本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(110)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
タグ: , ,

2015年を振り返って

「2015年」を振り返ると、世界的な「国債のマイナス金利」が、最も象徴的な出来事だったが、一方で、このことは、「世界の資金」に関して、「大転換期」となった可能性を示唆しているものと考えている。つまり、「金利」は、「お金の値段」を意味しており、実際には、「お金の量」が増えれば増えるほど、「金利の低下」が発生しやすくなり、その結果として、今回は、「ヨーロッパ」を中心にして、「国債の発行者が、国債の発行により利益を得られる」というような「前代未聞の事態」が発生したからである。

別の言葉では、「お金」や「国家の信用」に関して、歴史的な「バブルの状態」となったようだが、問題は、「アメリカ」を始めとして、このような異常事態に耐え切れなくなっている可能性である。つまり、「12月2日」に、「シカゴ教職員年金・退職金基金」が、「米国の主要金融機関」に対して集団訴訟を起こしたが、具体的には、「デリバティブの本丸」とも言える「金利スワップ」に関しての「価格操作」が疑われているのである。

また、「12月のFOMC」で、「アメリカの利上げ」が実施されたが、このことも、結局は、「歴史的な超低金利状態」に関して、大きな問題が発生している状況を意味しているようである。そして、このことが、「バブルの状態」とも言える、現在の「世界の金融システムや通貨制度」に関して、崩壊のきっかけになるものと考えているが、現在の問題は、「その後、世界の金融市場で、どのような事が起こるのか?」が、ほとんど理解されていない点とも言えるようである。

具体的には、依然として、「大恐慌」や「株価の暴落」などが危惧されており、「通貨価値の下落」という、本当の「インフレ」に関して、誰も考慮していない状況とも考えられるのである。別の言葉では、すでに始まっている「インフレ」、そして、その結果としての「株価の上昇」に対して、ほとんどの人が懐疑心を抱いているようだが、これから想定されることは、より一層の「株価上昇」であり、また、「商品価格の急騰」だと考えている。

つまり、「日本株の30年サイクル」のとおりに、今後は、「日本株」を始めとして、「世界の株価」が急騰するものと考えているが、この理由としては、「日銀」を始めとして、「世界の中央銀行」が、資金繰りの危機に見舞われることが考えられるのである。つまり、大々的な「紙幣の増刷」により、本当の「インフレ」がはっきり見え始める事態のことだが、実際には、「お金の正体」が理解され始めた結果として、多くの人々が、「換物運動」に走る状況とも考えらえるようだ。(2015.12.4)

-------------------------------------------

干支から見る2016年

「2016年」は、「丙申(ひのえ さる)」という暦になるが、「丙」は「明らか」という意味を持っており、また、「申」は「伸」に繋がるために、「昨年の動きが、更に進展する状況」を表している。そして、二つを合わせると、「2015年の動きが、より一層、激しくなるとともに、世界の実情が、多くの人にはっきり理解される状況」が想定されるようだが、具体的には、「天変地異」や「テロ事件」に加えて、「世界の金融界で、どのような事が起きているのか?」という点である。

つまり、昨年は、「天災」と「人災」とが併存した状況だったが、この原因となったのが、世界的な「マネーの大膨張」とも考えられるのである。別の言葉では、「200年以上も続いた資本主義の時代」が、大きな行き詰まりを見せるとともに、さまざまな問題や矛盾を露呈し始めたものと考えているが、残念ながら、現在でも、「ほとんどの人が、マネーの本質を理解していない状況」とも言えるのである。

具体的には、「信用本位制」という通貨制度の下に、「お金儲け」だけに関心が集まり、その結果として、「地球環境の破壊」が起きている状況のことだが、かりに、このままの状態が継続されると、近い将来に、より一層の「天変地異」が発生することも、容易に想像できるのである。その結果として、「さまざまな自然災害などにより、人類の住環境に、大きな変化が起こる可能性」も想定されるが、一方で、依然として、「お金の奪い合い」に奔走しているのが、現在の世界情勢とも考えられるのである。

そのために、「2016年」に想定される事態は、世界的な「金利急騰」であり、また、「国債価格の暴落」だと思われるが、これから考えなければいけないことは、「そのような状況下で、世界の金融市場が、どのような展開を見せるのか?」ということである。具体的には、「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」へ進展するものと思われるが、この時に必要なことは、「お金の性質」を理解し、「国家や通貨への信用が減少する時に、どのような変化が起きるのか?」を考えることである。

つまり、今後は、世界的な「株高」や「商品価格の急騰」などが予想されるのだが、この点については、現在、ほとんどの人が想定していない事態とも言えるようである。しかし、今後は、「時は全てを証明する」という言葉のとおりに、「時間の経過」とともに、「本当の姿」が、はっきりと見え始めるものと考えているが、このことが、実際に始まるのが、「2016年の初頭」からだと考えている。(2015.12.7)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5865:160122〕