ギリシャの金融混乱
現在、ギリシャの金融危機が再燃しているが、多くの人は、「再度、問題の先送りが実施される」という意見に傾いているようだ。つまり、「今まで問題が起きなかったから、これからも起きないのではないか?」というような「根拠なき楽観論」に支配されているようだが、この点については、「2011年」に起きた「3・11の大震災」や、その後の「原発事故」などを想起する必要性があるものと考えている。
別の言葉では、「蒔いた種は必ず生える」、あるいは、「因果応報」という言葉のとおりに、「人類が、今までに行ってきたこと」は、必ず、「結果」として現れるのが、「歴史の教訓」とも言えるのである。つまり、今回の「ギリシャの金融危機」については、「ギリシャ国民が、過剰な債務を抱え、資金繰りに窮した」ということが、根本的な原因であり、しかも、このような状況は、先進諸国でも、ほとんど同じ展開となっているのである。
このように、現在では、時間の経過とともに、先進諸国の「国家債務」が積み上がっているが、今までは、かろうじて、問題が表面化しなかった。別の言葉では、「前代未聞の規模で、問題の先送りが実施されてきた」という状況だったが、驚いたことに、ほとんどの人が、この点を指摘せず、単純に、政府が提唱する「量的緩和」という言葉や、あるいは、「デフレ」を信じ切っているようにも思われるのである。
具体的には、「中央銀行が、大量の国債を買い付ける」、しかも、この時に、「民間銀行から、買い付け資金を借り入れる」という方法は、典型的な「リフレーション政策」であり、過去の歴史からは、必ず、「通貨価値の下落」、すなわち、「ハイパーインフレ」に繋がったことが見て取れるのである。そのために、今回も、「時間の問題」で、同様の展開になるものと考えているが、現在の問題点は、やはり、「いつ、問題が表面化するのか?」という「タイミング」でもあるようだ。
つまり、世界的な「国債バブルの崩壊」が起きた後は、未曽有の規模での「金融大混乱」、具体的には、「金融システム」や「通貨制度」の崩壊が起きるものと考えているが、やはり、今回も、「どのようなバブルも、弾けるまでは、バブルの存在にも気付かない状況」となっているようである。つまり、「何が、問題なのか?」が、まだ理解されていないようだが、今回は、「ギリシャの債務不履行」が、「蟻の一穴」となり、その後、世界的な問題へと広がっていく可能性が高まっているようだ。そして、この観点からは、「4月」から「5月」の動きが、大きな注目点とも言えるようである。(2015.4.15)
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輪廻転生(りんねてんしょう)
19世紀の西洋では、「科学と宗教の対決」が起き、「科学の完全勝利」に終わった。そして、その後は、「科学万能の時代」となったが、この結果として起きた事は、人々の「意識」と「行動」の変化でもあった。つまり、「目に見えるもの」だけに関心が行き、「目に見えないもの」に対しては、「非科学的」というレッテルが張られるようになったのである。別の言葉では、「科学的に証明できないものは、真理ではない」という考えが主流となったために、人々が伝統的に信じていたものは、ほとんど、忘れ去られてしまったのである。
そして、その一つに、「輪廻転生」という考え方があるが、このことは、「人間は生まれ変わる」というものであり、また、「魂の記憶」だけが、「来世」に持って行けるというものである。つまり、「あの世に、お金や地位は持っていけない」という、古来、日本人が理解していた考え方のことだが、現在では、この点が、ほとんど忘れ去られたようである。その結果として、「現在の自分」だけが、最も大切なものであり、「自分の利益の為なら、どのような事でもする人間が、数多く存在する」ようにも思われるのである。
また、このことは、世界的な傾向のようにも思われるが、その結果が、現在の「世界的なマネーの大膨張」であり、具体的には、「約8京円ものデリバティブ(金融派生商品)」や「世界的な量的緩和」と言われる金融政策のことである。つまり、「政府の信用」を基にして、大量の「フィアットマネー」が生み出されたのだが、実際のところは、「絵に描いた餅」や「裸の王様」のような状況であり、「人々の信用」が失われると、一挙に、存在価値を失ってしまうことも想定されるのである。
つまり、現代人が、最も大切にしている「現代のお金」に関して、間もなく、歴史的な大事件が起きるものと考えているが、この時に想定されることは、「人々の意識と行動の大変化」でもあるようだ。具体的には、「戦後」、あるいは、「明治維新」の日本人が経験したように、「価値観の大転換」とも考えられるが、このような状況になって初めて、現代人は、「人生の意味」を考え直し、また、「歴史的な考察」を始めることになるようだ。
具体的には、前述の「輪廻転生」などを、改めて、考え直すものと思われるが、東洋学の基本としては、「生まれる前に、人生の90%が設計されている」という考えが存在するのも事実である。つまり、「あの世にいた時に、自分の使命を決めて、この世に生まれる」という考え方のことだが、この点が理解されると、多くの人々の人生観が変化し、また、多くの悩みや苦しみが減少するようにも思われる。(2015.4.14)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5340:150512〕