本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(242)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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FRBの短期債購入計画

10月12日の「日経新聞」で「FRBが、今後、毎月6.5兆円もの短期債を購入する」という記事が掲載されたが、この点については、きわめて要注意の状況だと感じている。つまり、私自身は、「9月17日」に、突如として発生した「翌日物金利の急騰」に関して、本当の原因が理解されていない状況を危惧するとともに、今後、「米国の中央銀行であるFRB」に関して、「資金繰りが、きわめて厳しくなる状況」を想定しているために、「本当に、短期債の購入が可能なのか?」を疑問視している状況とも言えるのである。

より具体的に申し上げると、「民間金融機関の簿外(オフバランス)」で取引されてきた「デリバティブ」に関して、今までに「約2000兆円もの不良債権」が処理されたものと考えているが、今後は、「残りの約6000兆円が気になる状況」とも言えるのである。つまり、「2008年のリーマンショック」で「デリバティブのバブル」が崩壊し、ピーク時の「約8京円」が、現在では、「約6京円」の規模にまで縮小したわけだが、「この時に発生した不良債権は、約2000兆円だった」ものと想定されるのである。

そして、今までは、「中央銀行の国債買い付け」により「金利の上昇」が食い止められ、「問題の先送り」が成功した状況とも考えられるのである。別の言葉では、「金利の上昇」、あるいは、「国債価格の下落」を抑えることが、「先進各国の中央銀行における、最も重要な目的」であり、今までは、ありとあらゆる手段が実施されてきたわけだが、「9月17日」に発生した「翌日物金利の急騰」については、すでに、「全ての手段が使い果たされた状態」を表しているものと考えられるのである。

その結果として、「一時的な資金供給」が実施され、かろうじて、「金融システムの崩壊」が防がれている状況とも言えるようだが、今後の注目点は、「このような状況下で、どのようにして、短期債を6.5兆円も買い続けることができるのか?」ということである。別の言葉では、「トランプ大統領の圧力」に屈した「パウエルFRB議長」が、「従来の方法により、金利の上昇を抑えようとして、今回の発表が行われた可能性」を想定しているが、実際には、まったく「逆の効果」が産み出される可能性も存在するのである。

具体的には、「9月17日」まで、「民間の金融機関」から「中央銀行」へ「資金」が流れていた資金が、その後、「逆の流れ」となった可能性のことだが、今回のような「短期債の購入」は、「この流れを、より加速する状況」が想定されるために、今後、「中央銀行であるFRB」に「資金繰りの問題」が発生することも考えられるのである。(2019.10.21)

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空海の著書を読んで

最近、「空海の著書」に出逢う機会を得られるとともに、大きな衝撃を受けた状況でもあったが、その理由としては、私自身の「浅学菲才さ」に、あらためて「慙愧(ざんき)の念」を覚えたからである。具体的には、「空海」が、「24歳」で書かれた「三教指帰(さんごうしいき)」を読んだだけで、「どれほどの想いを持っていたのか?」が、はっきり理解できたようにも感じられたのである。しかも、その後、「遣唐使」として「唐」に渡り、「恵果和尚」と出逢った状況についても、再度、「奇跡が存在する可能性」を考えさせられるとともに、「57歳」で書かれた「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」については、「真言密教」の奥深さを、深く感じさせられた次第である。

ただし、同時に感じたことは、さまざまな疑問でもあったが、具体的には、「何故、私自身が、今まで、これらの著書を読む機会に遭遇しなかったのか?」ということであり、また、「なぜ、真言密教は、その後、法然や親鸞などの念仏仏教に移行したのか?」、あるいは、「1221年の承久の乱をキッカケにして、なぜ、日本人は、武士の時代に移行したのか?」などである。

別の言葉では、「明治維新以降の廃仏毀釈が、どれほど、現代人の思想に影響を与えたのか?」ということでもあるが、実際には、私自身も含めて、「多くの日本人が、『仏教』に対する正しい認識や理解を失った状況」だったようにも感じられるのである。つまり、「梅原猛氏」が主張するとおりに、「西洋諸侯に、武力や経済力で追いつき、追い越す」という「明確な目標」を持った「日本人」は、「簡素化された神道」の下に、「富国強兵」や「殖産興業」に邁進した状況だったようにも感じられるのである。

その結果として、現在の日本人は、「心」よりも、「お金」に対して、大きな価値を置くようになったものと想定されるが、このキッカケとなったのが「廃仏毀釈」であり、実際には、現在でも、いろいろな寺院で「首が切られた地蔵」が見かけられるのである。つまり、「仏教が抹殺されそうになった状況」のことだが、現在では、多くの日本人が、このような歴史が存在したことも忘れ去っているものと思われるのである。

その結果として、現在では、「心の闇」が、日本を覆っているものと考えているが、この点については、今回、「空海の書物」を読むことにより、あらためて、「文明法則史学」の正確性に自信を持った次第でもある。しかし、一方で、「心を失った人々が、今後、どのような社会を、世界的に創り出すのか?」が気になったことも事実である。(2019.10.23)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9199:191122〕