マイナス金利の功罪
1月29日に、「日銀のマイナス金利」が発表されたが、このことは、現在、いろいろな分野で、大きな「波紋」や「歪み」をもたらしているようだ。具体的には、「MMF」などが運用困難な状況に陥っている事態のことだが、より深刻な点は、「日銀の資金繰り」において、「現先運用」が消滅した事実とも言えるようである。つまり、今までは、「日銀が保有する国債」を担保にして、「短期資金」を借りていたのだが、現在では、「マイナス金利」のために、この残高が、一挙に、ゼロとなったのである。
その結果として、「政府預金」が「約38兆円」にまで急増しているが、このことは、「日銀が、政府から資金を借りて、国債を買っている状況」を意味しているのである。別の言葉では、「特別会計」などから、「余剰資金」を借り入れて、「国債」を買っているものと思われるが、実際には、「火の車」の状態が、より一層、加速している状況とも言えるようである。
そして、今後は、「政府預金の残高が、どこまで膨張可能なのか?」が、大きな注目点となってきたようだが、基本的には、たいへん近い将来に、限界点に到達するものと考えている。つまり、間もなく、本格的な「紙幣の大増刷」が始まるものと想定しているが、この時に予想されることは、強烈な「円安」であり、また、「金利の急騰(国債価格の暴落)」でもあるようだ。
別の言葉では、「1991年のソ連」のような状態になることだが、この点については、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の「カルアナ総裁」が指摘する通りの展開となっているようである。具体的には、「各国の中央銀行は、最後の段階で、どのような手段も行使する」という状況のことだが、その後、「市場の反乱」が起こると、「後追いで、金利を急上昇せざるを得なくなる事態」のことである。
つまり、「国債価格の暴落」が始まり、「長期金利の急騰」が起こると、その後は、「短期金利を上げることにより、通貨価値の防衛を計らざるを得なくなる状況」のことだが、すでに、「日本国債」については、「2月9日」に、「歴史的な大天井」を形成したものと考えている。そして、今後は、本格的な「市場の反乱」が始まることが予想されるのだが、「1991年のソ連」の場合には、きわめて短期間の内に、「国家の崩壊」にまで追い込まれたために、今回は、「世界の先進国」が、どれほどの金融大混乱に見舞われるのかが、大きな注目点とも言えるようである。(2016.2.15)
-------------------------------------------
二つの「打ち上げ花火」
「2016年2月」は、「歴史的な大転換の月」となったようにも感じているが、具体的には、「行き過ぎた金融資本主義」や「東西文明の交代」などにおいて、将来的に、語り継がれるような事件が発生した可能性のことである。つまり、今回は、二つの「打ち上げ花火」が揚がったことに、大きな注目をしているが、実際には、「北朝鮮のミサイル」であり、また、「日本の国債価格急騰」のことである。
そして、「これらの事件が、どのような意味を持っているのか?」については、年内にも、はっきりと見えてくるものと思われるが、「北朝鮮のミサイル実験」については、実際のところ、「国家の自殺的行為」とも考えられるようである。つまり、「瀬戸際外交」が行き詰まりを見せることにより、「経済的な困窮」が、より一層、強くなり、最後には、「南北朝鮮の統一」も、視野に入ってくるものと思われるのである。
別の言葉では、「1989年」に、「ベルリンの壁」が崩壊し、「東西ドイツの統一」が実現されたのだが、今後は、「南北朝鮮の統一」が実現されることにより、全く新たな時代が始まるようにも思われるのである。つまり、「ベルリンの壁」が崩壊した後に起きたことは、かつての共産主義国だった「ロシア」や「中国」までもが、実質的な「資本主義国」となり、世界的な「マネーの大膨張」に、大きな貢献をしたという事実である。
具体的には、「デリバティブ」や「国債」のバブルに関して、資金の供給源となったものと考えているが、その結果として、今回、発生したのが、もう一つの「打ち上げ花火」である「日本の10年国債が、マイナス金利にまで低下した(価格は急騰)」という事件だったようにも思われるのである。つまり、世界中の人々が、「資本」という「お金」に対して、「主義」という「最も大切なものである」という考えに染まった結果として、「お金の量」が増え、また、「お金の値段」である「金利」が急低下し、最後に、「バブルの大天井」が形成されたものと考えている。
しかし、今後は、「バブルの崩壊」により、急速に、「お金」の「実質的な価値」が減少するものと考えているが、東洋学が教えることは、「東西」が「物質世界」であり、また、「南北」が「精神世界」である。つまり、今後は、「物質文明」を代表する「お金」の時代から、「精神文明」の代表である「神」の時代へ移行を始めるものと考えているが、実際には、「お金が神様だった時代」が終焉することにより、新たな「神様」を、世界中の人々が、求める動きが始まるようにも思われるのである。(2016.2.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5959:160311〕