イエレン議長の問題提起
「10月14日」に行われた「ボストン地方連銀主催の第60回経済会議」で、「イエレンFRB議長」は、実に興味深い問題提起をしたが、この理由として、「現在の経済理論は、きわめて未熟であり、現実の問題を解決できない」、また、「極端な経済変動期に、新たな理論が生まれる」という点を指摘されている。また、「1929年の大恐慌」、「1970年代のインフレ」、そして、今回の「2007年、あるいは、2008年からの金融混乱」を「極端な経済変動期」として挙げるとともに、次の四点が「未解決の問題」として提起されたのである。
① :総需要と総供給との関係性
② :需要と供給とのタイムラグ、需要の多種性
③ :マネー経済と実体経済との関係性
④ :インフレが発生するメカニズム
つまり、「既存の経済理論では、上記の問題を説明することができない」とも述べているが、この点については、私が今まで説明してきたことと、ほとんど合致する内容となっているようだ。別の言葉では、私自身が、30年以上も前から感じていた「世の中の変化に、経済理論が追い付いていない状況」に対して、「世界中の経済学者に、問題提起をするとともに、更なる研究と解決策を要求した」ものと考えられるのである。
ただし、今回の問題提起は、いまだに、「お金の謎」が解けていないことに、最も大きな理由が存在するようだが、同時に感じたことは、「これからの金融混乱に対処するためには、上記の四点では不十分である」ということでもあった。つまり、「お金の謎」を解くだけではなく、「時間のサイクル」や「心の座標軸」を理解することが必要不可欠だと考えているが、幸いなことに、私自身としては、「今年の5月」に、これらの全てを含んだ「5次元の経済理論」が完成したようにも感じている。
そして、今後は、この「基礎理論」が、「実践に対して、正確に応用できるかどうか?」を検証するだけだと考えているが、より深く感じたことは、「ようやく、世界中の経済学者が、私と同じ方向に向き始めた状況」に対する喜びでもあった。つまり、今までは、「お金の謎」を考える人が、ほとんど存在せず、単に、「お金儲けの方法論」だけを議論する人が、数多く存在したからだが、このことも、時代の大転換を象徴する、大きな事件のようにも感じている。(2016.10.25)
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世界的な金利上昇
「2016年」は、後から振り返ると、「いろいろな点で、歴史的な大転換の年だった」と言われる可能性が高まっているようだが、特に、私が注目していることは、「1980年代初頭から続いた金利の低下が、大きな転換を迎えた可能性」である。つまり、私自身は、金融業界に携わり、今年で40年目を迎えたが、この間、「約35年間も、世界の金利が低下を続けた」という状況だったのである。
そして、この理由としては、世界的な「マネーの大膨張」が挙げられるが、実際には、「三種類の信用創造」が働いたことが理解できるようである。具体的には、「最初の信用創造」が「中央銀行による、ペーパーマネーでの信用創造」であり、実際には、「マネタリーベース」と呼ばれる部分である。また、「二番目の信用創造」として、「民間金融機関によるコンピューターマネーでの信用創造」が挙げられるが、実際には、「預金」などの「金融商品」を意味している。
また、「三番目の信用創造」として、「市場による、コンピューターマネーでの信用創造」が指摘できるが、この点が、「既存の経済理論」では、ほとんど説明不可能な「金融商品」とも言えるのである。具体的には、1980年代初頭に誕生した「デリバティブ(金融派生商品)」が、「2007年前後」に「約8京円」という天文学的な数字にまで大膨張したが、現在、この事実を、ほとんどの経済学者が、無視したような状況となっており、そのために、今回、「イエレン議長の問題提起」が行われたものと考えている。
ただし、「2008年のリーマンショック」以降、「デリバティブ」は、実質的に「飛ばしの状態」となっているようだが、実際には、このことが、「過去8年間」の「世界的な超低金利状態」が生み出された最も大きな原因とも想定されるのである。つまり、「先進各国の中央銀行」が、バランスシートを大膨張させ、「国債の大量買い付け」を行ったために、人類史上初めての「マイナス金利」が発生した状況のことである。
より具体的には、「国債」を中心にして、「債券の価格が、異常な高値にまで買い上げられた状況」のことだが、現在では、あまりにも無謀な金融政策が限界点に達し、その結果として、世界的な金利上昇が始まったようにも想定されるのである。そして、この時に考えなければいけないことは、「山高ければ谷深し」という相場の格言であり、実際には、「今後、どれほどまでの金利上昇が発生するのか?」ということであり、また、「本当の『お金』とは、いったい、何なのか?」ということでもあるようだ。(2016.10.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion6371:161122〕