史上最大の金融バブル
「バブル発生」の歴史は、「マネー大膨張」と、ほぼ同じ軌跡をたどっていたようだ。つまり、西暦1600年頃に、「時は金なり」という思想が誕生し、その後、さまざまなバブルが発生したが、この原因としては、過去400年間に起きた、名目上の「マネー大膨張」が指摘できるものと考えている。別の言葉では、大膨張した「世界のマネー」が、いろいろな市場に溢れ出すことにより、時には、「チューリップの球根」、また、別の時には、「株式」や「土地」、あるいは、「国債」などの市場で「バブル」が発生したのである。
そして、現在では、「マネーの膨張」が、いよいよ、最終局面を迎えようとしており、今後は、「最後のバブル」が発生するものと考えているが、この時に考えなければいけない点は、これから、世界の「マネー」が、どのように変化していくのかということである。つまり、現在の金融界は、まさに、「根の無い切り花」の状態となっており、実際には、「根本の信用」が失われながらも、「表面上の金融商品」が、史上最大の規模となっているのである。
しかも、この時に、「国家の財政破綻」が危惧されながらも、「中央銀行による、大量の国債買い付け」が実施され、表面上は、「デフレ」や「超低金利状態」が演出されているようだが、これから想定されることは、世界的な「紙幣の大増刷」だと考えている。つまり、「どのような政府も、自ら破産を宣告した例はなく、必ず、紙幣の増刷で生き永らえる」という「ケインズの言葉」のとおりに、世界中で、大量の紙幣が溢れ出すことが予想されるのである。
つまり、「お金の性質」としては、「残高は、常に増え続け、最後に、インフレで消滅する」という点が指摘できるのだが、今回は、このことが、世界的に実験されようとしているのである。その結果として、「国民が、政府や通貨に対する信頼感を、完全に失う」という事態も予想されるのだが、この時に発生することは、「国民が、パニック状態に陥り、慌てて、実物資産へ、資金の移動を行う」ということでもあるようだ。
別の言葉では、今後、「数百兆円」、「数千兆円」、あるいは、それ以上の天文学的な規模で、紙幣の大増刷が、世界的に実施されるものと考えている。そして、このキッカケとなるのが、世界的な「国債価格の暴落」であり、すでに、「ドイツ」を始めとしたヨーロッパ諸国でも始まっているようだが、この時に予想されることは、さまざまな実物資産の価格が、信じられないほどに、急騰する状況でもあるようだ。(2015.5.6)
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アメリカの焦り
今回の「安倍首相の訪米」については、実際のところ、「アメリカの焦り」が現れていたようにも感じている。つまり、現在、「アメリカ」が頼りにできるのが、「日本」だけになったようであり、また、「イギリス」や「サウジアラビア」などが、徐々に、「アメリカ離れ」を実行している可能性である。具体的には、中国が主導した「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」に対して、「イギリス」のみならず、数多くのヨーロッパ諸国が参加した事実であり、また、現在の中東情勢に関して、アメリカの影響力が急速に減少しているようにも思われるのである。
そのために、今回、「安倍首相」に対して、「特別な待遇」や「議会演説」などが用意されたようだが、実際には、「日本に、どれだけの余裕が存在するのか?」が気にかかる状況とも言えるのである。具体的には、「アメリカの軍事費削減」に対して、「自衛隊が、どれほど、補完的な役割を果たせるのか?」ということであり、また、この時に、「日本国民が、どのような行動を取るのか?」ということである。
つまり、「日米同盟を強くする安保法制」に対して、「日本国内で、大きな反発が起きる可能性」が存在するようにも思われるが、この点に加えて、今後、「世界的な金利上昇」が始まると、「先進国の国内情勢」も、大きな問題になってくることが予想されるのである。具体的には、「国家の財政問題」のことであり、現在では、いよいよ、本格的な金利上昇が始まろうとしているようである。
別の言葉では、「日米欧の国々で、いよいよ、本格的な金融大混乱が始まる可能性」のことだが、現在の「日銀のバランスシート」、そして、「日本の信用乗数」については、まさに、危機的な状況と言わざるを得ないようである。つまり、現在では、「日銀のバランスシート」が、総額で「約332兆円」にまで増えており、また、「信用乗数」という、「日銀が出した資金が、どれほどの比率で、市中に回っているのか?」という数字が、現在では、「約3倍」という、きわめて危機的な水準にまで低下しているのである。
そのために、本来ならば、「アメリカ」に対して、いろいろな面で、きわめて厳しい対応で臨む必要があったようだが、「安倍首相」としては、「アベノミクスの成功」や「日本経済の発展」を信じ、「財政問題などは、全く、意に介していないような状況」のようにも思われる。しかし、この点については、間もなく、本格的な「金利上昇」が、世界的に始まった時に、はっきりと答えが出るものと考えている。(2015.5.7)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5384:150601〕