本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(301)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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プラトンと聖アウグスティヌス

今から1600年前に「西ローマ帝国の崩壊」という歴史的な大事件が発生したが、この時に著わされた「聖アウグスティヌス(西暦354年-430年)」の「神の国」を読むと、「西洋の物質文明が、どのようにして崩壊したのか?」が、ある程度、理解できるようにも感じている。具体的には、「ギリシャ神話」や「ギリシャ哲学」などを紐解きながら、歴史的な観点から、「西ローマ帝国崩壊の真因」を探ろうとしているからだが、この点に関して、私が興味を覚えた事実は、「プラトン(紀元前427年-紀元前347年)との類似点」が指摘されていることである。

より詳しく申し上げると、「古代ギリシャ哲学」の特徴として、それまでの「自然哲学」に加えて「道徳哲学」が産み出された点が指摘されているが、このことは、いわゆる「自然科学」だけではなく、「社会科学」が誕生した事実を表している状況のようにも感じている。つまり、「神が創った世界、あるいは、宇宙」において、「人間」という「動物の本能と神の魂を併せ持った存在」が誕生し、その結果として、「新たな文明社会」が形成され始めたものと想定されるのである。

そして、この点については、「真実の神は万物を創り、真理を証明し、浄福を与える」という「プラトンの言葉」が述べられているが、私自身としては、「この言葉に誤りがある可能性」を考えている状況である。つまり、「神は万物を創り、真理だけを与えている状況」でありながら、一方で、「人間が、虚偽の妄想などにより、四苦八苦の世界を作り出している状況」のようにも感じられるのである。

別の言葉では、「人間は精神と身体から成り立っている」、そして、「神と人間性との関係性が、命、霊、精神、そして、身体と時間を分析することにより明らかにされるのではないか?」というように、当時の人々は理解していたのである。つまり、現代人が忘れている「心や魂などの問題」について、「仏教」とは違った形で問うているわけだが、この時の問題点は、やはり、「心の謎」が解けていない事実のようにも感じられるのである。

より具体的には、私自身の「心の仮説」である「動物の肉体に神の魂が入ったことにより、心が誕生した可能性」を考慮すると、さまざまな問題が解けるものと感じている。具体的には、「人間社会が、どのようにして形成され、また、どのようなメカニズムが働いているのか?」という「社会学」や「唯心論」のことだが、今後の学問は、1600年前と同様に、この点が主流になるものと考えている。(2021.2.27)

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明治維新と天皇制

秋篠宮家の問題をめぐって、現在は、日本国民の間で、天皇制の存続そのものに疑問符が付くような状況となっているが、この点を理解するためには、明治維新と天皇制の関係を考える必要性があるものと感じている。つまり、天皇誕生日にあたり、天皇制の歴史を紐解くと、どうしても、「1221年の承久の乱」に行き着かざるを得なくなるが、不思議な点は、私が生まれた町に、「順徳上皇の御陵」が存在した事実とも感じている。

より詳しく申し上げると、「武士と天皇が戦い、武士が完全勝利した承久の乱」をきっかけにして、その後、約650年もの期間、天皇陛下の地位や権力は、ほとんど失われていた状況だったのである。しかし、1868年の明治維新で行われたことは、「廃仏毀釈」と「天皇陛下の復権」であり、実際には、「明治天皇に絶対的な権力を与え、殖産興業と富国強兵の道筋に突き進んでいった」という展開だったのである。

別の言葉では、「聖徳太子」などが推進した「仏教と神道の融合」が完全に断ち切られ、「多くの寺が破壊され、また、仏像は焼き払われたり、地蔵の首が切られたりした状況」だったことも見て取れるのである。つまり、「軍事力の増強」のためには、「天皇陛下の権力」が必要な状況だったものと思われるが、明治維新から77年目に発生したことは、「天皇陛下が現人神から普通の人になられた」という大変化だったのである。

より具体的には、「象徴天皇の誕生」ということでもあるが、ご存じのとおりに、「後半の昭和天皇」や「平成天皇」、そして、「令和天皇」に関しては、「国民に寄り添い、国民とともに暮らしてきた状況」だったのである。つまり、「多くの日本国民が天皇家を敬い、一般参賀などにも、数多くの国民が参加し、旗を振っている状況」でもあったが、今回の「秋篠宮家の問題」については、今までの国民感情を、完全に打ち壊すような展開となっているものと想定されるのである。

別の言葉では、「1945年の敗戦」から「二度目の77年という節目」を迎えようとしている現在、「天皇制そのものに関して、大きな揺らぎが生じている状況」とも思われるのである。つまり、今回は「軍事」ではなく、「お金」の問題をめぐり、「秋篠宮家」に関して、さまざまな問題が発生している状況でもあるが、この理由としては、やはり、「聖徳太子が命がけで推進した仏教」そのものが忘れ去られた点が指摘できるようである。そのために、現在、「日本人全体が、精神面での退廃状態に陥った可能性」があり、結果としては、その事実を気付かせるための事件だったようにも感じられるのである。(2021.2.28)

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金融メルトダウンの現状

「3・11の大震災」から10年経過した現在でも、「原発のメルトダウン」は危機的な状況となっているが、私自身としては、「世界的な金融情勢」を揺るがす「金融メルトダウン」の方が、より喫緊の問題のようにも感じている。つまり、「原発の問題」については、時間的な余裕が存在するものの、「2008年のリーマン・ショック」が引き起こした「金融界の大地震」、そして、その後に襲ってきた「金融面のメルトダウン」、すなわち、「インフレの大津波」については時間的な猶予が存在しない状況とも思われるからである。

別の言葉では、「金融の逆ピラミッド」を形成する「デリバティブ」や「債券」、そして、「預金」などにおいて、「約8京円」の規模にまで大膨張した「デリバティブ」が、「2008年以降、デジタル通貨を通じてメルトダウンを起こしている状況」のことである。つまり、今までは、「金融界のブラックホール」の内部で、「デジタル通貨」が「国債」や「ビットコイン」などのバブルを発生させてきたが、現在では、「超低金利状態の蓋」が剥がれ落ちるとともに、「紙幣」などの形で、「現実世界への資金流入」が始まっているのである。

そして、この点を理解するためには、やはり、「三次元の経済学」という「現時点の実体経済を古典的な経済理論で解明する方法」ではなく、「四次元の経済学」という「過去の歴史を遡り、マネー経済と実体経済が、どのような相関関係で変化してきたのかを考える理論」が必要だと考えている。別の言葉では、「四次元の経済学」を利用すると、きわめて明快な現状説明が可能な状況のようにも感じているが、実際には、「時が全てを証明する」という言葉のとおりに、「多くの人々が、現状理解に悩み苦しんだ時」にはっきりするものと思われるのである。

具体的には、「日米欧の中央銀行が、今後、どのような行動を取るのか?」ということであり、この点に関して、現在、最も必要なことは、「決して、表面上のコメントを信用しない態度」のようにも感じている。つまり、「第二次世界大戦末期の大本営発表」のとおりに、現在では、明らかに無謀な説明が行われている状況となっており、この結果として発生している現象が、「世界的な金利上昇」とも想定されるのである。

より具体的には、いまだに存在する「約6京円ものデリバティブ」に関して、たいへん近い将来に「本格的な崩壊」が発生する可能性のことだが、今後の注意点は、やはり、「紙幣の増刷」が広まった時に、「金融界の白血病」という「コンピューターのネットワークが利用できなくなる可能性」が指摘できるようである。(2021.3.9)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10695:210331〕