本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(380)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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金価格の都市伝説

「金(ゴールド)の価格」については、「ドルと金利にマイナスの影響を受ける状況」、すなわち、「ドル高になり、また、金利が上昇すると、価格が下落する展開」が指摘されているが、この点については、「未熟な経済理論の弊害」、あるいは、「現代の都市伝説を象徴するような意見」のようにも感じている。つまり、私自身も、「1980年代に、米国の大学で、この理論を学んだ」という状況だったが、その後の「投資の実践」における検証では、大きな誤りだったものと感じているのである。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度に変化したために、「通貨と商品の概念」そのものが、大きな変化を遂げたものと考えられるのである。具体的には、「金(ゴールド)」が「通貨の役割」を失い、単なる「商品の一つ」となり、また、「デリバティブという金融商品の大膨張」により、「デジタル通貨の大膨張」が発生したことも見て取れるのである。

その結果として、「金の価格が、金利やドルの動向に左右されない状況」が発生したものと考えられるが、この点については、「政府やメガバンクなどによる市場価格の操作」も考慮に入れる必要性があるものと感じている。つまり、「金利」のみならず、「株価」や「為替」、そして、「貴金属の価格」までもが、「デリバティブを大量に保有する一部のメガバンクにより、市場がコントロールされていた状況」のことである。

そして、この事実を象徴するのが、「過去20年余りの、世界的な超低金利状態」とも思われるが、現在では、反対に、「海中に押し込められていたビーチボールが、水面下に飛び出したような状態」というように、「大きな反動」が発生している状況とも考えられるのである。つまり、「ハイパーインフレ」を引き起こす要因である「大量に創り出されたデジタル通貨」が、今後、「紙幣の形で市中に出回る状況」を想定しているが、今回の、これほどまでの異常事態については、人類史上、初めての事態とも理解できるのである。

そのために、これから必要なことは、「既存の常識」を忘れ去るとともに、「人間の生活にとって、何が、最も重要なのか?」、あるいは、「実体経済とマネー経済との比率が、現在の約10:1から1:1に変化した時に、どのような変化が発生するのか?」を考えることである。そして、この時に見えてくるのは、「金(ゴールド)が、本当のお金であり、また、この事実が、過去5000年間、揺るがなかった事実」であり、また、「金の価格が、ドルや金利に左右されず、今後、価格が急騰する可能性」だと感じている。(2022.9.14)
 
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80億人の換物運動

「失われた30年間」の期間に、「水茹での蛙」の状態となった日本人は、現在、思いがけない「円安」や「世界的なインフレ」などを見ることにより、「いったい、世界で、どのような事が起こっているのか?」を真剣に考え始めた状況のようにも感じている。具体的には、「リスクオンやリスクオフ」などの「曖昧な経済表現」に飽き足らなくなり、より具体的に、「インフレ」や「お金」などの本質に迫り始めたものと思われるが、この時の問題点は、やはり、「インフレを表す指数」に関して、「どのような商品が対象となっているのか?」が理解できない状況だと感じている。

より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降、「世界の金融情勢」は様変わりの状態となったが、具体的には、それまでの「実体経済の成長」を受けて、「マネーの大膨張」という「お金の性質」の激変が発生した状況のことである。ただし、この時の問題点は、現在の「インフレ指数」が信ぴょう性を失った状況であり、この理由としては、「インフレを集計する指数」に従来の方法が踏襲されたことが指摘できるのである。

そのために、現時点で必要なことは、「現在の世界には、どのような通貨と、どのような商品が存在するのか?」を具体的な数字で把握することであり、特に、「我々の生活に必要な食料」などに関して、「今後、どのような展開が予想されるのか?」を真剣に考慮することである。つまり、現在では、「80億人の人類が、史上最大規模のマネーを保有している状況」となっているために、今後、最も注意すべき点は、「このマネーが、一斉に、実物資産に向かい始める可能性」とも想定されるのである。

具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」や、その後に想定される「大量の紙幣増刷」が引き起こす「金融界の白血病」に遭遇した人々が、一斉に、「食料や貴金属などの一次産品」を購入し始める可能性のことである。別の言葉では、本当の意味での「デマンドプルのインフレ」が発生する事態のことでもあるが、現在の「経済学」については、「価格は需要と供給で決定される」 という理解はあるものの、「需要は、どのような要因で決定されるのか?」を答えられない問題点が存在するのである。

つまり、本当の意味での「行動経済学」とも言える「人々が、どのような商品に、どれほどのマネーを使うのか?」が理解できず、また、「現在の世界において、どれほどの購買力が存在するのか?」を認識できない状況のために、今後、私が最も憂慮する事態は、やはり、「80億人の換物運動」が、一斉に発生する可能性である。(2022.9.16)
 
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「成ること」と「成ったこと」

「シュペングラー」の「西洋の没落」という著書には、現在、改めて感動を覚えている状況でもあるが、特に印象に残ったことは、「成ること」と「成ったこと」の「違い」が指摘されている事実である。つまり、「相場の実践」においても、「相場は、常に正しい」という表現のとおりに、「天や神の真理は、実際に発生した現象によってしか、人間に伝えられない状況」とも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、「成ったこと」というのは、今回の「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」などを始めとして、「ほとんど全てが、人知の理解を超えたもの」、あるいは、「ほとんどの人が予想できなかった事態」だったようにも感じられるのである。ただし、この時の注意点は、「いったん発生した現象、あるいは、事実」については、その後、「全ての人が、当たり前の出来事として受け入れる状況」が指摘できるが、一方で、「成ること」である「未来予測」に関しては、「天地自然の理を離れた、人知による勝手な予想」であり、その結果として、「ほとんどが、実現されない展開」となることも見て取れるのである。

そのために、「シュペングラー」としては、「さまざまな歴史書」などを参考にして、「時間のサイクル」を研究したことにより、結果として、「ある程度の未来予測」が可能な状況となったようにも思われるのである。つまり、「1910年代」において、「1800年から2000年が、「貨幣や民主主義が支配する時代」であることを、見事に予言しており、このことは、「社会学そのものが、三次元からから四次元への移行を始めた可能性」を表しているようにも感じられるのである。

別の言葉では、「村山節氏の文明法則史学」の成立に関して、「西洋の没落」という著書が、大きな影響を与えた事実でもあるが、この点に関して、これから必要とされることは、やはり、「お金の謎」や「心の謎」を解明することにより、「四次元から五次元への移行」を図ることだと感じている。つまり、「11次元にまで進化した自然科学」を参考にしながら、「社会科学の次元上昇」を遂行する必要性のことでもあるが、この点に関して、今後、大きな役割を果たすのが、「デリバティブのバブル崩壊」とも言えるようである。

具体的には、「デジタル通貨が、神様の状態から、単なる紙切れに激変する」という「成ったこと」を目撃した人類が、その後、「大きなショックを受けながら、真剣に悩み始める展開」であり、この点については、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊を目撃した人々が、その後、真剣に、神様の智慧を追求し始めた展開」が参考になるものと考えている。(2022.9.17)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
 
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12459:221015〕