本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(212)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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時代の閉そく感が意味するもの

今年、つくづく感じさせられたことは、「時代の転換点」が差し迫っている可能性だったが、この理由としては、「時代の閉そく感」などが指摘できるものと感じている。具体的には、「トランプ大統領」による「既存の常識を無視した政策」や、「今までに考えられなかったような不祥事が、いろいろな分野で多発する事態」のように、「自分の無力感を痛切に感じさせられるような問題」が多発している状況のことである。

つまり、「文明法則史学」が教える「西洋から東洋の時代への移行」が発生しているために、「最終段階で、これほどまでの事件が発生するのか?」と驚かされ、また、「これから最も厳しい時を迎える可能性」を考慮しながら、身も心も引き締まる状態となっているのである。より詳しく申し上げると、現在、世界中の人々が「絶対的な価値観」を見出している「現代の通貨」に関して、「誰もが信じられないほどの事件」が発生する可能性が、きわめて高くなっているものと思われるために、身構えている状況のことである。

具体的には、今までに詳しく申し上げてきた「コンピューターマネー」、あるいは、「デジタル通貨」と呼ばれる「お金」のことだが、現在、不思議に感じることは、間もなく、「通貨の価値が無くなる可能性」が高まっているにもかかわらず、多くの人々が、「今まで以上に、現代通貨を大切にしている状況」である。つまり、「老後に必要な資金」などの記事やコメントが、数多く見受けられるが、この点については、「戦前の人々が、どのようにして生活してきたのか?」を考えれば、余計な心配のようにも感じられるのである。

別の言葉では、「人間は、窮地に陥ると、予想外の力を発揮するのではないか?」と感じているために、「取り越し苦労」は不必要だと思われるが、より重要な点は、「なぜ、現在、多くの人々が、将来の資金繰りを考えるようになったのか?」ということにあるようだ。つまり、前述の「時代の閉そく感」については、「将来に対する不安感」の「裏返し」であり、また、「変化への願望」を意味しているようにも感じられるが、結局は、「お金の力」が強くなりすぎた結果として、「お金が無くなる不安感」が強くなりすぎている状況とも想定されるようである。

そして、このような状況については、「明治維新の前夜」や「第二次世界大戦の終戦前夜」も似たような展開でもあったようだ。具体的には、「幕藩体制の崩壊」や「日本の敗戦」に怯えた人々が、表面上は「目先の安定」を望みながらも、「心の奥底」では、「新たな時代の到来」を待ち望んでいた心理状態だった可能性のことである。(2018.11.20)

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暦の5年サイクル

最近、「暦の5年サイクル」が気に掛かり、より深い研究を行ってきたが、実際には、「甲子」から「癸亥」までの「60か月(5年間)」のことである。より具体的には、「2018年11月」が「癸亥」という「5年サイクルの最終月」であり、「世の中の実情が、はっきり見えるとともに、爆発的な事件が発生しやすくなる」ということを意味している。つまり、「11月19日」に発生した「ゴーン日産会長の逮捕事件」が、この暦を象徴する、典型的な出来事だったが、同時に感じたことは、やはり、「これからの5年間が、激変の時期になる可能性」でもあった。

そのために、「1971年のニクソンショック」以降の、それぞれの「暦の5年サイクル」について、再度、調査し、その時々の「デリバティブ」と「金利」に関して、簡単な「表」を作成したところ、実に興味深い傾向があるようにも感じられた。つまり、「マネーの膨張」と「金利」に関する関係性のことだが、この時に、最も大きな意味を持っていたのが、いわゆる「量的緩和(QE)]と呼ばれる金融政策だったものと思われた。

より詳しく申し上げると、「金利」は「お金の値段」であり、当然のことながら、「お金の総量」が増えると「金利の低下」が発生することになる。つまり、「増えたものは、価格が下がる」という「天地自然の理」が働くわけだが、今回、「金利」に関して、最も重要な問題点は、「過去10年間の動き」だったものと思われるのである。具体的には、「2008年前後のGFC(大金融危機)」により、「デリバティブの膨張」がストップしたわけだが、「この時が、人類史上、最もマネーが大膨張した時だった」という事実のことである。

しかし、問題は、「その後も金利が低下し続けた」という事実でもあったが、ご存知のとおりに、「金利は、その後も低下を続け、2016年半ばに大底を付けた」という状況だったのである。そのために、この点には、長く悩まされたが、現時点の理解としては、この時に働いた力が、「デリバティブの収縮」が産み出す「金利の上昇圧力」であり、また、「先進各国の中央銀行により、大量の国債買い付け」が産み出した、きわめて大きな「金利の低下圧力」だった。

そして、「2018年までの5年間」は、この点に関する「転換期」であり、今後は、きわめて大きな「金利上昇の局面」に入るものと思われるが、今回の「ゴーン・ショック」は、「新旧の時代交代を告げる時の鐘」であり、また、「絶対権力者の暴走が終焉の時を迎えたことの象徴」のようにも思われた次第である。(2018.11.20)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8243:181222〕