本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(86)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
タグ: , ,

崩壊を始めた日米英の金融三国同盟!?

最近、最も驚かされた出来事の一つが、「イギリスが、AIIB(アジアインフレ投資銀行)へ参加を決めた」ということだった。つまり、今までは、「国債」と「金」との「金融大戦争」が起きており、この時に、「国債を守る陣営」において、「日米英の金融三国同盟」のようなものが、水面下で締結されているのではないかと考えていた。別の言葉では、「デリバティブ(金融派生商品)」を、最も多く保有しているのが、「イギリス」であり、また、その次が「アメリカ」という状況となっているのである。

また、「国債」については、「アメリカ」が最も金額が多く、次に、「日本」という順序となっているが、このような状況は、目に見えない「二つの金融ツインタワー」が、世界的にそびえたっている状態とも考えられるのである。そして、一方で、「中国」や「ロシア」などの国々は、大量に、現物の「金(ゴールド)」を購入しており、このことは、既存の「金融システム」や「通貨制度」への不信感の表れとも考えられるのである。

つまり、現在では、「日米欧の国々」が、大量の「国家債務」に悩まされており、また、現在の「量的緩和」が意味することは、典型的な「リフレーション(通貨膨張)政策」とも言えるのである。そして、「中国」や「ロシア」、あるいは、「インド」などの国々は、この点を熟知しているものと考えられるが、より具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、世界の通貨制度が、私が提唱する「信用本位制」へと移行したことを理解しているようにも思われるのである。

そして、このような状況下で、今回、「イギリス」が、「AIIB」への参加を表明したわけだが、このことは、「日米英の金融三国同盟」が、実質的に解消されたことを意味しているようである。別の言葉では、間もなく、「デリバティブ」に関して、何らかの大事件が起きる可能性が高まっており、そのために、「イギリス」は、「アメリカ」のみならず、「中国」に救いを求めようとしている可能性も存在するのである

また、過去数十年間の「マネーの大膨張」、そして、現代の「お金」に関する、質的な変化を考えると、これからの「金融大混乱」は、未曽有の規模となるようだ。そして、この時には、世界中の人々が、「お金の本質」を考え始めるものと想定しているが、過去の歴史からは、「偉大な発見は、大混乱期に起きやすい」ということも理解できるのである。つまり、人類史上、初めて、「お金の謎」が解けることにより、今後は、二度と、今回のような「金融バブル」が起きなくなる可能性も存在するものと考えている。(2015.4.6)

-------------------------------------------

五次元の経済学

現在の「経済理論」は、「三次元の経済学」とも言えるようであり、実際には、「現在」という「一瞬の空間」だけの研究に留まっているようだ。そして、私自身は、この点に対して、大きな疑問を抱き、「時間のサイクル」を付け加えることに注力してきたが、このことは、「四次元の経済学」だったようにも感じている。つまり、「市場経済が、時間とともに、どのように変化するのか?」という点だけを考えてきたようだが、この時に、いろいろな問題が存在したのも事実である。

具体的には、「共同体」に関する研究が、ほとんど進展しなかったのだが、実際には、「家族が、なぜ、無償の愛で、子供を育てるのか?」ということや、あるいは、「あの世に持って行けるものは、お金や名誉、あるいは、地位ではない」ということが、「人生において、どのような意味を持っているのか?」ということなどである。また、「なぜ、宗教が、人々に対して、大きな影響を与えたのか?」についても、長年、理解できなかったが、この時に、「五次元の経済学」という概念を想定すると、全てが解決するのではないかとも思われるのである。

つまり、私自身は、今まで、現在の「自分の人生」だけを考えていたために、さまざまな「矛盾」が解決できなかったようにも感じている。具体的には、今までに感じていた「天の貯金」や「徳を積む」ということが、「人生において、どのような意味を持つのか?」ということだが、この時に、「輪廻転生(りんねてんしょう)」、すなわち、「人は、何度も生まれ変わる」という概念を組み合わせると、たいへん興味深い事実が浮かび上がってくるようにも感じられるのである。

別の言葉では、古来、人々が信じていた「教え」や「倫理観」などが、「経済理論」と組み合わせることが可能なようにも思われるが、このことは、「宗教(神)」と「経済理論(お金)」との「融合」とも言えるようである。つまり、「彼岸(あの世)」と「此岸(この世)」を、併せて考えながら、「人生の目的」や「本当の幸せ」を理解することだが、この点については、今後、更なる研究が必要だと感じている。

そして、この点が、深く理解された時には、いろいろな「争い」が無くなるだけではなく、真に「平和な社会」が訪れるようにも思われるが、現時点では、まだ、多くの人が、「三次元の経済学」を信奉している状況であり、今後は、「四次元の経済学」が理解された時に、一挙に、「五次元の経済学」にまで進展する可能性が存在するようである。(2015.4.6)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5328:150507〕