驕る平家は久しからず
「歴史を学ぶこと」と「歴史を経験すること」では「雲泥の差」が存在するものと感じているが、具体的には、現在の「マイナス金利」のように、「歴史的な大変動」の渦中にいると、「ほとんどの人々が、現状や未来展望が見えなくなる状態」のことである。そして、この点については、「驕る平家は久しからず」という諺が典型例の一つとも感じているが、実際には、「平家物語」の「平清盛」のように、「地位や財力を得て、思い上がり、勝手な振る舞いをする人が、栄華を保つことができない状況」のことである。
そして、私自身が想定する「現代版の平家物語」としては、「習近平氏」と「菅首相」が指摘できるものと思われるが、基本的には、「香港の国家安全法」と「日本学術会議への任命拒否」が、将来的に、「虎の尾を踏んだ事件」と評価される可能性が高くなったものと考えられるのである。ただし、この点については、現在、確固たる評価が定まっていない状況であり、このことが、前述のとおりに、「歴史の渦中」に存在する我々にとっては、「将来の展望」が見えない状況を意味しているのである。
また、没落の要因としては、「権力者の錯覚」が指摘できるものと思われるが、実際には、「反対意見を述べる人」や「自分の行動に反対する人」を排除することにより、「自分の権力」が強まったように誤解する状況のことである。つまり、「官僚の人事権を握り、官僚を意のままに操った」、あるは、「政敵を粛正し、権力を握った」というような「成功体験」により、「踏み越えてはならない一線」を超えた可能性のことである。
別の言葉では、「自分が神様になったような錯覚」を抱くことでもあるが、「このような状態に陥った人々は、驚くほどのスピードで没落するケースが多い」ということが、「過去の歴史」が教えることとも言えるのである。そのために、現時点では、「中国共産党」のみならず、「日本の自民党」の運命が気になる状況でもあるが、この点については、やはり、「世界の金利」が、大きな影響力を持っているものと感じている。
つまり、「なぜ、権力者が力を持つのか?」を考えると、実際には、「地位、名誉、そして、お金」に対する「大衆の執着心」が、大きな意味を持っているものと思われるのである。具体的には、過去数十年間に発生した「マネーの大膨張」、そして、「超低金利状態」が影響力を増幅させた可能性だが、実際には、「お金や地位のためなら、どのようなことでも行う」という、いわゆる「悪魔に魂を売った人々」が、数多く存在する状況のことであり、この点に関する答えは、今後の数年間で得られるものと感じている。(2020.10.2)
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ギブソンの逆説
最近、海外で注目され始めた言葉に「ギブソンの逆説」がある。具体的には、「金利と物価上昇率は正比例の関係にある」という理論であり、実際には、今から100年ほど前に、銀行家の「ギブソン(1866年~1957年)」が発見し、経済学者の「ケインズ」が広めたものである。そして、「なぜ、現在、この理論が注目され始めたのか?」については、「FRBのパウエル議長」が、「今後の物価上昇には、金利の引き上げで対応する」とコメントしたからである。
つまり、今後、典型的な「インフレ政策」が実施される可能性を、世界中の人々が認識し始めたものと思われるが、この点には、大きな注意が必要だと感じている。具体的には、「当時の金融システム」が、「金貨本位制」のもとに、「誕生したばかりの中央銀行」と「脆弱な民間銀行」が存在した状況だったからである。別の言葉では、「金貨」と「僅かな金額の預金、そして、兌換紙幣」などが存在したために、当時は、「物価の上昇時に、金利の上昇で対応する手法」が取られていたことも理解できるのである。
しかし、一方で、現在は、私が提唱する「信用本位制」のもとで、「天文学的な数字」にまで膨れ上がった「デジタル通貨」や「デリバティブなどの金融商品」が存在するのである。そして、今までは、「金融界のブラックホール」の中で、「デジタル通貨がデリバティブという金融商品に投資されていた状況」でもあったが、現在では、「紙幣の増刷」が始まるとともに、「実物商品への投資」が増えつつある段階となっているのである。
つまり、「貴金属」や「食料品」などの「一次産品」に対して、世界の資金が流れ始めた結果として、旧来の「インフレ指数」が上昇を始めたわけだが、この時の対処法としては、やはり、「金利の上昇」しか存在しない状況とも言えるのである。その結果として、冒頭の「ギブソンの逆説」が注目を浴び始めているわけだが、この点については、今までに申しあげたとおりに、「インフレ指数の盲点」や「ハイパーインフレの発生メカニズム」を理解する必要性があるものと考えている。
別の言葉では、「三次元の経済学」では解明できなかった「マネー理論」に関して、「時間の推移とともに、どのような変化が発生したのか?」を考える「四次元の経済学」を応用する状況のことだが、今回は、この点に加えて、「文明法則史学」という「800年に一度、東西文明が交代する」という展開が理解できない限り、今後の大混乱への対応が難しくなるものと感じている。(2020.10.3)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10237:201027〕