商品と通貨の将来
今後、最も憂慮すべき点は、「デジタル通貨の完全消滅」であり、また、「デジタル通貨で形成された金融商品が同様の展開になる可能性」だと考えている。そして、この点を理解するためには、「過去200年間に、どのような商品が産み出され、また、どのような通貨が創り出されてきたのか?」を理解することが必須の条件とも感じているが、実際のところ、「フローの性質」を持つ「商品」については、最初に、「一次産品」や「二次産品」、そして、「三次産品」や「金融商品」という順番で生み出されてきた状況だったのである。
しかし、一方で、「ストックの性質」を持つ「通貨」については、「金本位制」から、私が提唱する「信用本位制」というように、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、「通貨のデジタル化」が進行した状況だったのである。しかも、「1980年代初頭に誕生し、その後、2008年前後に約8京円の規模にまで発展したデリバティブ」については、「通貨と商品の二面性」が存在するが、「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)」で発生した変化は、「商品の性質」が消滅し始めた状況とも考えられるのである。
つまり、その後の「量的緩和(QE)」については、「デリバティブの減少」を埋めあわせるために、「中央銀行のバランスシートを急増させる政策」であり、実際には、「金融のメルトダウン」という言葉のとおりに、「大量に存在するデジタル通貨を利用しながら、国家の財政破綻を先延ばしする方法」だった可能性のことである。別の言葉では、「超低金利状態により、国民の預金を国債に移行させる方法」のことだが、この方法は、江戸時代の「貨幣改悪」と同様に、国民が気付かない限り、実施が可能な状況だったのである。
ただし、現在は、「デジタル通貨」が「紙幣」に代わり始めている状況下で、「デジタル通貨で成り立っている金融商品」、すなわち、「デリバティブ」や「債権」、あるいは、「預金」などが、存在の基盤を失い始めている段階とも言えるのである。つまり、今後は、「大量の紙幣」が発行されながら、一方で、生き残る商品としては、生活に必要な「一次産品」や「二次産品」とも考えられるのである。
しかも、今後は、大量の紙幣が、小さな規模の「実物商品」に流れ込む展開が想定されるわけだが、この時に考えなければいけないことは、「貴金属」や「食料品」などの価格が、「これから、どのような動きを見せるのか?」ということであり、実際には、「1923年のドイツ」や「戦後の日本」、そして、「1991年のソ連」などのように、生活に必要な商品の価格が、異常な急騰を見せる展開を想定している。(2020.8.22)
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コロナ・ショックが意味するもの
現在の「人々の最大関心事」は、やはり、「コロナ・ショック」とも言えるようだが、このことに関する注意点としては、お釈迦様の「象の教え」のとおりに、「この出来事だけに執着せず、全体像を捉えること」だと考えている。具体的には、「実体経済のマヒ状態」だけを考えるのではなく、「1971年のニクソンショック以降、実体経済とマネー経済が、どれほどの成長を見せたのか?」を具体的な数字で把握することである。
より具体的には、その時から、私が提唱する「信用本位制」という通貨制度が始まったわけだが、現在は、終焉の時を迎えようとしており、そのために、現在の「金融システム」を、より深く理解する必要性が存在するものと思われるのである。そして、この点に関して、決して、見逃してはいけない事実が、やはり、「デリバティブ」と「金利」の関係性であり、実際には、「1980年代の初頭から、デリバティブが大膨張を始め、その前後から、世界の金利が低下を続けてきた状況」だったのである。
しかし、現在、注目すべき点は、いよいよ、「金利の上昇」が始まろうとしている状況でもあるが、実際には、「デジタル通貨」という「目に見えないマネー」が、間もなく、完全消滅する可能性のことである。そして、この点に関して、再認識すべき点は、「大膨張したマネーが、世界の環境問題を引き起こした事実」だと感じているが、実際には、今まで、「地球環境を破壊してでも、デジタル通貨を獲得するべきだ」というような意識のもとに、経済活動が優先されてきた状況のことである。
別の言葉では、今後、「経済成長のコスト」とでも呼ぶべき「自然災害による被害」に耐え切れなくなる可能性も存在するわけだが、実際には、「人類の存在」そのものが許されなくなるような「自然災害」、あるいは、「地球環境の激変」をも考える段階に入ったようにも感じられるのである。そして、このような状況下で最も注目すべき点は、やはり、「金利の動向」だと考えているが、実際のところ、現在の「世界的な金融システム」を俯瞰すると、今後は、「金利の上昇」が止まらないような状況も想定されるのである。
つまり、「中央銀行の実情」を精査すると、「わずかな金利上昇で、デリバティブの完全崩壊と紙幣の大増刷が予想される状況」となっているのである。そのために、今後の注意点は、「どのような商品と通貨が生き残るのか?」を考えることであり、実際には、「衣・食・住」という「生活の基本」であり、また、「貴金属」という「本来の通貨」でもあるが、その後は、大混乱が終了した時から、新たな「東洋の時代」が始まる状況を想定している。(2020.8.26)
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コロナ・ショック後の金融混乱
これから注意すべき点は、「コロナ・ショック後の金融混乱」だと考えているが、実際には、「民間部門の利益減少」が「民間金融機関の資金逼迫」を引き起こす状況であり、また、「税収減と歳出増」が「国家の債務問題」を増幅させる可能性である。つまり、今までは、「国民の命を救うために、政府が、ありとあらゆる手段を行使すべきである」という認識のもとに、世界各国が、すべての手段を使い切った状況とも言えるのである。
しかし、今後は、「BIS(国際決済銀行)」が指摘する通りに、「インフレ税」という「紙幣の大増刷で大インフレを引き起こし、借金を棒引きにする方法」しか残されていない状況とも考えられるのである。しかも、現在は、「インフレ指数の盲点」により、「世界中の人々が、インフレの到来に気づいていない段階」、すなわち、「沖に白波が立っていながらも、大津波の存在に気づいていない状況」のようにも感じられるのである。
つまり、今後は、「実体経済」の「約10倍」という規模の「マネー経済」に関して、「金融面の白血病」が発生する展開を想定しているが、実際には、「国債の買い支えができなくなった中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を始める状況」のことである。別の言葉では、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手」が消滅し、資金繰りに窮した「国家」や「中央銀行」が、慌てて、大量の高額紙幣を発行し始める展開のことでもあるが、過去の歴史からは、時間的な余裕がなくなった状況のようにも感じている。
具体的には、いまだに存在する「約6京円ものデリバティブ」が、金利上昇とともに、姿を現してくる状況、すなわち、「メガバンクの巨額損失」となって表面化する可能性も想定されるのである。つまり、国際的に認識されている「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)」以降、「先進各国の中央銀行は、デリバティブの崩壊を隠すために、QE(量的緩和)という、国債を買い付けて、超低金利状態を形成した」という状況でありながら、ほとんどの人は、この事実に気付かなかったのである。
そして、今後は、今までの「ツケ」を払わされる時が到来したものと思われるが、この点に関する「現在の感想」は、「全てのことに大きな意味が隠されている可能性」であり、実際には、「天や神の計らい」とでも呼ぶべき状況である。つまり、「人類の進化」のために、すべての出来事が発生した可能性のことでもあるが、実際には、「世界の人々が叡智を結集して、地球環境の保全を考える必要性」であり、実際のところ、「米中の戦争」については、「時間的、経済的な余裕が消滅した状況」のようにも感じている。(2020.8.26)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion10137:200924〕