50年前の経済理論
7月5日の日経新聞に、「FRB上級顧問のジェレミー・ラッド氏」のコメントが紹介されていたが、具体的には、「経済の仕組みに関する我々の理解、さらには、ショックや政策が経済に与える影響を予測する我々の能力は、1960年代からほとんど進歩していないというのが筆者の見解だ」というものである。つまり、「現状説明ができず、また、未来予測も不可能だ」という実情について、大きな反省をしているものと思われるが、この点については、私自身が、1980年代に、痛切に実感したことだった。
具体的には、「1980年代の初頭に、アメリカの大学で学んだ為替理論が、まったく実践の役に立たなかった状況」のために、私自身は、その後、独自の理論を打ち建てることにまい進せざるを得なかったのである。そして、結果としては、「1971年のニクソンショック以降、全く新たな通貨制度が創られるとともに、未曽有の規模でのマネー大膨張が発生した」という展開だったことに気付かされたのである。
別の言葉では、「1971年」を境にして、「金本位制の経済学」から「信用本位制の経済学」に移行したものと感じているが、この点に関する「現在の感想」としては、「自然科学と社会科学の次元格差」が、より大きな意味を持っているものと感じている。つまり、「11次元にまで発展した自然科学」に対して、「3次元に留まっている経済学などの社会科学」については、今後、「4次元に移行した時点で、お金の謎が解け、また、5次元に移行した時に、心の謎が解ける状況」を想定している。
つまり、「お金」や「心」などの「悩み」が解消されることにより、より快適な生活が待っているものと考えているが、そのために必要なことは、やはり、「過去50年間に、どのような変化が発生したのか?」を、詳しく分析することである。具体的には、「現代の神様」となった「デジタル通貨」に関して、「どのようなメカニズムで創り出され、また、今後は、どのような運命を辿るのか?」を考えることである。
また、この点に関して、大きな参考となるのが、「文明法則史学」や「四柱推命」などの「時間のサイクル理論」だと考えているが、この点については、「今後の数か月間に、どのような展開が予想されるのか?」、あるいは、「現在の信用本位制が、どのような形で収束するのか?」などの「私自身の予想と説明」を検証することが重要であり、また、「量子力学」や「分子生物学」、そして、「複雑系の理論」などを、より深く研究することが大切だと感じている。(2022.7.5)
------------------------------------------
中国共産党の急激なソ連化
現在の「中国」は、「ソ連崩壊前の状態」を彷彿とさせる状態のようにも感じているが、具体的には、「経済的な合理性」よりも「共産主義的な政治目的の完遂」が望まれている状況のことである。別の言葉では、「鄧小平氏」が始めた「疑似的な資本主義政策」が放棄されるとともに、「習近平氏による独裁的な共産主義的政策」が採用されることにより、「中国政府の資金繰りが、急速に悪化している可能性」のことである。
具体的には、「中国の不動産バブル崩壊」で発生した「大量の不良債権」が、現在、「民間企業や個人」から「民間銀行」への移行が始まっており、今後は、「政府や中央銀行」への移行が顕著になるものと思われるのである。つまり、「30年前の日本」と同様の展開が、今後、「金利の上昇とともに、驚くべきスピードで進展する可能性」が憂慮される状況でありながら、「共産党による一党独裁」が、その速度をさらに加速させているものと考えられるのである。
より詳しく申し上げると、現在の「強制技術移転」という、「中国に主要技術を渡すか、それとも、中国市場から排除されるのか?」という選択を、外資企業に迫っている状況については、「40年ほど前の中国が、どのような状況だったのか?」を忘れた「思い上がりの外交政策」とも思われるのである。つまり、「海外企業までをも、共産党の支配下に置こうとするような事態」のようにも感じられるが、実際には、現在の「ロシア」と同様に、「対外的な反発」を招くだけの結果に終わるものと想定されるのである。
そのために、これから最も注目すべきポイントは、「中国政府の資金繰り」だと考えているが、実際には、「中国地方政府の財政難」に加えて、「負債が120兆円に達した中国新幹線」などのように、「利益を無視した過剰な公共投資」が問題点だと感じている。つまり、「ソ連崩壊」の前に言われた「質よりも量を重視する政策」、具体的には、「役に立たない商品でも、数さえそろっていれば問題がない」と認識されるような状況のことである。
そして、この点に関して試金石となるのが、現在の「中国が保有する米国の国債」だと考えているが、実際には、すでに始まっている「米国債の売却」が加速する可能性であり、その時には、「中国政府の資金繰りが窮まった状況」のようにも感じられるのである。ただし、今回は、その前に、「米国のメガバンクが保有する大量のデリバティブの完全崩壊」という可能性も想定されるために、今後の数か月間は、「人類史上、未曽有の金融大混乱期」に突入する状況のようにも感じている。(2022.7.6)
------------------------------------------
聖アウグスティヌスが観た世界
30年ほど前から「文明法則史学」を勉強し始めたが、その時、最も気にかかった人物は、私と、ちょうど1600年違いの年に誕生した「聖アウグスティヌス(西暦354年-430年)」だった。つまり、「西ローマ帝国の崩壊を、実際に経験した人が、どのような意見を述べていたのか?」に、大きな注目をするとともに、著書である「告白」や「神の国」などにより、当時の状況が、ある程度、推測が可能なものと感じられたのである。
具体的には、「パンとサーカスの堕落した生活」や「財政赤字とインフレによる社会的な混乱」などが引き金となり、「歴史上からは、あっという間に、西ローマ帝国が滅んだ」という状況のことである。そして、このような世界を、実際に観た聖アウグスティヌスは、「神の国の偉大さ」を強調した結果として、「その後、1500年間に渡り、西洋の精神世界に、大きな影響を与えた」とも言われているのである。
別の言葉では、「民主主義の堕落が衆愚政治に繋がり、その後、軍事力や資金力に隷従する人々が、専制政治に従わざるを得なくなった状況」を経験した結果として、「より強い力や存在」を求めたものと思われるのである。そして、この点については、「1600年後の現在が、ぴったり当てはまる状況」であり、「これから、どのような時代が訪れるのか?」、あるいは、「人々が、何を求めているのか?」については、「神の国」という著書が参考になるものと思われるのである。
より詳しく申し上げると、私自身の「心の座標軸」において、「過去800年間、人々が求めてきたものは、究極の物質とも言えるマネー(お金)」だったものと思われるが、この過程で発生した変化は、「人類が最高の存在である」というような認識がもたらした「民主主義」であり、また、「マネーの大膨張」だったものと想定されるのである。そして、その後の変化としては、「お金さえあれば、人生は安泰だ」というような「堕落した安易な思想」に染まった人々が、「より強い権力」を求め始めた可能性でもあるが、「1600年前の状況」を考えると、今後は、「専制主義」から「神の時代」への移行も予想されるのである。
ただし、今回の注目点は、「技術や学問の進化」や「巨大なインフラの存在」などにより、「より進化した世界への移行」のようにも感じているが、気になるポイントは、やはり、「現代の神様」なった「世界のマネー」が価値を失った時に、「どれほどの大混乱が世界を襲うのか?」ということであり、また、「世界中の人々は、何を求めて、人生を送り始めるのか?」ということである。(2022.7.11)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12249:220806〕