本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(250)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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顕教と密教

「老子」に「知る者は言わず、言うものは知らず」という言葉があるが、私自身としては、「長年、この言葉の理解に苦しんできた」という状況でもあった。つまり、「真理を知ること」と「真理を語ること」の間には、「それほど大きな違いが存在しないのではないか?」と考えていたわけだが、今回、「真言密教」における「顕教と密教の違い」や「自然科学」における「真理の発見」などを考えると、「閃きによって得られた真理」については、「いろいろな点で、言葉で表すことの難しさが存在するのではないか?」と感じられたのである。

つまり、「ニュートン」や「エジソン」などが到達した「真理」については、基本的に、「99%の努力と1%の霊感」、あるいは、「1%の百万分の1」という言葉のとおりに、「何故」を考え続けた結果として、「天に存在する神の智慧」の「わずかな部分」だけを発見できただけの状況とも感じられたのである。別の言葉では、「血の滲むような努力」を重ね「真理」に到達したものの、「自分が辿り着いたところは、全体の僅かな部分にすぎず、反対に、全体像の大きさに驚かされたのではないか?」とも感じられたのである。

そして、このような状況については、「空海」が指摘する「顕教と密教の違い」にも、ぴったり当てはまるものと感じているが、実際のところ、「仏の教え」を求めた「空海」が辿り着いた事実は、「顕教(けんぎょう)」という「言葉で説明できる教え」が、「いかに底の浅いものであるか」、あるいは、「その他に、無限の『天の智慧』が存在する事実に気づかされた状況」だったようにも感じられるのである。

その結果として、「密教」という「言葉で説明できない教え」を求めたものと思われるが、この点については、現在の「自然科学」において、すでに「当たり前の常識」となっているようにも感じられるのである。具体的には、「現実の世界」を見ることにより、「さまざまな疑問」を感じ、その後、実験などで「数多くの失敗」を繰り返すことにより、最後に、「新たな発見」や「真理」、あるいは、「神の智慧」に到達する状況のことである。

しかし、一方で、「技術を使いこなす人々」については。ご存じのとおりに、「2500年ほど前から、ほとんど、精神面が進歩しなかった可能性」があり、実際に、「東洋の仏教」や「西洋のギリシャ哲学」を読むと、「当時の人々のほうが、現代人よりも、はるかに多くの疑問を抱き、真摯に考え続けていた状況」だったものと思われるのである。そして、現在の「天変地異」については、やはり、「人類への警告」であり、実際には、「心の謎」が解かれない限り、「人類の生存」そのものが危うくなる可能性とも言えるようである。(2020.1.24)

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前1200年のカタストロフ

先日、NHKの番組で「アイアンロード(鉄の道)」が紹介されていた。「シルクロード(絹の道)」よりも北部に位置した土地に、はるか昔、「鉄の普及した道筋」が存在したのである。そして、この時に驚かされたことが、「ヒッタイト帝国」の存在と滅亡の時期だったが、具体的には、「紀元前16世紀頃から、鉄の技術で栄えたヒッタイト帝国が、前1200年頃に、突然、消滅した」という事実である。

つまり、「巨大な物質文明が、なぜ、突然に滅んだのか?」という点に、大きな興味を抱いたわけだが、実際には、「文明法則史学」が教えるとおりに、「前1200年」という時期が、「現在」や「1600年前の西暦400年前後」と同様に、「西洋の時代」が終焉の時期を迎えていたものと考えられるのである。別の言葉では、今まで、「1600年ほど前の西ローマ帝国の滅亡」と「現在」との比較だけに終始していたが、今回は、「もうひとつ前の西洋文明の終焉」が検証できたものと感じられたのである。

そして、この点に「経済発展のメカニズム」を合わせると、最初は、「実体経済の成長」が「マネー経済の成長」を生み出すものの、最後の段階では、「マネー経済が実体経済を上回る」という「本末転倒の状態」となり、その結果として、「通貨の堕落」がもたらす「破壊の力」が働いたものと想定されるのである。つまり、現在のような「マネーの大膨張」そして、「金融混乱」が、「1600年前」、そして、「3200年前」にも発生していたものと想定されるが、私自身としては、「歴史が繰り返される状況に、改めて、驚かされた」ということが、今回の「アイアンロード」で感じたことだった。

別の言葉では、同様の「カタストロフ(社会的大変動)」が、間もなく、世界的に再発する可能性が、より一層、危惧されるわけだが、この点については、現在、すべての要因が整った段階とも言えるようである。つまり、「行き過ぎた金融資本主義」という状況でありながら、根本に存在するはずの「信用」については、「政治家や官僚までもが、全く信用できない状況」となっており、また、世界中の人々は、「コンピューターマネー」と「仮想現実」の世界で「パンとサーカスの生活」を送っているのである。

そして、「変化は、ある日、突然に訪れる」ということが、過去の歴史が教えることでもあるが、今までの推移を振り返ると、現在では、「数多くの矛盾」が積み重なった悔過として、「政治家」や「官僚」も含めて、「世界中の人々」が、「心の底では、大転換や新たな時代の到来を願い始めたのではないか?」とも感じている。(2020.1.24)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9474:200221〕