本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(211)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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サイバー・フィジカル・システム

最近、使われ始めた言葉に「サイバー・フィジカル・システム」があるそうだが、このことは、「サイバー空間」で得られた「ビッグデータ」を、「フィジカル」という「現実世界」において、「どのようにして利用すべきなのか?」を考えることであると理解されている。つまり、「仮想現実」と「リアル現実」との境界線を突破しようとする「目論見」のようにも感じられるが、実際には、さまざまな「誤解」や「錯覚」が存在しているようにも感じられるのである。

具体的には、「実体経済」と「マネー経済」との「混同」であり、また、「仮想現実」と「リアルの現実」についての、大きな「誤解」のことである。つまり、現在の「マネー経済」については、以前から指摘しているように、ほとんどの「通貨」が、「目に見えない単なる数字」という「サイバー空間で生み出された仮想現実の状態」に変化するとともに、「巨大な尻尾が、小さな犬の身体を振り回しているような状況」、すなわち、「世界中の人々が、お金に惑わされ、忙しく働かざるを得ない状態」となっているのである。

そして、現在でも、ほとんどの人が、この点に気付かず、「忙」という言葉のとおりに、「心が亡くなった状況」となり、しかも、このことは、世界全体に広がっているようにも感じられるのである。また、この原因が、「マネー経済」において、「デリバティブ(金融派生商品)」が大量に創られたことにあるようだが、実際には、「サイバー空間」で創られた「デジタル通貨」、あるいは、「コンピューターマネー」と呼ばれる、現代の「お金」が大量に存在する状況のことである。

ただし、現在では、「金融のメルトダウン」が進行し、すでに、「コンピューターマネー」が枯渇しかかっている状況であり、このことが、「金利の上昇圧力」を生み出し始めている。しかも、この時に、実際の「出口戦略」や「ステルス・テーパリング」などが実施されると、より一層、「金利」に対して、上昇圧力が加わることになるが、一方で、「金利の上昇」を放置すると、「中央銀行」のみならず、「国家の資金繰り」も、きわめて危機的な状況に陥ることも、容易に推測可能な状況となっているのである。

そのために、これから予想されることは、「マネー経済」における、「サイバー空間」から「フィジカル(現実世界)」へ「回帰」する事態、すなわち、「世界各国の中央銀行が、一斉に、大量の紙幣増刷を実施する可能性」のことだが、この点については、間もなく答えが出るものと考えている。(2018.11.11)

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信用本位制のジグソーパズル

私自身は、金融界に携わって、今年で「42年目の年」を迎えたが、現在、心の底から感じることは、「人生は山登りであり、また、ジグソーパズルを解くようなものだ」ということである。つまり、全ての人は、さまざまな「体験」を経て、確実な「真理」が積み上がることにより、「ジグソーパズル」が解け、徐々に「精神的なレベル」が上昇するものと考えている。そして、この結果として発生する現象が、「世の中の見通しが良くなる状況」、あるいは、「人類全体が進化する状況」のようにも感じられるのである。

また、この点に関して、私自身が感じてきたことは、「信用本位制のジグソーパズル、あるいは、謎」でもあったが、実際には、「1971年のニクソンショック」以降、現在の通貨制度となった「信用本位制」に関して、「時間の経過とともに、全体像が、徐々に見えてきた状況」のことである。そして、間もなく、「ジグソーパズルの全体像」が、完全に姿を現すものと考えているが、この点に関して、きわめて重要な「ヒント」となったのが「2018年9月」に発生した「世界的な金利上昇」だった。

つまり、「不良債権の発生と移行のメカニズム」を深く研究していた時に、実に「単純なメカニズム」が頭に浮かんでくるとともに、「信用本位制のジグソーパズル」に関して、「最後のワンピースが埋まったのではないか?」という感想を抱いたのである。別の言葉では、今まで悩まされてきた「デリバティブの大膨張」と「金利低下」の関係性について、はっきりとした「答え」が得られたようにも感じたが、この点については、間もなく、結論が出るものと考えている。

より詳しく申し上げると、現在、「未曽有の規模で、金利上昇圧力が高まっている可能性」が存在しており、このことは、近い将来に、「世界的な国債価格の暴落」という形で実現されるものと考えている。別の言葉では、本格的な「インフレ」が発生する可能性のことでもあるが、驚いたこととしては、現在でも、「ケインズ」が主張するとおりに「100万人に一人も、実情に気付いていない状況」となっているのである。

つまり、「金利が上がろうとも、また、財政赤字が増えようとも、自分の国の通貨だけは、常に安全である」と考えているような状況のことだが、実際には、「思考停止の状態」となり、単に、「惰性だけで生活している状態」とも言えるようである。その結果として、これから想定される大混乱に際して、世界中の人々がパニックに陥る局面も想定されるが、タイミングとしては、現在、「12月の甲子」という「暦」が気に掛かっている。(2018.11.11)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8218:181212〕