本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(510)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう( ほんまゆたか) : ポスト資本主義研究会会員
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2025.3.22

3000ドルの金価格

現在は、「3000ドルを付けた金価格」に対して、世界中の人々が、ようやく興味と関心を持ち始めた段階とも思われるが、この理由としては、「金融の大津波」の現状として、「仮想現実の海に存在していたデジタル通貨」が、ようやく、「現実世界の実物資産」に辿り着き始めた状況が指摘できるものと考えている。別の言葉では、「水蒸気のような状態のデジタル通貨」が「雲のような状態」に変化するとともに、徐々に、「紙幣の雨」が降り始めた状況のことである。

そのために、現時点で必要なことは、今までの「債券」や「不動産」、そして、「株式」のバブルの現状を正確に把握することだと感じているが、実際には、「デリバティブのバブル」が存在することにより、いまだに、「さまざまな市場で価格統制が実施されている状態」を理解することである。つまり、「債券」を中心にした「デジタル通貨のバブル崩壊」を防ぐために、いまだに、さまざまな手段が講じられている状況のことだが、現実の展開としては、「時間の経過とともに、デジタル通貨の水蒸気が重くなるとともに、雲の中で水に変化し始めた状況」とも考えられるのである。

より詳しく申し上げると、「金利の上昇」とともに、「債務の負担」が増加し、結果として、「資金面での枯渇」が、さまざまな分野で発生し始めた状況のことだが、実際には、「民間部門」のみならず、「中央銀行」や「政府」においても、資金面での問題が発生している状況とも理解できるのである。別の言葉では、「リフレーション政策の行き詰まり」を意味する「国債の買い手が喪失し始めた状況」のことでもあるが、この結果として予想される展開は、当然のことながら、「債務の貨幣化」である「紙幣の増刷」とも理解できるのである。

そして、このような状況を理解し始めた人から、徐々に、「金(ゴールド)や銀(シルバー)などの購入」が始まったものと思われるが、最近の急激な変化としては、「大量の貴金属が、一斉にアメリカに流入し始めた状況」が指摘できるのである。つまり、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」の崩壊を案じた人々が、大量の実物資産を購入し始めた可能性である。

別の言葉では、「金融界のホーキング放射」とでも呼ぶべき状況のことだが、実際には、「仮想現実のブラックホール」から、一斉に、「現実世界の実物資産」に向かって、大量の資金が殺到し始めた展開のことである。

2025.3.24

実践投資と経済理論

「投資の実践」を始めてから、今年で49年目を迎えるが、現時点での感想としては、「既存の経済学」が、あまりにも未成熟な状態であり、その結果として、「実践投資には、ほとんど役に立たなかった」という点が挙げられるものと考えている。別の言葉では、「投資の実践経験」が無く、単に「机上の空論」だけを述べるエコノミストや評論家が多いために、「世の中の動き」が理解されていない状況のようにも思われるのである。

そのために、現時点で必要なことは、「どのような問題点が、既存の経済理論に存在するのか?」を分析しながら、「今後、どのようにして実践投資に活かすのか?」を考えることとも思われるのである。つまり、「なぜ、既存の経済理論では未来予測が難しいのか?」を考えることでもあるが、実際のところ、1980年代に、私が実感したことは、「大学で学んだ為替理論が、まったく実践の役に立たなかった」という事実だった。

その結果として、私自身が実践したことは、「過去の歴史」を振り返りながら、「過去200年間に、どのような商品が実際に生産され、また、その時に、どのような貨幣が使われていたのか?」の分析でもあった。そして、この過程で気付かされたことは、「19世紀のマルクス経済学」も「20世紀のケインズ経済学」も、「お金(マネー)の謎やメカニズム」が解明できていない事実だった。

しかも、「1971年のニクソンショック」以降は、「単なる数字」が「政府の信用」などを基にして、「人類史上、未曽有の残高にまで大膨張した状況」だったことも理解できたが、現在の注目点は、「いまだに、誰もこの点に問題意識を持っていない状態」であることも理解できるのである。つまり、「自分が保有している貨幣やお金」に関して、「裸の王様の衣服」のように、まったく疑問を抱いていない状況とも言えるのである。

具体的には、「世界的なマイナス金利の発生」という「お金を貸した時に金利が貰える状況」についても、世界中の人々が、問題意識を持たなかったわけだが、現在では、ようやく、「異次元金融緩和の反動」が世界的に発生し始めた状況のようにも思われるのである。つまり、「既存の金融システムが崩壊する可能性」に恐怖心を抱いた人々が、慌てて、本来の「マネー」である「金(ゴールド)や銀(シルバー)」などの現物を購入する動きが、世界的に発生し始めた状況のことだが、その結果として、これから予想される展開は、「お金の謎」の解明であり、また、「四次元の経済学」という「未来が読める経済学」の誕生のようにも感じている。

2025.3.25

ランダムウォーク理論の弊害

現在の「経済学や金融理論の停滞」に関しては、「ランダムウォーク理論の弊害」が要因の一つとして挙げられるようだが、実際のところ、「今日と明日の株価変化は正規分布の状態となるために、金融市場ではトレンドやサイクルは存在しない」ということが、私自身が40年ほど前に教えられたことだったのである。しかし、その後の「投資の実践」で海外のファンドマネージャー達から教えられたことは、「MBAの投資理論は実践の役に立たない」ということであり、そのために、私自身としては、「さまざまなサイクル論を応用しながら、未来予測に挑戦してきた状況」でもあったのである。

より具体的に申し上げると、「経済理論の有効性」に関しては、「どれだけの正確さを持って現状説明ができるのか?」が指摘できるが、「現在の経済学」については、「ほとんど役に立っていないのではないか?」とも感じられるのである。別の言葉では、「過去40年間の実践投資」において、私自身は、経済統計の数字をほとんど利用しなかったが、結果としては、「高いリターンを得ることができた」という状況だったのである。

より詳しく申し上げると、「文明法則史学の1600年サイクル」を利用することにより、「貨幣膨張のメカニズム」や「今後、世界の資金が、どのような商品に向かうのか?」について、ある程度、予測が可能な状況になったものと感じられるのである。つまり、「オリンピックの歴史」と同様に、「貨幣の残高」が「西暦1900年前後までの約1500年間にわたり、ほとんど膨張しなかった事実」のことである。

しかし、「1913年のFRB創設」や「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、未曽有の速度で「貨幣残高の膨張」が始まったことも見て取れるが、この点については、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時」と似たような展開だったことも理解できるのである。つまり、「過去50年余りの世界経済」に関しては、「デリバティブやデジタル通貨の大膨張」を理解しない限り説明が不可能な状況だったものの、この時に妨げとなったのが、「既存の経済学」や「金融理論」だったものと思われるのである。

そのために、これから必要なことは、「1600年前の歴史」を参考にしながら、「間もなく訪れるデジタル通貨の消滅の後に、どのような世界が訪れるのか?」を考えることとも思われるのである。つまり、「西洋の物質文明」が象徴する「奪い合いの時代」から「東洋の精神文明」が象徴する「分かち合いの時代」への移行であり、この時に役に立つのが、「日本の失われた30年間の分析ではないか?」とも思われるのである。

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion14201 : 250503〕