金融界のブラックホールに隠された三つのバブル
私自身の「未解決の問題」として「2000年に、何故、国債バブルではなく、ITバブルが破裂したのか?」が存在した。つまり、「10年毎に、一次産品、株式と土地、そして、金利という順番で、バブルが発生し、崩壊する」という私の仮説に関して、実際には、「2000年に国債のバブルが崩壊せず、2019年にまで持ち越された」という状況だったことが理解できるのである。
そのために、さまざまな観点から、この問題を考え続けてきたが、現在では、「時空の歪み」で説明が付いたものと感じている。具体的には、「2008年前後に、約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブ(金融派生商品)」が「金融界のブラックホール」を生み出し、この中に、「三つのバブル」、すなわち、「1999年にピークを付けるはずだった国債のバブル」、「2009年に発生する予定だった貴金属のバブル」、そして、「2019年に予定していた株式と土地のバブル」が飲み込まれた状況のことである。
別の言葉では、「人類史上、未曽有の規模で大膨張した世界のマネー」が、「足掛け21年間」にわたる「日本の実質的なゼロ金利」や「世界的なマイナス金利」などを可能にしたわけだが、この原因として指摘できるのが、「1971年から始まった信用本位制」や「市場による信用創造」、そして、前述の「デリバティブ」だったのである。しかし、「2018年9月」に発生した変化は、「デリバティブの減少を、中央銀行のバランスシートの増加で埋め合わせる」という方法に限界点が達したことでもあった。
その結果として、この時から、「金融界のホーキング放射」という「隠されていたバブルの表面化」が始まったものと思われるが、この時の注目点は、「最初が、世界的な『国債のバブル』だった」という事実である。しかも、「トランプ大統領」が仕掛けた「米中の貿易戦争」と相まって、結果としては、「金利の低下」と「株価の下落」というように、典型的な「デフレの状態」に見えたわけだが、このことは、典型的な「インフレの前に発生する引き潮の状態」だったものと感じられるのである。
そして、今後は、「国債バブルの崩壊」とともに、残された「貴金属のバブル」、そして、「株式のバブル」が、今後の2、3年間で表面化する状況を想定している。つまり、いまだに「約6京円の残高」となっている「デリバティブ」に関して、「約1割の不良債権」が予想されるとともに、このことを処理するために、「世界各国の中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を始める状況」が想定されるからである。(2019.9.4)
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現代人の神通力
仏教では「成仏」という言葉のとおりに、「誰でも仏のような存在になれる」と教えられているが、この点に関する問題点としては、最初に、「現代人」が望んでいるものが、「天爵」という「精神的な成長」ではなく、「人爵」という、「地位や名誉、そして、お金」であるという事実が指摘できるものと考えている。つまり、「西暦2000年」の前後にピークを付けたものが、「お金で、人々の心までも買うことができる」という考え方だったが、現在では、「時代の価値観」が変化し、徐々に、「精神的な成長こそが、人生で、最も大切なことである」と理解する人々が増え始めたようにも感じられるのである。
別の言葉では、「文明法則史学」が教えるとおりに、「800年毎に、西洋的な価値観から東洋的な価値観へ移行する状況」のことだが、この点に関して、最も重要なポイントは、過去数百年間の「西洋の時代」に、「自然科学」という「目に見える物質」に関する研究が発展したことだと考えている。具体的には、「西暦1600年頃」に「時は金なり」という思想が誕生し、また、その前後から、「ケプラーからニュートンへ」という言葉で象徴される「科学技術の発展」が始まったことも見て取れるのである。
ただし、この時に、最も注目すべき点は、「現代人の神通力」とでも呼べるような「どのような方法で、革新的な智慧が得られたのか?」ということだと考えている。つまり、「脳」か、それとも、「心」か、ということだが、実際には、「ニュートン」や「エジソン」が指摘するとおりに、「何故」を考え続け、「99%の努力」の結果として、「1%の霊感や閃き」が得られた状況だったことも理解できるのである。
別の言葉では、「自分に与えられた環境」において、「日々の努力」を継続すると、必ず、「何故、このようなことが起こるのか?」という疑問が出てくるわけだが、このような「答えの出ていない問題」を、延々と考え続けた時に、初めて、「天や神の智慧」である「閃き」が得られるのである。しかも、このことは、「誰にでも、例外なく発生する現象」であり、実際には、このことが、前述の「成仏」が意味することだと感じている。
つまり、現代人が望んでいるものは、「答えがある問題」を、「いかに正確に、そして、速く答えるのか?」という「脳を重要視する態度」だったが、この結果として発生したのが、「脳と心の関係性」が産み出す「悩み」だったのである。そのために、今後は、「社会科学」においても、「自然科学」と同様に、「99%の努力と1%の霊感」が重要視され、この結果として、「社会全体が、飛躍的な発展を遂げる可能性」を想定している。(2019.9.10)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion9078:191012〕