本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(70)

著者: 本間宗究:本間裕 ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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信用本位制の終焉

今年で、私も「還暦」の歳を迎え、人生の「節目の時」となるのだが、この間を振り返ると、ほとんどが、「デリバティブとの格闘期」だったようにも感じている。つまり、「1971年のニクソンショック」により「金本位制の時代」が終焉し、その後は、「信用」や「錯覚」を基にした「現代の通貨」が、歴史上、初めてとも言える規模で、大膨張したのである。そして、この間の「人々の意識」としては、「人生で最も大切なものは、お金である」というような「誤った認識」が広まり、その結果として、「デリバティブの大膨張」が起きたものと思われるのである。

しかし、今回の「デリバティブのルール変更」については、たいへん大きな意味が存在するとともに、実際には、「信用本位性の終焉」という「重大な変化の時期」を迎えたようにも思われるのである。別の言葉では、「世界中の人々」が、「現代の通貨」に関して、「認識を改めざるを得ない時期」が訪れたものと考えているのだが、この点については、「第二のリーマン事件」が起きた時に、はっきりと理解されるものと考えている。

別の言葉では、近い将来に、「通貨価値の激変」が起き、結果として、「お金の謎」が解き明かされる状況を想定しているのだが、それにしても、「1971年以降の世界」を振り返ると、「これほどの激動期は、かつて、存在しなかったのではないか?」とも考えられるようである。つまり、「マネーの大膨張」により、「さまざまなビジネス」が誕生し、また、「いろいろな技術革新」が行われたのだが、このことは、まさに「陽の面」であり、決して、否定できない事実とも言えるようである。

しかし、一方では、世界的な「環境破壊」が進行するとともに、「人々の心」も荒れ果てた状態になってしまったようだが、このことは、間違いなく「陰の面」とも言えるようである。そして、今後は、世界中の人々が、すべてを引き継ぎながら、新たな時代を迎えることになるようだが、この時に考えなければいけない点は、「世界的に適正な通貨量は、一体、どれほどなのか?」ということでもあるようだ。

別の言葉では、現在の「信用本位制」が崩壊した後に、「どのような通貨制度になるのか?」ということだが、残念ながら、この点については、「ほとんどの人が、問題意識を持たないだけでなく、現在の通貨制度に関する理解が存在しない状態」とも言えるようである。つまり、依然として、「裸の王様」のような状態が、現在の金融界で繰り広げられているのだが、この時に「ショック」をもたらすのが、「第二のリーマン事件」でもあるようだ。(2014.10.16)

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デリバティブのルール変更

「10月7日」の「FT(ファイナンシャルタイムズ)」で、「デリバティブのルール変更」についての報道があった。そして、「ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)」が、「10月11日」に正式発表を行い、「11月初めにも、実質的な適用が行われる予定」となっているが、今回のルール変更については、大きな注意が必要だと考えている。つまり、今回の目的が、「約700兆ドル(約7.4京円)」もの残高となっている「デリバティブ(金融派生商品)」に関して、「第二のリーマンショックを防ぐこと」とも言われているのだが、実質上は、ほとんど意味を持たない可能性が存在するからである。

より詳しく申し上げると、「18の世界における主要な金融機関」が、「過去数か月にわたり、複雑な議論を繰り返してきた」とも報道されており、この時に、「一部の金融機関の破たんが、その他の金融機関に悪影響を及ぼさないように協議が重ねられた」ともコメントされているのである。そして、このことは、「すでに破綻状態に陥っている主要金融機関の存在」が推測されるとともに、今後の「金融大混乱」の予兆となるような出来事とも考えられるのである。

つまり、現在の「世界的な金融システム」については、当然のことながら、「金融の輪」が形成されており、「一つの主要金融機関の破綻」が、全体のシステムを崩壊させる懸念が存在するのである。そして、このことが、「2008年のリーマンショック」の時に危惧されたことだったのだが、実際には、「ゼロ金利政策」や「量的緩和(QE)」などにより、「問題の先送り」が実施されたのである。

別の言葉では、「デリバティブの問題」が、一種の「飛ばし」のような状態になっており、実際には、「存在そのものが、ほとんど、隠されていたような状況」だったのだが、今回は、この点に関して、限界点が訪れたようにも思われるのである。つまり、「約700兆ドル」の「7割」が「金利デリバティブ」であり、今までは、「世界的な超低金利政策」を実施することにより、「問題の発覚」が防がれてきたものと思われるのである。

つまり、「金融界の大量破壊兵器」とも呼ばれる「デリバティブ」については、「30年程前に誕生し、その後、前代未聞のスピードで急成長した」という経緯があるのだが、今回は、「2008年」とは違い、「問題の先送り」ができない状況とも言えるようである。そして、早ければ、「11月中にも、第二のリーマン事件が起きる可能性」も存在するようだが、このことが、私が想定している「本当の金融大混乱」のことである。(2014.10.16)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5044:141112〕