本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(65)

著者: 本間宗究 ほんまそうきゅう : ポスト資本主研究会会員
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政府と国民との我慢比べ

現在の日本では、「政府」と「国民」との間で、「我慢比べの相場」が起きているようだが、実際に、「政府」が行っていることは、「ゼロ金利政策」と「国債の買い支え」による「時間稼ぎ」と「問題の先送り」とも言えるようである。別の言葉では、「国債」という「国家の借金残高」を増やし続けることにより、かろうじて、「国家財政の破綻」を防いでいる状況のことだが、一方で、「国民の態度」としては、依然として、「預金神話」にしがみ付いている状況も見て取れるのである。

つまり、ほとんどの人が、「預金」や「国債」を保有していれば「自分の人生は安泰だ」と考えているようにも思われるのだが、現時点で起き始めていることは、「商品価格の上昇」などにより、「預金の価値が、実質上、目減りを始めている状況」とも言えるのである。あるいは、いろいろな「増税」により、「収入面での目減り」も発生しているのだが、この時の「国民の心理」としては、より一層、「お金に対する盲信」が加速してきたようにも感じられるのである。

このように、過去数年間の動きを見ると、「政府の借金」は、「雪ダルマ式」に増えているものの、「日銀による国債の買い支え」により、表面上は、「全く問題が起きていないような状況」とも言えるようである。つまり、「アベノミクスへの信頼感」により、「時間が経てば、世の中の状況が好転する」と考える人が、依然として、多く存在するようだが、実際には、「預金や国債を保有する人々にとっては、日に日に、生活が苦しくなるような状況」になっているようである。

そして、この時に、「円安」が加わると、より一層の、「商品価格の上昇」も想定されるのだが、このことは、「政府」と「国民」の両方が、「座して死を待つような状態」とも考えられるようである。つまり、「国民の預金」を当てにして、「国家の借金」が増え続けている状態が継続しているものの、「実体経済」においても、「日本の国際競争力」の減少により、「外貨を稼ぐ力」が減退しているのである。

このように、現在では、「日銀による国債の買い支え」も厳しい状況となり、また、「国民生活」も苦しくなっているようである。そして、この原因としては、現在の「異常な超低金利政策」が挙げられるのだが、このことが、「BIS」が「一刻も早い、金融政策の正常化」を望む理由とも言えるのだが、今後の注目点としては、「政府」と「国民」のどちらが、「我慢比べに耐え切れなくなるのか?」ということでもあるようだ。(2014.8.26)

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平成26年8月豪雨

今年の夏の「異常気象」に関しては、気象庁により「平成26年8月豪雨」という、今までに聞いたことが無いような名前が付けられた。そして、私自身も、改めて、「大自然の威力」を見せつけられたようにも感じているが、実際には、昔の人々が抱いていた「天への畏敬」とは、「このような想いだったのではないか?」とも感じた次第である。

また、このような「自然災害」については、今後も、より一層の注意が必要なようだが、実際には、現代人が忘れ去った「天への感謝」を考え直す必要性のことである。つまり、かつては、「五穀豊穣」を感謝し、「お祭り」を行う事により、「自然との調和」が保たれていたようにも思われるのである。別の言葉では、「目に見えない力」を感じることにより、「過剰な収穫」や「際限なき欲望」が抑制されたようだが、現在では、「お金」が「神様」となった結果として、「マネーの大膨張による、過剰な需要が発生している状況」とも考えられるのである。

つまり、「地球の温暖化」が発生し、自然環境にも異変が生じたようだが、結局のところは、人々の「過剰な欲望」が、「自然」を破壊し、その結果が、「自然災害」という形となって表れた可能性もあるようだ。別の言葉では、「目に見えるもの」だけを信じることにより、「物質文明」が異常な肥大化をしたものと考えているが、この時の、最も大きな要因である「マネーの大膨張」は、いまだに、ほとんど理解されていないようである。

そして、この時に思い出されるのが、「東洋の言葉」である「天災の後に人災が訪れる」ということだが、現在では、この可能性が高くなっているようにも感じている。つまり、世界的な「金融システム」や「通貨制度」の「崩壊」のことだが、この点については、「海外で、盛んに悲観的な意見が噴出している状況」になっているのである。具体的には、「ニクソンショック」以降の、きわめて異常な「マネーの大膨張」と、過去数年間の、いわゆる「量的緩和」という名の下に実施された「国債の買い支え」により、「世界の金融システムは、間もなく、崩壊する可能性が高くなっている」というものである。

そして、「金利上昇が始まった時に、どのような事態が考えられるのか?」についても、いろいろと厳しい意見が出始めているが、実際には、今回の「自然災害」が、「天の警告」となり、間もなく、本当の「人災」が始まる可能性のことである。つまり、現在の「非伝統的金融政策」については、「歴史上、ほとんど例がないほどの、異常な状況」であり、今後の「反動」が、たいへん気にかかる段階になってきたということである。(2014.8.26)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion4998:140922〕