本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(360)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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金に向かい始めた世界のマネー

現在では、多くの人々が、「金(ゴールド)への投資」を始めている状況とも思われるが、この点に関する思い出としては、「1987年10月19日に発生したブラックマンデー」が挙げられるとともに、「この時から、私自身が、大きな流れから乖離した事実」が指摘できるものと考えている。つまり、私自身は、ブラックマンデーに大きな要撃を受け、その後、「お金の謎」を考え出したのだが、一方で、「世間一般の流れ」としては、「お金儲けの方法論に、人々の興味と関心が向かった状況」だったのである。

別の言葉では、「日本橋」を起点にして、「ほとんどの人々が、金閣寺を参拝するために、東海道を歩き始めた」というような状況下で、「私自身は、平泉の金堂を参拝するために、正反対の方向である奥の細道を一人で歩き始めたような展開」のことである。そして、結果としては、「日本の土地や株式のバブル崩壊」や「1991年のソ連崩壊」、あるいは、「不良資産が、どのような形で移転したのか?」や「なぜ、欧米諸国は、デリバティブバブルの発生に注力したのか?」などを経験し、理解することができたものと感じている。

しかし、一方で、世界的な展開としては、「ピーク時の2010年前後に、約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブのバブル」により、「世界全体が、超低金利の恩恵を受けるとともに、金融のメルトダウンにより、さまざまなバブルが発生した」という状況だったのである。つまり、大量に創造された「デジタル通貨」と、それまでに構築された「世界的なコンピューターネットワーク」の存在により、「世界全体が、大量のマネーを使用して、過剰な消費を行った状況」のことである。

より具体的には、「地球の温暖化」がもたらす「異常気象の発生」などにより、「人類そのものの生存が、将来的に危ぶまれる状況」となり、実際に、最近では、「コロナウイルスのパンデミック」という恐るべき展開に見舞われたのである。そして、この時の変化としては、「フローの性質」を持つ「実体経済」が、急速に縮小する結果となったものの、「ストックの性質」を持つ「マネー経済」については、「紙幣の増刷による、更なる大膨張期に入る展開」となったことも見て取れるのである。

ただし、現在では、このような状況下で、世界中の人々が、急速に、「35年前の私と同様に、お金の謎を考え始めた可能性」が指摘できるものと思われるが、仮に、私の想定が正しいとしたら、今後の展開として予想されることは、「金やプラチナの現物が、現在の銀と同様に、ほとんど枯渇する可能性」だと考えている。(2022.4.27)

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独裁者に核兵器

私が幼かったころは、「気違いに刃物」という言葉が、「非常に危険であることのたとえ」として使われていたが、現在では、「独裁者に核兵器」という言葉に変わった状況のようにも感じている。つまり、「刃物」については、「数人、あるいは、数十人という規模の危険度」であるものの、「核兵器」については、ご存じのとおりに、「人類全体の存続を揺るがす可能性」も考えられるのである。

そのために、現在、必要とされていることは、「一刻も早く、核兵器を廃絶すること」であり、また、「独裁者の発生を防ぐために、隷従者の存在を許さないこと」だと考えているが、実際には、反対に、「日本においても、核兵器のシェアが重要である」、あるいは、「欧米と同様に、GDPの2%の軍事費が必要である」などの議論が、盛んに行われていることも見て取れるのである。

つまり、「その他の独裁者にも、より多くの核兵器を渡そうとしているような状況」のようにも感じられるが、実際に必要とされていることは、やはり、「社会科学の次元上昇」により、「兵器が必要とされない社会」の構築だと感じている。別の言葉では、「時代錯誤の帝国主義者」の意見に耳を貸さず、「人類は、現在、核戦争ではなく、地球環境の悪化により、存続が危ぶまれている状況」である事実を直視することである。

より詳しく申し上げると、「西洋の時代」においては、「1600年前に滅んだ西ローマ帝国」と同様に、「軍事力や資金力による奪い合い、あるいは、殺し合い」が発生する状況を、深く認識することである。そして、「核兵器よりも、大自然の方が、より脅威である事実」を認識しながら、「世界全体で、力を合わせ、また、知恵を出し合いながら、よりよい社会の構築を目指す努力」が必要とされているのである。

そのために、「なぜ、今回、プーチンが、このような愚行に走ったのか?」が気にかかる状況でもあるが、実際には、「世界中の人々に、『独裁者に核兵器』の愚を示すことにより、気付きを与えながら、一挙に、次元的な上昇が図られている可能性」も想定されるのである。つまり、「神の意図」として、「すべての出来事が予定調和である可能性」のことでもあるが、現在、世界中の人々が選択すべきは、「核戦争か、それとも、大自然の脅威か?」であるが、実際には、時間的、かつ、資金的な余裕がなくなりつつある状況、すなわち、軍事的な「核兵器」ではなく、「金融界の大量破壊兵器」である「デリバティブの破裂」が迫っている状況とも思われるのである。(2022.4.28)

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インフレのコスト

5月3日の日経新聞に掲載された「英国エコノミスト誌におけるインフレコストの議論」については、大きな驚きと失望感を味わったが、その理由としては、「第二次世界大戦時の日本のように、御用学者的な意見が述べられるだけで、現状認識が欠落している点」が挙げられるものと考えている。より具体的には、「過去30年間、あるいは、50年間を振り返ると、インフレのコストは小さいものであり、もっぱら心理的なものにすぎなかった」と説明されている点である。

つまり、「1971年のニクソンショック以降、どのような変化が、世界の金融市場で発生したのか?」、あるいは、「なぜ、過去20年間余りの期間、先進各国で超低金利状態が維持され、マイナス金利が発生したのか?」などが無視されるとともに、「現在のインフレは、それほど深刻ではなく、今後も、問題はないだろう」というような「安易な結論」が導かれている状況のことである。

別の言葉では、「イギリスの経済学」そのものが、かつての「大日本帝国」のように、「精神論だけで、窮状を切り抜けようとする態度」に走っているようにも感じられたが、本来、「西洋の学問」は、「具体例を徹底的に検証し、ゆるぎない理論の構築を図る」ということが基本的な態度だったものと考えている。つまり、「商品と通貨との関係性」について、「過去100年間に、どのような変化が発生したのか?」を研究しながら、「現在、どのような状況になっているのか?」を、深く分析することである。

そして、このような態度から導かれる結論は、「これから予想されるインフレのコスト」、すなわち、「物価上昇の悪影響」は、「前代未聞の規模」になるというものであり、この理由としては、「大量に創り出されたデジタル通貨が、今後、紙幣の形に変化し、実物資産に流れ出す可能性」が指摘できるのである。つまり、「インフレ」とは、「通貨価値の下落」を意味しており、実際には、「現在の通貨で、どれほどの商品を購入できるのか?」が基本的な尺度とも言えるわけである。

しかし、過去50年間は、「デリバティブを中心にした金融商品」に資金が流れることにより、我々の生活に、インフレの悪影響が、ほとんど存在しなかった状況だったことも見て取れるのである。そして、今後は、反対に、今までの「ツケ」を払う段階、すなわち、予想もできないほどの「インフレの大津波」に見舞われる状況を想定しているが、現在では、すでに、「大津波の第三波」に襲われている段階のようにも感じている。(2022.5.3)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12071:220528〕