本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(284)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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思考のメカニズム

「心の謎」を考える上で、決して、避けて通れない問題の一つが「思考のメカニズム」の解明だと思われるが、この点に関して、劇的な進化が発生したのが「17世紀のフランス」だったようにも感じている。具体的には、「我思う、故に我あり」と述べた「デカルト(1596年-1650年)」や「人間は考える葦である」と述べた「パスカル(1623年-1662年)」などの出現により、「数学」、そして、「自然科学」の急速な発展に繋がった状況のことである。

つまり、「思う」という行為については、「思」という漢字が意味するように、「脳」を意味する「田」と「心」との関係性を表しており、実際には、「脳で認識された現象が、心で魂に繋がれた時に、さまざまな思いが発生する状態」とも考えられるのである。別の言葉では、「ニュートン」の「万有引力の法則」などように、「なぜ、すべての物質が、地球の中心に向かって引き寄せられるのか?」を考え続けた時に「閃き」が得られ、数学的に解明されたわけだが、このことは、私が想定する「神通力」の一種とも思われるのである。

より具体的には、「魂」の奥深くに存在すると思われる「神の智慧」、あるいは、「仏教」が指摘する「阿頼耶識」に、「心」が到達したときに、新たなアイデアが得られる状況のことである。しかし、この時に発生した問題は、「自然科学」を代表する「実体経済」と「社会科学」を兼ねている「マネー経済」との間に、きわめて大きな乖離が発生したことでもあるが、実際には、「フローである実体経済」の成長が、その後、「ストックであるマネー経済」の大膨張につながり、その結果として、「過大な債務を基にした、持続不能な過剰消費」が「地球環境の悪化」を引き起こしたものと考えられるのである。

別の言葉では、現在、「地球温暖化が継続し、数十年後に、人類が地球に住めなくなるような事態」までもが危惧されているが、実際には、依然として、世界各国で軍事力の増強が実施され、土地や資金などの奪い合いが発生しているのである。つまり、「人類全体が、自殺的な行為を行っている状況」とも思われるが、この時の問題点は、「人間の行為」を研究する「社会科学」の分野において、「神通力」が働いていない状態である。

具体的には、「お金の謎」や「時間のサイクル」、そして、「心の謎」を解明することにより、「地球と共生可能な経済開発」などを考えることでもあるが、実際には、「インフレ指数の盲点」や「デジタル化の落とし穴」などにより、より一層、「地球環境の悪化」に拍車をかけている状況とも言えるのである。(2020.11.3)

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国家の活力

老子に「大国を治むるは、小鮮を烹(に)るが如し」という言葉があるが、このことは、「国家の役割」として必要なことが、「小魚のような小さな存在である国民の形が崩れないこと」、すなわち、「国民が自由に独創力を発揮できるような環境を維持すること」を意味している。つまり、「共産主義」や「社会主義」の欠点としては、「計画経済」という言葉のとおりに、「国民の行動」を制限した結果として、「個人の自由行動」の成果である「閃き」などの「天の智慧」が得られにくくなる点が指摘できるのである。

具体的には、「エジソン」や「ニュートン」などに対して、「国家が定めた、興味を持てないような開発テーマを与える状況」のことでもあるが、現在の「自民党の政策」を見ていると、まさに、「ソ連時代の国家運営」を彷彿とさせる状況のようにも感じている。つまり、「国家が定めたテーマ」について「国家の資金を与える」というように、「国民の自由度」が狭まった状況のようにも思われるのである。

しかも、現在は、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」とでも呼ぶべき通貨制度の下、「国家が大量の資金を供給している状態」となっており、その結果として、「国家の権力」は、人類史上、最強、かつ、最大の状態となっているようにも考えられるのである。別の言葉では、「物質文明」という価値観を追い求めた「西洋の時代」が、最後の段階に差し掛かった結果、「大量のマネー」が創り出されたものの、「個人の自由度」が限定された状況のことである。

つまり、現在の「個人」、あるいは、「国民」は、「大鍋の中でかき回され、形を失った小魚のような状態」となっており、このことが、「環境問題」や「人権問題」、そして、「精神的な疾病」などの「さまざまな問題」を生み出しているものと思われるのである。しかも、現在は、「デリバティブの大膨張」が産み出した「大量のデジタル通貨」が、ほとんど使い果たされた状態となっていながらも、いまだに、この点が、ほとんど理解されていない状況となっていることも見て取れるのである。

具体的には、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS(国際決済銀行)」が指摘するように、「インフレ税でしか国家財政が維持できないような状況」、すなわち、「紙幣の大増刷が、間もなく、実施される可能性が高まっている状況」でありながら、この点がほとんど理解されていない状況のことだが、今後の注目点は、やはり、「世界的な金利上昇が始まった時に、どのような金融混乱が発生するのか?」だと考えている。(2020.11.7)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10331:201202〕