本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(364)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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共産主義者の階級闘争

「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」や「中国共産党の帝国主義的な行動」などを見ると、かつての共産主義国では、いまだに、「共産主義の亡霊」が存在しているようにも感じている。具体的には、「ブルジョア階級に搾取されたプロレタリア階級は、階級闘争により復権を果たすべきである」というような、「短絡的、かつ、誤った認識」のことでもあるが、この理由としては、やはり、「西洋文明に特有の奪い合いの思想」が働いている状況が指摘できるものと思われるのである。

より具体的には、今までの「階級」という「人爵」、すなわち、「この世における地位や名誉、そして、お金」などを求める「唯物論的な態度」が変化し、今後は、「東洋文明に特有の唯心論的な態度」、すなわち、「身分」や「天爵」などの「精神、あるいは、霊性に関する地位」が、より重要視される時代が訪れるものと考えられるのである。つまり、「階級闘争」から「高貴な身分を追求する時代」への移行のことであり、実際には、「お金持ち」よりも「高貴な精神や思想の持ち主」が尊敬される時代のことである。

別の言葉では、「土地や資金などを奪い合った帝国主義や資本主義」ではなく、「地球との共生を図り、他人への助け合いや分かち合いが重視される時代」のことでもあるが、この時の注意点は、やはり、「文明の相転移」という「時代とともに、社会の様相が変化する事態」とも言えるようである。つまり、過去数千年間の「人類の歴史」を辿ると、「複雑化」が進展し、「進化と創造のメカニズム」が働いている状況となっており、実際には、「大自然の真理」を追究する「自然科学」においては、「11次元」にまで進化している状況となっているのである。

しかし、一方で、「人間社会の真理」を追究する「社会科学」においては、いまだに、「三次元の段階」に留まっており、このことが、現在の「世界的な混迷」を生み出している「最大の要因」のようにも感じられるのである。別の言葉では、「カオスの縁」と呼ばれる「次のステージへの移行期」である可能性のことだが、このような状況下で発生する現象は、やはり、「既存の常識が破壊される事態」とも言えるようである。

つまり、これから予想される大変化は、「現代の神様」となった「デジタル通貨」に関して、「世界中の人々が、実態を知らされるような大事件の発生」であり、また、その後、「全く新たな価値観」が生まれる可能性であり、実際には、「デリバティブのバブル崩壊」だと考えている。(2022.5.19)

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天国の消滅

スチュアート・カウフマン著の「自己組織化と進化の論理」では、たいへん興味深い指摘がなされているが、それは、「過去数百年間に、天国が消滅した」というものであり、この理由として、「天国は、罪によってではなく、科学によって消滅した」とも述べられているのである。そして、この点については、「聖書」が指摘する「神と冨とに同時に仕えることができない状況」の証明とも言える事実であり、実際には、「800年毎に発生する文明の大転換」が、その原因として挙げられるものと感じている。

つまり、西暦1200年前後から始まった「西洋の時代」においては、前半の400年間で、「ルネッサンス」という「古代物質文明の復活を望む動き」が発生し、その後、後半の400年間で、「時は金なり」という思想の誕生、そして、「資本主義」という「お金が最も大切である」という社会が形成されていったのである。別の言葉では、「富に仕える社会」が完成形を迎えたのが、「西暦2000年前後」だったものと考えているが、実際には、「マネー大膨張のピーク」が「西暦2010年前後」であり、このことは、約1600年前に発生した「蛮族によるローマ襲撃」と同じような意味合いを持っていたものと考えられるのである。

また、「西暦400年から1200年までの期間」については、「人々が神に仕えた時代」であり、この時には、「多くの人々が、聖アウグスティヌスが考えた『神の国』を求めた状況」だったものと想定されるのである。別の言葉では、「東洋の唯心論」、すなわち、「目に見えない世界を模索する動き」が活発になったものと推測されるが、この点については、現在の「ミクロ物理学」である「量子力学」や「分子生物学」などが、同様の役割を担い始めた状況のようにも感じている。

つまり、「世界の絶えざる進化と創造」が、「138億年前に発生したと言われるビッグバン」以降、常に持続しているものと思われるが、現在の問題点は、やはり、「村山節氏」が発見した「文明法則史学」が理解されず、その結果として、「西洋文明が全てである」という誤解が存在している状況とも言えるようである。別の言葉では、「西暦1200年前後の状況」を検証すると、「十字軍」の実例からも理解できるように、「西洋人は、強大なイスラム諸国から、聖地イスラエルを奪回しようとしていた状況」だったのである。そのために、現時点で必要なことは、「神の国を求める運動が、再度、物理学から始まっている事実を認識すること」であり、また、「この事実は、大インフレにより、マネーが実質的に消滅したときに認識される可能性」を考慮することだと感じている。(2022.5.25)

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小さいこともいいことだ

1968年に発表され、一世を風靡した「山本直純氏のCMソング」は、「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉を代表するような歌詞だったものと考えているが、実際のところ、「大きいことはいいことだ」という言葉は、当時の「規模の経済性」を象徴していたようにも感じられるのである。つまり、「鉄鋼業」や「石油化学産業」などにおいて、「規模の増大に伴い、コストが減少し、利益率が上昇するスケールメリット」が発生していたことも見て取れるのである。

そして、その後は、「1971年のニクソンショック」から始まった「世界的なマネーの大膨張」により、「規模の経済性」は、「実体経済」から「マネー経済」へと移行していったものの、現在では、反対に、「小さいこともいいことだ」、あるいは、「大きいことにはリスクが伴う」というような状況となっているものと感じられるのである。つまり、「規模」が大きくなったものの、「売り上げ」が減少し、その結果として、増大した「コスト(費用)」により、「赤字に陥る可能性」が危惧される企業や組織が増えてきた状況のことである。

より具体的には、「成長が止まった大企業」や「財政赤字に悩まされる国家財政」などの場合には、「売り上げや税収」よりも、「費用や歳出」の方が、より大きな金額となり、その結果として、「負債の増加」が止まらない状況も想定されるのである。そして、この点については、「国家の規模」にも応用ができるものと考えているが、実際には、「食料価格などが上昇しているときに、巨大な人口を有する国家が、不利な状態に陥る可能性」である。

つまり、「産業革命以来の約200年間」については、「スケールメリット」が働いていたものの、現在では、この動きが逆流を始めている可能性も想定されるのである。具体的には、「エンゲル係数の増加」などのように、「収入に比べて、食料などの生活必需品に使う金額の増加」が想定されるとともに、「この動きが、国家全体の統制力に悪影響を与える可能性」も考えられるのである。

しかも、今回は、「大量に創造されたデジタル通貨が、わずかな期間のうちに、紙幣に変換され、実物資産へ流入を始める可能性」も予想されるために、現時点で必要なことは、「時代遅れの考え」とも言える「大きいことはいいことだ」を忘れることだと感じている。つまり、これからは、「小さなこともいいことだ」という、柔軟な考えのもとに、未曽有の規模での金融大混乱を乗り切る必要性があるものと考えているが、この点に関して、残された時間は、ほぼ数か月という状況となっているものと感じている。(2022.5.26)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12147:220625〕