日銀離れを始めた日本の金融市場
8月3日付けの日経新聞によると、「日本株の日銀離れ」が始まったとのことだが、具体的には、「日銀による日本株の購入」に関して「買い付け金額」が激減している状況のことである。そして、このことは、「異次元の金融緩和」と呼ばれる異常事態に関して「正常化」が始まっている可能性とも思われる、この点において、最も注目すべき事態は、「当座預金と国債保有の残高が、今後、どのような変化を見せるのか?」ということである。
より具体的に申し上げると、「2012年から始まったアベノミクス」の本質は、「日銀が当座預金の残高を増やし、国債などの資産を買い付けることにより、超低金利状態を維持する」ということだったのである。別の言葉では、「金利やインフレ率の上昇がもたらす国家の財政危機」に関して、「デフレを喧伝し、国民の目をそらすこと」が主な目的だったものと考えられるのである。
その結果として、現在では、「日銀のバランスシート総額が約720兆円」、そして、「日本のGDPが約560兆円」というように、前代未聞の異常な状態が継続していることも見て取れるのである。つまり、「国民が気付かない限り、政府は、どのような暴政も実施が可能である」という状況となっているわけだが、この点については、「非理法権天」という言葉のとおりに、「最後に、天地自然の理が働き、世の中が正常化される」ということが過去の歴史が教えることである。
そして、現在は、「株式市場における日銀離れ」が発生している状況でもあるが、より注目すべき点は、前述のとおりに、「当座預金残高の変化」であり、実際には、「国民が預金を引き出して、実物資産に投資を始める展開」のことである。つまり、「銀行預金の残高減少」は、その後、「当座預金の残高減少」に繋がり、この時の問題は、「その時に、日銀が、どのような手段を行使できるのか?」ということである。
具体的には、「国債の売却」ができないために、「紙幣の増刷」が実施される可能性のことであり、このような状況下では、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣が、決済面での大問題を引き起こす可能性」が予想されるのである。つまり、以前から指摘してきた「金融界の白血病」のことだが、今回のオリンピックを見て感じたことは、「池江選手の復活からも理解できるように、混乱の時期が短期間に終わる可能性」であり、また、「人間の知恵と努力の結集、そして、ニーチェが指摘する超人の出現により、新たな世界が切り開かれる可能性」でもあった。(2021.8.4)
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ニーチェの超人思想と永劫回帰
「オリンピック」や「米国のMLB」における日本人の活躍を見ていると、「ニーチェ(1844年-1900年)の超人思想」が思い出されるが、このことは、「ラクダとライオン、そして、赤子という成長過程を経た人間は、超人的な能力を得ることが可能である」という考え方のことである。つまり、「大谷翔平選手」のように「努力目標のマンダラ」を作成し、「日々の努力」を実施した場合には、世界中の人々が驚くような実績を残すことができるということでもあるが、この時の注目点は、やはり、「スポーツ」に限らず、「どのような分野でも、人々の才能発揮が可能である」という認識だと考えている。
より詳しく申し上げると、「ヘーゲル(1770年-1831年)の弁証法」が指摘するように、「自分の疑問点に対して素直に向き合いながら、真理に到達する努力」を重ねると、誰もが予想できなかったような結果が得ることができるという認識である。そして、この点については、「煩悩即菩提」という仏教の教えとも共通点が存在するようだが、「ニーチェの問題点」は、「永劫回帰」という認識に執着したことだと感じている。
つまり、「精神面」よりも「肉体面」に囚われた結果として、「人間は、未来永劫、同じ人生を繰り返すのではないか?」と悩んだ可能性のことだが、この点については、やはり、「神は死んだ」という言葉が、すべてを物語っているようにも感じている。別の言葉では、「富だけに仕え、神に仕えることができない人々が増える」という「当時の時代情勢」に囚われた結果として、自分の人生に絶望感を抱いた可能性である。
ただし、「歴史の醍醐味」としては、この直後から「量子力学」が誕生し、また、「ミクロの物理学」という「目に見えない分野」の研究が始まり、実際には、「物質世界」から「精神世界」へと、人々の興味と関心が移行した展開も指摘できるのである。つまり、「マクロの物理学」では説明できない現象が、数多く出現した結果として、本当の意味での「神の見えざる手」が研究され始めたものと想定されるのである。
そして、この時に注目すべき点は、「永劫回帰」ではなく、「精神面の次元上昇」であり、基本的には、このことが、「キリスト教のアセンション」を意味しているものと考えている。つまり、「困難に直面した人々が、さまざまな悩みや苦しみを経たのちに、精神的な次元の上昇を経験する状態」のことだが、今回の「マネー大膨張」や「地球温暖化による自然災害」については、やはり、「西ローマ帝国の崩壊」以降、「1600年に一度の大転換期」に遭遇している状況のようにも感じている。(2021.8.5)
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シェルドレイクの仮説
ギリシャ時代からの「西洋哲学史」を研究すると、「一筋の流れ」が存在するとともに、「次元の上昇」が発生しているようにも感じられるが、具体的には、「人間とは、いったい、どのような存在なのか?」、あるいは、「時間とともに、世の中が、どのように変化しているのか?」などの疑問に対して、「ニュートンの力学」で、「現象世界における四次元の分析」が行われ、次元の上昇が発生した可能性である。
そして、現在では、100年ほど前から始まった「ミクロの物理学」、すなわち、「量子力学」や「分子生物学」などの発展により、「五次元以上の世界」が理解され始めているのである。また、この点に関して、きわめて興味深い意見が、「シェルドレイクの仮説」とも思われるが、私自身の感想としては、「仏教が教える法界(ほっかい)」と「現実世界」とのコミュニケーションの方法が説明されているようにも感じられた次第である。つまり、ウィキペデイアによると、次の説明がなされているが、この点については、今後、「社会科学の次元上昇」にとって、必要不可欠の考え方とも想定されるのである。
1:あらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する(時間的相関関係)
2:離れた場所に起こった一方の出来事が、他方の出来事に影響する(空間的相関関係)
3:形態のみならず、行動パターンも共鳴する
4:これらは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こる
より具体的には、「神が創った世界」である「大自然界」と「心を持った人間」が造 る「人間社会」の関係性において、「予定調和」や「内臓秩序」と言われる仕組みが働いている可能性のことである。つまり、「大自然界」において、今までは、「弱肉強食」が常識であり、人類も、数多くの「殺し合い」や「奪い合い」を行ってきたことも見て取れるのである。
ただし、この事実については、「人類の成長過程における必要悪」とでも呼ぶべき状況であり、今後は、「より高度な次元への移行」に伴い、全く新たな世界が誕生する可能性も予想されるのである。つまり、仏教が教える「浄土の世界」、あるいは、キリスト教が教える「千年王国」などが実現される可能性のことだが、この点に関して、最も注目すべき事実は、やはり、「1971年のニクソンショック」以降に発生した「目に見えないデジタル通貨によるマネーの大膨張」だったものと感じている。(2021.8.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11265:210904〕