アベノミクスと日本株
現在、多くの投資家が、「加計学園」や「森友学園」などの問題に注目しているが、この理由としては、「安倍首相が退陣すると、日本株が暴落し、円高に陥る懸念が存在する」と考えているからのようである。つまり、「アベノミクスの恩恵により、今まで、景気が好転し、株価が上昇した」という理解のことだが、「お金の性質」や「資金の流れ」からは、まったく違った姿が見えてくるものと思われる。
つまり、「アベノミクス」が実施されていなかったら、より以上の円安と株高が発生していた可能性だが、この点については、「日本のマネーストック」と「日本のGDP」を見れば一目瞭然とも言えるようだ。具体的には、現在の「M2」が「約1000兆円」に対して、「GDP」が「約530兆円」という状況だが、「アベノミクス」が実施されていなかったら、「名目GDP」が、より大きな数字になっていたものと想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「日銀の異次元金融緩和」が実施されたことにより、「約370兆円もの資金が、日銀に吸い上げられ、国債に投資されていた状況」でもあった。また、かりに、「2%の金利」が「国民の預金」に付加されていたら、「約960兆円もの個人預金」に関して、今までに、膨大な金額の「利子」が支払われていたはずだった。その結果として、「個人消費」や「企業の設備投資」なども増え、結果として、「日本の名目GDP」は、現在よりも、はるかに大きな金額となっていたものと推測されるのである。
そのために、これから想定される事態は、「アベノミクスの終焉」により、「約370兆円」もの「日銀に吸い上げられていた資金」が市場に出回り、結果として、「日本の名目GDPが急増する事態」が想定されるのである。別の言葉では、本格的な「インフレ政策」が実施されることにより、「金利が急騰しながらも、株式や貴金属の価格も急騰する展開」のことだが、現時点では、誰も、このような事態を予想していない状況とも言えるようである。
このように、「通貨の堕落が引き起こすインフレ」については、「ケインズ」が指摘するとおりに、「百万人に一人も気づかれず、静かに進行する可能性」が存在するようだが、今後の注目点は、「アベノミクス」と「日本の株価」の関連性に関して、「いつ、投資家が、本当の状況に気付くのか?」だと考えている。そして、現在では、この時期が、たいへん近くなっているようにも思われるが、実際には、「日経平均が、年初来の高値を更新した時」とも言えるようである。(2018.4.12)
------------------------------------------
成功は失敗のもと
過去10年間、あまりにも異常な「世界的金融政策」と「超低金利状態」に悩まされてきたが、いよいよ、「出口」が見えるとともに、「これから、どのようなことが起こるのか?」も、ある程度、はっきりしてきたものと考えている。具体的には、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)」が「金融の大地震」であり、その後、「コンピューターマネーの世界」で「インフレの大津波」が、静かに進行していた状況のことである。
そして、この間において最も難しかった点は、「国債が、いつ、暴落を始めるのか?」という「タイミング」の判断だったが、現時点では、「成功は失敗のもとだった」と感想を抱いている。つまり、「失敗は成功のもと」という言葉のとおりに、「成功を収めるためには、それまでに、数多くの失敗が必要である」という事実には間違いがなく、私自身も、同様の経験を繰り返してきた。
しかし、問題は、「成功を収めた時に、その成功体験が、その後の判断を歪める可能性」でもあった。具体的には、「2001年の9・11事件」と「2007年7月から始まったサブプライム問題」のことだが、私自身は、「暦やサイクル理論の応用により、簡単に、これらの事件の予想が付いた」という状況でもあった。つまり、「成功」を体験したわけだが、現在の反省点は、「成功体験にとらわれ過ぎたために、その後の10年間、タイミングの判断に狂いが出た状況」である。
別の言葉では、「デリバティブ大膨張の時間的起点」と「西洋歴で末尾に7の付く年の特徴」にとらわれ過ぎていたために、「未来予測」に関して、微妙な狂いが出たのだった。しかし、現在では、ようやく、「1998年9月」に発生した「LTCM事件」を起点、そして、「2008年9月」の「リーマンショック事件」を中心線として、「時間的な左右対称理論」を応用すればよかったことに気付かされたのである。
そして、この点が理解できた時に、「世界の金融情勢」や「歴史的な展開」に関して、「全てが腑に落ちたような感覚」を得られたが、後は、「9月までに、どのような事件が発生するのか?」、あるいは、「2ヶ月前の7月頃に、どのような予兆的事件が発生するのか?」に注目するだけの状況とも感じている。つまり、世界的な「信用崩壊の嵐」が、「今後、どのような展開を見せるのか?」、また、すでに始まった「インフレ」が、今後、どのような状況になるのか?」という点だが、実際には、徐々に、私の想定どおりの状況となっているものと感じている。(2018.4.12)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7632:180511〕