本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(99)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
タグ: , ,

宿業と原罪

「5次元の経済学」を考える上で、どうしても避けて通れないのが、東洋の「宿業」であり、また、西洋の「原罪」という考え方だった。具体的には、「前世での行為が、現世に引き継がれたもの」が「宿業」であり、そして、「アダムとイブが犯した罪」が「原罪」とのことだが、これだけでは、全く理解不能な状況とも言えるようである。そのために、この問題を、長年、考え続けてきたのだが、現在では、ぼんやりとした「解答」が見つかり始めたようにも感じている。

つまり、「人間」というのは、「肉体」と「魂」との融合体であり、このことは、「動物的な欲望」と「天や神の意志」という、二つの「矛盾したもの」が結び合っていることを意味しているようである。具体的には、「人間は動物であり、生きるためには、他の植物や動物を犠牲にしなければならない」という「当たり前の事実」が存在するのだが、この時に、「天や神の意志」としては、「全ての生き物は大切な存在である」と判断しているようにも感じられるのである。

そして、この矛盾を解決するのが、「調和」と呼ばれるものだと考えているが、実際には、「地球全体のバランス」が崩れないように、「種の保存のために必要な分だけ、他の生命を犠牲にする」という考え方のことである。また、「なぜ、このような矛盾が、根本的に存在するのか?」を考えると、結局のところは、「人生の目的」が、「魂の成長」にあるようにも思われるのである。

具体的には、「仏教」が教えているように、「成仏」という、「全ての人が、努力により、仏陀のような存在になれる」という考え方のことである。そして、このような水準に達するまでには、何度も生まれ変わりながら、さまざまな経験をすることが必要だと考えられているようだが、この時に理解できることは、「人生で、最も大切なものは、実際の体験である」ということでもあるようだ。

つまり、古来、人々が考えたことは、「お金は、あの世に持っていけない」ということであり、また、「現世で、どれだけ、多くの人に尽くしたのか?」、あるいは、「人生で、どれだけ、本来の使命を果たすことができたのか?」ということである。別の言葉では、「自分の人生は、生まれる前に、9割程度、設計されている」という考え方であり、実際には、「宿命」と呼ばれるものだが、現代人は、これらのことを考えず、単に、「お金儲け」だけを考えているようである。(2015.8.6)

-------------------------------------------

兵を取って、信を失う安倍首相!?

最近の「安倍首相」の言動を見ていると、「言葉に対する信頼感」が、急速に失われているようにも感じている。具体的には、「福島原発」について、以前に、「アンダーコントロール(管理は万全だ)」と述べたものの、実際には、ほとんど事故処理が進行していないようにも思われるのである。また、「東京オリンピック」についても、「資金は国家が保証する」と世界的に公約したものの、実際には、「いろいろな見直し」が起きているが、この時に思い出されたのが、「論語」にある「信なくば立たず」という言葉だった。

つまり、「孔子が、弟子から政治の要諦を聞かれた時の答え」のことだが、具体的には、「政治にとって、最も重要なものは、兵と食と信である」というものであある。そして、「強いて捨てるものは何か?」と、更に問われた「孔子」は、「最初に兵である」と答えたそうだ。また、「人間は、必ず、死ぬ運命にあるから、食は捨てても良いが、信だけはダメだ」とも答えたそうだが、このことは、「人間関係において、信用や信頼感が無くなると、殺し合いまでもが起きる状況」を表しているようである。

別の言葉では、現在の世界を見ても、いろいろな国で「内戦状態」となっているが、このことは、「同じ国民同士が、怨みの連鎖の報復合戦をしているような状況」とも言えるのである。つまり、「強い信頼感さえ存在すれば、兵は必要が無くなる状況」も想定されるのだが、現在の安倍首相は、「兵を取って、信を失う政策」を実行しようとしているようにも思われるのである。

より具体的には、今回の「安保法案」については、「安倍首相の積年の思い」を実現しようとして、「国民からの反発」を招いているようだが、その結果として、現在では、「安倍首相に対する信頼感」が激減している状況とも考えられるのである。また、「国会答弁」や「首相談話」などについても、「国内外からの反発を招くようなコメント」が、数多く聞かれるようにも思われるが、やはり、今後の注目点は、「今回の安保法案を、どのように処理するのか?」ということでもあるようだ。

つまり、「数の力を頼みにして、強引に法案を成立させるのか?」、それとも、「今回の国会での成立を見送るのか?」ということである。そして、かりに、「60日ルール」を使って、強引に法案が成立した時には、「国民からの、大きな反発」が予想されるだけではなく、「次回の選挙で、自民党や公明党が大敗する状況」も想定されるが、このことは、「政治家」に対する「信」が、完全に失われた状態とも言えるようである。(2015.8.14)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5665:150912〕