米中の対立激化
米中の対立が、再び、激化し始めているが、今回は、貿易戦争ではなく、根本的な理念の対立のようにも感じている。あるいは、「国家」と「国民」との関係性において、劇的な変化が発生している可能性も想定されるが、この点に関して思い出される「歴史的な事件」は、やはり、「尊王派」と「攘夷派」が戦った「明治維新」であり、実際には、「幕府の内部で分裂が発生し、その後、幕藩体制そのものが消滅した展開」のことである。
そして、この事実を、今回の「米中対立」に当てはめると、「国民が主導する資本主義」と「国家が主導する資本主義」との争いが起きており、今後は、「資本主義」そのものが完全消滅する可能性も想定されるのである。別の言葉では、文明法則史学が教えるとおりに、「西洋の唯物論的な価値観」の最終段階で発生した「資本主義」、そして、「マネーバブルの崩壊」により、今後、「東洋の唯心論的な価値観」に移行する状況のことである。
つまり、「現在、どのような対立が発生しているのか?」を考えると、実際には、「資本主義の内部で、国家と国民が争っているのではないか?」、しかも、「この対立が、米中間の争いに象徴されているのではないか?」とも思われるのである。別の言葉では、表面上、「資本主義」と「共産主義」との対立に見えるものの、実際には、「西洋の唯物論」そのものが、終焉の時期を迎えているようにも感じられるのである。
より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のような「時代の激変期」に遭遇している可能性のことだが、これから想定される展開としては、やはり、「国家財政の破たん」、そして、「大インフレの発生」だと考えている。つまり、「一日にしてはならず」と言われた「ローマ帝国」は、当時、「マネーの実質的な崩壊」を意味する「大インフレ」により、歴史上からは、あっという間に崩壊したことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、現在は、「世界全体が、国家財政問題に悩まされていながらも、デジタル通貨の存在により、辛うじて、延命措置が実施されている状況」のようにも思われるのである。つまり、「超低金利状態」を維持するために、「国家が国民の預金を使い果たそうとしている状況」のことだが、今後の注目点は、「国民が、いつ、この事態に気づくのか?」ということである。そして、今回の「米中の対立」が意味することは、世界中の人々に対して、「表面的な動きを見るのではなく、歴史の本質に気づくべきだ」という「天からのメッセージ」であり、たいへん近い将来に、この仮説が証明される時期が訪れるものと思われるのである。(2020.7.31)
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中国共産党の問題点
1949年に誕生した「中華人民共和国」は、その後、「文化大革命(1966年から1977年)」を経て、「鄧小平氏による改革開放路線」へと変化した状況でもあったが、この時に言われたことは、「黒猫であれ白猫であれ、ネズミを捕るのがいい猫だ」ということだった。つまり、「共産党の指導下で、資本主義体制への移行」が始まったわけだが、このことは、「マルクス・レーニン主義」という「プロレタリア革命」を標榜する国家が、「表面に仮面を付けた形で、世界の民主主義国家と経済的な結び付きを強めていった状況」を表しているのである。
別の言葉では、「明治維新以降の日本」を、半分程度の期間で繰り返している状況とも言えるようだが、この時に注意すべき点は、「軍事力」と「経済力」の混同のようにも感じている。つまり、「1945年の敗戦」で、日本人が気付かされたことは、「帝国主義」という「軍事力で他国の領土や富を奪う行為」は、完全に時代遅れであるという事実であり、そのために、その後、「経済力や資金力による優位性」を求めて、世界的な「実体経済の成長」そして、「マネーの大膨張」に追随していったものと考えられるのである。
そして、過去30年間、マネーの大膨張で、最も恩恵を受けたのが、「米国」と「中国」だったものと思われるが、実際には、「デジタル通貨の発展、そして、大膨張」が引き起こした「デリバティブのバブル」により、「強大な権力を獲得、あるいは、保持できた状況」だったものと考えられるのである。つまり、「大量に存在するマネー」を基にして、「強大な軍事力」を持ったわけだが、この結果として発生した「変化」は、「中国共産党が、本性を表し始めた可能性」とも感じている。
別の言葉では、「文化大革命」で「中国4000年の伝統」を捨て去った国家が、「ソ連と同様に、強権政治を始めた可能性」のことだが、この点については、「中国の歴史上、同様の事態が頻繁に繰り返された状況」だったものと考えている。そして、「独裁者の末路」については、数多くの事例が存在するとともに、人々が反省する過程において、「儒教」や「道教」などが発展したものと思われるのである。
しかし、現在の中国においては、この点が、全く失念されるとともに、過去の失敗が繰り返される状況のようにも感じているが、今後、最も注目すべき事態は、やはり、「デジタル通貨」が完全消滅したときに、「米中の両国のみならず、世界各国が、かつてのソ連のような状態に陥る可能性」だと考えている。(2020.8.1)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10054:200827〕