ」は、その後、急速に、かつ、頻繁に行われるものと考えている。(2015.9.25)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5737:151022〕