本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(60)

著者: 本間宗究 ほんまそうきゅう : ポスト資本主研究会会員
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日本の衆愚政治

「兵庫県議の号泣事件」については、たいへん驚かされるとともに、「世界中に発信されたことにより、日本の恥を、世界に晒(さら)したのではないか?」とも思われるが、この点については、「いろいろな議会での野次問題」を合わせて考えると、将来的に、「衆愚政治の典型例」として紹介される可能性もあるようだ。つまり、「21世紀の初頭、日本の政治が、これほどまでに堕落した」というような意見が出るものと考えているが、同時に、今回の「安倍首相の暴挙」についても、「立法府」である「議会」が、「実質的に、機能不全の状態になった」というような指摘も考えられるようである。

そして、このことにも、大きな意味が存在するものと考えているが、実際には、「失われた20年という期間が、どのような意味を持っていたのか?」という点に対する「考察」のことである。つまり、実際には、いろいろな「膿」が出た期間であり、表面的には、「日本の没落」の時期でもあったようだが、反対の観点からは、「日本人の覚醒」をするための「準備期間だったのではないか?」ということである。

具体的には、「民間企業」から始まった「不良債権の膿出し」が、次に「民間銀行」へと移行し、現在では、「国家に、不良債権が集中している状況」とも言えるのである。また、この時に、「政治家」や「官僚」が、「どのような考えで、どのような行動を取ったのか?」についても、明確な認識ができたようであり、その「極め付け」が、今回の、さまざまな「政治家に関する醜態」だったようにも思われるのである。

このように、現在の日本では、さまざまな難問が山積するとともに、「将来の展望」も描けないほどの状況になっているようだが、やはり、この時に大きな意味を持つのが、「日本人の覚醒」だと考えている。つまり、「第二次世界大戦の敗戦時」と同様に、「日本の惨状」を目の当たりにした時に、再度、「日本人全員」が、「知恵」と「汗」とを出し始める可能性のことだが、この時の必要条件が「真の危機感」を持つことだと考えている。

具体的には、「火事場の馬鹿力」のような状況が、「日本人」に生まれる可能性のことだが、実際には、これから想定される「本当のインフレ」の時に、すべての条件が整うものと考えている。つまり、「政治家」や「官僚」、あるいは、「学者」や「マスコミ」を含めた、すべての「国民」が、「総力を結集して、問題解決に当たるような状況」が生まれる可能性のことだが、この時には、「規制改革」などのような「生やさしい動き」ではなく、「明治維新」の時のような「大胆な改革」も想定されるようである。(2014.7.7)

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不思議な好景気

現在、世界的に「不思議な好景気」や「不思議な株高」が起きていると言われているが、実際には、きわめて「当たり前の動き」にすぎないものと考えている。つまり、「群盲、象をなでる」という言葉のとおりに、「目の見えない人々」が「象の尻尾」を触った時に、「象というのは、紐のようなものだ」と考えているような状況が、世界の金融界で起きているのである。具体的には、「実体経済」だけしか見ていない「現代人」は、「マネー経済で、どのような事が起きているのか?」を、ほとんど理解していないようだが、実際には、「相場は世の鏡」と言われるように、「マネーの動き」を見れば、「今回の好景気や株高の理由」も、はっきりと見えてくるようである。

別の言葉では、「株価の上昇」だけに目を奪われて、「国債」を始めとした「債券市場」については、「思考停止状態」となっており、実際には、「ほとんどの人が、国債価格暴落のリスクを忘れ去ったような状況」とも言えるのである。その結果として、「史上最高値」を更新する「アメリカ株」を中心にして、「バブルではないか?」とか「間もなく、暴落が始まるのではないか?」というような意見が、数多く出ているのである。

しかし、実際には、「約10京円」とも言われる「世界のマネー」が動き出した結果として、「2014年6月」という「午の年、午の月」から、「馬が走り出すようなインフレ」を意味する「ギャロッピング・インフレ」がスタートしたようにも感じている。そして、この時に起きることは、「予想以上の好景気」であり、また、「予想以上の株高」でもあるのだが、前述のとおりに、ほとんどの人は、訳が分からない状況に陥っているようにも思われるのである。

具体的には、「世界的な株高」と「超低金利状態」の「併存状態」に関して、「デフレだから超低金利状態になるのが当然だ」というような「考え」を持ち、結果として、「株式市場は間違えている」というような意見も見られるのである。しかし、実際には、「相場は常に正しい」ということが基本であり、そのために、「なぜ、現在、株高と超低金利が起きているのか?」を理解することが重要だと考えている。

つまり、今回の「BISの年次総会」でも指摘されたように、「世界の中央銀行による国債の買い支え」が、最も重要な点であり、今後、この点に関して、大きな転換点が訪れた時に、「世界中の人々が、不都合な真実を理解せざるを得なくなる状況」が訪れることになるものと考えている。(2014.7.7)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion4934:140731〕