本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(91)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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グレートリセット

最近、海外では、「グレートリセット」という言葉が使われ始めた。そして、このことは、直訳すると、「偉大な仕切り直し」とでも呼ぶべき状況のようだが、実際には、「トータルメルトダウン」という「全面的な金融システム崩壊」を予想する人々が、大きな危機意識を持ち始め、今後、「金融システム」に関して、歴史的な大変化が起きることを想定しているのである。

しかし、残念ながら、現在の日本人にとって、この点は、全くの「対岸の火事」の状況とも言えるようである。つまり、「株価の上昇」だけに目を奪われ、「なぜ、現在、株価が上昇しているのか?」を、ほとんど考えようともしていない状況であり、その結果として、今後の「金利上昇リスク」に関して、ほとんど、無防備の状態とも考えられるのである。別の言葉では、「アメリカの利上げ」が行われようとも、「日本には関係が無い」と考えているようだが、このような状況は、典型的な「バブル状態」とも思われるのである。

そして、いつものとおりに、「バブルの崩壊後に、大騒ぎをする人が続出する状況」が発生するものと思われるが、現時点で、最も重要なことは、「過去100年間に、どれほどの変化が、世界の金融界に起きたのか?」を考えることでもあるようだ。別の言葉では、「なぜ、現在の日本で、ゼロ金利状態が可能なのか?」、あるいは、「なぜ、日本の国家債務問題が、依然として、収まっているのか?」を考えることだが、今後は、この点が、日本人の最も大きな関心事になるものと考えている。

しかし、現在では、「時すでに遅し」という状況であり、実際には、すでに、「ギャロッピング・インフレ」がスタートしているようにも感じられるのである。具体的には、「世界のマネー」が回転を始めており、結果として、世界的な株高が始まったようだが、前述のとおりに、現在の日本人は、ほとんど、「株高の真因」を理解していないようにも思われるのである。

つまり、「ケインズ」の言葉のとおりに、「通貨の堕落過程では、100万人に一人も気づかないうちに、事態が進行する状況」となっているようだが、問題は、その後の展開である。具体的には、現在の「株高」が、より一層、加速し、次に、「貴金属」を始めとした、さまざまな商品価格に繋がる動きのことである。別の言葉では、「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」へと移行する可能性のことだが、前述のとおりに、現在の日本では、誰も、この点を危惧していないようにも感じられるのである。(2015.5.25)

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金本位制復帰を目論む中国

5月20日のブルムバーグに、たいへん衝撃的な記事が出たが、それは、「中国が、金本位制復帰を目論んでいる」というものであり、また、かりに、そのような事態になれば、「金価格」は、「約50倍の6万4000ドル」にまで急騰する可能性があるというものだった。ただし、この点については、「金融システム」や「通貨制度の変遷」などを、深く理解する必要性があるために、現在の日本人には、ほとんど、意味不明の状況とも考えられるようである。

つまり、「過去100年間に、金融面で、どれほどの変化が起きたのか?」が理解できない限り、今回の記事が、どれほどの重大性を持っているのかが、分からない可能性も存在するのである。しかし、実際には、このような記事が出るほどまでに、世界の金融情勢は緊迫化しており、間もなく、多くの日本人も、この点についての対応が必要とされるようである。

別の言葉では、現在、海外で言われ始めたことが、「トータルメルトダウン」という「金融システムの完全崩壊」であり、この時に、「グレートリセット」という「全面的な仕切り直し」も考慮され始めているのである。具体的には、「日本の短期金利」が「1%」にまで上昇すると、「日銀の資金繰り」に問題が出るだけではなく、「国債価格」や「国債入札」に関して、さまざまな混乱が起きることも予想されるのである。

そして、その時には、「日本」だけの問題で収まらずに、「欧米の国々にまで、金融混乱が広がる状況」も想定されるのだが、このことが、前述の「トータルメルトダウン」が意味することである。そのために、以前から中国は、このことを見越して、大量の「金(ゴールド)」を買い付けてきたようだが、一説では、すでに、「1万6000トン前後」にまで、中国の保有量が増えているとも言われているのである。

つまり、人類が、今までに掘り出した「金」の「約十分の一」が、中国によって保有されている可能性もあるが、今回、「中国」は、この「金」を頼みにして、次の時代の「通貨制度」を模索しているものと思われる。具体的には、「日米欧の国々」が、本格的な金融大混乱に見舞われた後に、「金本位制」、あるいは、「商品バスケット本位制」の時代が到来することを予想しているようである。別の言葉では、「お金の本質」を熟知していると思われる「中国」や「ロシア」などは、現在の「信用本位制」が、間もなく、崩壊の時を迎え、その後に、新たな通貨制度が始まることを想定しているようである。(2015.5.25)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5435:150624〕