本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(77)

著者: 本間宗究:本間裕 ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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世界的な国債バブル崩壊

現在の世界的な「国債バブル」には驚かざるを得ないが、最近の、日本の10年国債金利が0.25%、そして、ドイツの10年国債金利が0.44%という事態は、どのような理論を持ってしても説明が付かない状況とも言えるようだ。別の言葉では、「バブル崩壊」の直前に起きる「典型的な急騰相場」が発生しているようだが、実際には、「国債を買い続けなければ、暴落の危機に瀕する最終段階」とも思われるのである。しかも、日本国債については、「短期国債」のみならず、「3年国債」までもが「マイナス金利」となっているが、このことは、「国債を満期まで保有すると損失が出る状況」を表している。

つまり、「経済的合理性」は無視され、単に、「力任せの買い支え」が起きているようだが、このような異常事態に際しても、マスコミは、ほとんど、この点を指摘せず、大本営的なコメントに終始しているのである。換言すると、戦時中の「神風特攻隊」を髣髴させるような事態となっているが、これほどまでの異常事態の後に起きることは、何らかの「大事件」であることが、歴史の教えるところでもあるようだ。

つまり、「神風特攻隊」という、日本人の狂気的な行動に驚いた連合軍が、「原爆投下」という、人類史上において、稀に見る暴挙に出たような変化のことだが、今回も、同様の展開が予想されるようである。具体的には、「国債価格の暴落」、あるいは、「第二のリーマン事件」の発生とともに、先進国の全てで、「紙幣の大増刷」が始まる可能性のことだが、12月末時点においては、日銀券の発行残高が「93兆円」にまで膨らんでいるのである。

つまり、黒田日銀総裁の「バズーカ砲」については、すでに「弾切れの状態」になっている可能性があるようだが、これからの展開を考えると、実に、空恐ろしい状況が予想されるのである。 しかし、一方では、「窮まれば変じ、変じれば通ず」という「易経」の言葉のとおりに、「世の中が大激変の時期を迎えた時に、初めて、新たな時代が幕を開ける」という状況も予想されるのである。

つまり、「失われた20年」という言葉のとおりに、今までは、「日本人が、長いトンネルの中を、苦労して生き抜いた時代」だったが、今後は、「国家債務」や「デリバティブ」の問題が解消されることにより、多くの人が、新たな希望を持ち、より良い時代を送ることが予想されるのである。別の言葉では、いよいよ、最後の大混乱期が始まるものと考えているが、今後の「救い」となるのは、「ハイパーインフレは約6ヶ月間で終了する」ということだと考えている。(2015.1.7)

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恩返しの人生

ヤンキースの黒田投手が「21億円の年俸」を放棄して、「4億円の年俸」を提示した広島カープに復帰することとなったが、この理由としては、「古巣の広島カープに恩返しをしたい」という点が挙げられている。そして、このニュースを聞いた多くの外国人には、黒田投手が、日本球界に復帰する理由が分からなかったようだが、実際には、本当の「大和魂」の発現とも考えられるようだ。

また、「2006年末」から「2007年7月に金融大混乱が始まる」と警告したが、やはり、この時にも、ほとんどの人が実情を理解せず、単に、「大恐慌の再来」を危惧しただけの状況だったのである。そして、このような「人々の認識不足」が利用され、その後の「量的緩和(QE)」という名の「問題先送り政策」へと繋がっていったのだが、実際には、「世界の国家債務」が大膨張しただけであり、本当の問題点である「デリバティブ(金融派生商品)」については、一種の「飛ばし」のような状態になったのである。

「異次元の金融緩和」を継続し、「アベノミクス」を成功させることが、「黒田日銀総裁」が考える「恩返しの人生」のようにも思われるが、実際に起きていることは、「国民の富」を危険な状態に導いているようにも思われる。そのために、今後の展開には、きわめて大きな注意が必要だと考えているが、この点に関して想起されるのが、昨年に終了した「NHKの大河ドラマ」でもあるようだ。

つまり、「軍師 官兵衛」のことであり、この時も、「黒田」の「姓」が主人公だったが、興味深かった点は、最終回の「徳川家康との会話」だった。具体的には、「天下は誰のものか?」という問答のことだが、感動した点は、徳川家康の「天下は一人のものではなく、天下は天下のものである」という内容のコメントだった。そして、この時に、「徳川幕府が250年も続いた理由」が理解できたようにも感じたが、結局は、「個人の独裁」や「恐怖政治による支配」は長続きせず、「国民の一人ひとりが、安心してできる社会」を創ることが、最も大切なことのようにも思われたのである。

そして、このような観点から、再度、現代の「二人の黒田氏」を考えると、いろいろな点が見えてくるようだが、基本的には、「他人への思いやり」が、人生において、最も重要な点であることを教えてくれているようだ。つまり、「慈愛」という言葉のとおりに、「民を慈しみ、愛す」ということだが、このことは、「西郷隆盛」の「敬天愛人」という言葉と同義語であり、これから想定される大混乱期に、最も重要な「思想」であり、人々が追い求める「考え方」でもあるようだ。(2015.1.7)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5155:150202〕