本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(336)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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世界的な利上げの始まり

現在は、「世界的な利上げ」が始まった段階とも思われるが、この点に関して最も注目すべきポイントは、「過去20年あまりの超低金利状態」だと考えている。つまり、「金利」というのは「お金の値段」であり、今までの展開としては、「大量のお金が存在する時に、超低金利状態が発生する状況」だったことが見て取れるのである。別の言葉では、人類史上、最大規模の「デリバティブのバブル」が発生したために、「金融界のブラックホール」の内部で「大量のデジタル通貨」が産み出された状況のことである。

より詳しく申し上げると、「約2500兆円」の規模と言われた「日本の土地バブル」と比較して、「30倍あまりの約8京円」にまで、デリバティブの残高が大膨張し、ピークを付けた時に発生したのが、いわゆる「リーマンショック」だったが、現在では、この状況に関して、「GFC(金融大混乱)」という名前が付けられているのである。そして、その後は、いわゆる「量的緩和(QE)」という「デリバティブのバブル崩壊を隠ぺいし、先送りするような政策」が取られてきたわけだが、この時に発生したのが、「金融のメルトダウン」であり、また、「DX革命」と言われるものだったのである。

つまり、「大量に産み出されたデジタル通貨が、世界全体に広まった状況」のことであり、この過程で、さまざまな「ミニバブル」が発生したわけだが、この時の注意点は、「すべてが、金融界のブラックホール内の出来事だった」という事実である。別の言葉では、「コンピューターネットワークという仮想現実の世界で、デジタル通貨が活躍した状況」のことでもあるが、現在では、「仮想現実から現実世界への資金の漏れ出し」の結果として、「実物資産価格の上昇」が始まったものと想定されるのである。

より具体的には、「金融界のホーキング放射」、すなわち、「仮想現実から現実世界への大量の資金移動」が始まったものと思われるが、具体的には、「デリバティブが創り出したデジタル通貨が、紙幣となって現実世界へ流れ始めた状況」のことである。つまり、「オカネとモノとの関係性」において、「大量に存在する世界のオカネが、きわめて小さな実体経済のモノへ向かい始めた状況」のことであり、古典的な経済理論では、このことが、「インフレ(通貨価値の減少)」と理解されていたのである。

そして、今後は、「実体経済」の「約10倍」と言われている「マネー経済」が、正常なレベルに戻るまで、急激な「物価や金利の急騰」が発生するものと考えているが、基本的には、「2023年の8月頃」が混乱の最終段階になるものと感じている。(2021.10.20)

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コントロール不能なインフレ

海外では、現在、「コントロール不能なインフレ」、すなわち、「ハイパーインフレ」に関する議論が熱を帯び始めているが、具体的には、「IMF(国際通貨基金)が、米国FRBに対して、コントロール不能なインフレへの備えを警告した」というものである。そして、この点について、「イエレン財務長官」は、マスコミに対して、「インフレ圧力は高まっているものの、インフレがコントロール不能な状態に陥ることはない」と述べているが、実際には、いわゆる「リップサービス」とでも呼ぶべき内容だったものと感じている。

また、現在、この問題が過熱化している理由としては、「世界的なインフレ期待」を反映する「ブレークイーブンインフレ率(BEI)の急騰」が挙げられるが、実際には、「米国の5年国債とインフレ連動債との利回り格差」が「約3%」にまで上昇しているのである。つまり、「期待インフレ率=名目金利-実質金利」という「フィッシャーの方程式」において、現状は、「名目金利」を強引に抑えているために、「実質金利」が急速に低下している状況、すなわち、「通貨や預金などが、急速に目減りを始めている状況」とも言えるのである。

そして、このことが、現在の「世界的なインフレの加速」に関して、最も重要な要因となっているが、実際には、「金融界のブラックホール」に隠されていた「デジタル通貨」が、「紙幣」の形となって、「現実社会」へと流れだしてきた状況とも言えるのである。別の言葉では、「人類の歴史を辿っても、これほどまでの異常事態を見つけることが困難な状態」とも思われるが、「人間の性(さが)」としては、「水茹での蛙」の諺のとおりに、「長い時間をかけて達成された大変化に関しては、ほとんど気付かない状況」となっているのである。

つまり、「800年に一度の東西文明の交代」については、現在、ほとんどの人が気付かない状況となっているものと思われるが、実際には、「デジタル通貨が、ほぼ瞬間的に、雲散霧消となる状態」、すなわち、「人類史上最大規模のハイパーインフレ」が、今後の数年間で発生するものと想定されるのである。

そして、この点に関して、「IMF」や「FRB」などが、いろいろなコメントを述べ始めてきた状況というのは、「インフレの大津波」が、すでに「第二波」に入っている状況を意味しているものと思われるが、今後の注目点は、やはり、「いまだに約6京円も存在するデリバティブのバブルが、いつ、崩壊するのか?」ということだと考えている。つまり、「暦のフラクタル」」が意味する「11月23日前後」のことでもあるが、この点については、私自身の「最初の検証事項」のようにも感じている。(2021.10.26)

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IMFによるSDRの大量配分

「10月27日の日経新聞」では、「8月23日に実施されたIMF(国際通貨基金)による大規模なSDR(特別引き出し権)の配分」の記事が掲載され、「未曽有の危機下にある世界経済にとって強力なカンフル剤だった」と述べられている。つまり、「総額で6500億ドル(約71兆円)相当のSDRが、コロナ対応のために配分された」と述べられているが、私自身としては、内容に違和感を覚えたというのも間違いのない事実だった。

具体的には、「コロナ対応のためではなく、金融システムの崩壊を防ぐためだったのではないか?」という疑問のことでもあるが、最近の「IMFの動き」を見ると、「水面下でデリバティブ(金融派生商品)の完全崩壊が発生しているのではないか?」とも感じられるのである。つまり、いまだに「約6京円もの残高」が存在すると言われる「デリバティブ」については、過去数年間、「量的緩和(QE)の実施により、問題の先送りと時間稼ぎが実施された」という状況だったのである。

しかし、現在では、「デジタル通貨の枯渇により、テーパリングという国債買い付け金額の減少が始まった段階」となっており、今後は、「デリバティブの崩壊に伴う約6000兆円もの不良資産の処理」に対応せざるを得ない状況とも想定されるのである。つまり、過去のパターンから言えることは、「想定元本の約1割が不良債権化する状況」であり、今までは、「約2京円もの残高減少を、中央銀行のバランスシート大膨張で補っていた可能性」が指摘できるのである。

別の言葉では、「中央銀行の国債買い付けが実施可能な限り、超低金利状態の維持が可能な状況」でもあったが、現在では、「資金の枯渇により、徐々に、世界的な金利上昇が始まった段階」とも言えるのである。あるいは、「実質金利の急低下により、預金や通貨の目減りに気付いた人々が、慌てて、実物資産の購入が始まった状況」であり、このことが、さまざまな商品価格の急騰を引き起こしているものと考えられるのである。

そして、今後は、「誰もが驚くような大事件の発生」により、「40年以上も継続したデリバティブのバブル崩壊」や「1971年から始まった、現在の信用本位制という通貨制度の崩壊」が表面化するものと想定されるのである。つまり、「世界各国の中央銀行が、こぞって、大量に紙幣増刷に迫られる状況」のことであり、この時に予想される「換物運動」は、前代未聞の規模になるものと思われるが、現在は、「銀(シルバー)」や「プラチナ」などの購入が困難になり始めている段階である。(2021.10.27)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11540:211204〕