本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(368)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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財政健全化の旗

6月19日に開催された「令和臨調」で、岸田総理は「財政健全化の旗を掲げ続けなければならない」と述べたが、この事実から思い出されることは、やはり、「1945年の状況」であり、実際には、「最後の最後まで、日本人を戦争に駆り立てた展開」のことである。具体的には、「1868年の明治維新から77年後の1945年に、日本が戦争に敗れた状況」のことだが、その77年後の「2022年」においては、「日本のみならず、全ての先進各国が、金融戦争に敗れる可能性」が出てきたのである。

そして、このキッカケとなるのが、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手消滅による金利の急騰」だと考えているが、現在では、「世界各国で、急速な利上げが実施され、国債価格の下落が顕著になり始めている状況」とも言えるのである。つまり、現在は、「金融界の大量破壊兵器」と言われる「デリバティブ」の破裂が近づいている段階とも思われるが、仮に、私の想定どおりの大事件が発生すると、その後は、「1945年の日本」と同様に、「人々の意識と行動が、大きく変化する可能性」も考えられるのである。

具体的には、当時の「軍国主義から民主主義への大転換」のような変化が発生する状況のことだが、今回も同様に、「大混乱の発生後、時間の経過とともに、徐々に、現状認識が可能になる展開」を想定している。つまり、「焼け野原の中から、徐々に、歩みを始めた状況」のことだが、今回は、「デジタル通貨の完全崩壊」という「金融面の焼け野原」の中から、次の時代を模索する動きが始まるものと考えられるのである。

そのために、これから必要とされることは、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」に関して、「過去50年余りの期間に、どれほどのマネーが創り出されたのか?」、あるいは、「世界の実体経済が、どれほど、デジタル通貨の大膨張に影響を受けたのか?」を理解することである。そして、この手法により、「デジタル通貨の消滅後に、どのような時代が訪れるのか?」、あるいは、「所得が激減した時に、どのような世界が展開するのか?」が想像できるものと思われるのである。

より詳しく申し上げると、「1991年のソ連」や「1945年の日本」、あるいは、「1923年のドイツ」などを参考にしながら、「今後、人々は、どのような錦の御旗を掲げるのか?」を考えることである。そして、この時の反面教師となるのは、やはり、現在の「政治家」や「官僚」、そして、「学者」などであり、今後は、「理論よりも実践が重要視される時代」が訪れるものと感じている。(2022.6.20)

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西洋文明の道徳的負債

6月22日の日経新聞に掲載された「スイスの経済的脱中立」の記事には、いろいろな面で刺激を受けたが、その理由としては、「道徳的な負債」という言葉が指摘できるものと感じている。つまり、スイスは、今まで、経済的な中立の態度を貫いてきた状況でもあったが、今回の「ロシアへの制裁」に関しては、大きく態度を変え、「ロシアからの天然資源の禁輸という措置を講じた」とも報道されているのである。

そして、この点に関しては、「800年間にわたり継続してきた西洋物質文明の終焉」を象徴する出来事の一つのようにも感じられたが、その理由としては、「経済的な繁栄よりも、道徳的な負債を重視した」という点が挙げられるようである。つまり、「1600年前のローマ帝国」と同様に、「西ローマ帝国のような富に仕える時代」が終焉し、「東ローマ帝国のような神に仕える時代」が始まった可能性のことである。

より詳しく申し上げると、「スイス」という「富を象徴する国」において、「道徳的負債」が発生したことは、いわゆる「罪の意識」が芽生えた状況とも思われるが、実際には、「地球環境を無視して、人類が経済的な繁栄を望んできた歴史」や「ロシアによる非人道的、かつ、帝国主義的な行為」などに関して、「このままではいけない」という「強い思い」が発生したものと想定されるのである。

別の言葉では、「精神的な空虚感」が発生した状況とも思われるが、実際には、「スイスの銀行内に存在する数多くの金庫内に、どのような資産が存在するのか?」という事実について、冷静な目で眺め始めた可能性のことである。つまり、本来の「マネー(お金)」である「金(ゴールド)」や「政府の発行する紙幣」などについては、きわめて小さな金額にすぎず、ほとんどの資産が、「デジタル通貨」という「影も形も存在しないマネー」に変化してしまった状況のことである。

そのために、現在、彼らが感じていることは、「何のために、我々の人生が存在しているのか?」という疑問のようにも思われるが、実際には、このことが、前述の「西ローマ帝国から東ローマ帝国への極端な移行」が発生した主因とも考えられるのである。ただし、今回は、1600年前とは違い、「量子力学」や「分子生物学」、あるいは、「複雑系の科学」などの存在により、「自然科学」のみならず、「社会科学」の劇的な発展が展開される可能性に期待しているが、実際には、「デリバティブのバブル崩壊」が引き起こす「デジタル通貨の瞬間的な消滅」が、直接的なキッカケになるものと感じている。(2022.6.23)

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金融敗戦と日本国民の覚醒

1868年の明治維新から「77年後」の1945年に、「日本の軍事的敗戦」という大事件が発生したが、現在では、「1945年から77年後の2022年」に、「日本を含めた世界各国が、金融敗戦に見舞われる可能性」が高まっているようにも感じている。つまり、「明治維新」のスローガンである「富国強兵」に関して、前半の77年間で、「強兵の問題点」が明らかになり、また、その後の77年間で、「富国の問題点」である「マネーの大膨張」が、資本主義社会を揺るがし始めた状況のことである。

そして、この事実を象徴する出来事は、「日本国民の個人金融資産が移動を始めた可能性」とも思われるが、現在では、「個人の金融資産に関して、投信の残高が増え始めた事実」が指摘されているのである。つまり、「過去30年ほど、ほとんど動かなかった個人の預金」が、いよいよ、「株式などの資産」へ移動を始めた可能性が、現在、注目を集めているが、この時の問題点としては、「中央銀行の資金繰り」が挙げられるものと考えている。

より具体的に申し上げると、今まで、「日銀が保有する国債は、国債の発行残高から除外してもよい」などの「マスコミやエコノミストの誤った報道」により、「日本国民は、自分の預金が間接的に国債に投資されていた事実」を、ほとんど理解していなかったのである。つまり、「自分の預金が民間銀行に預けられている事実」は理解しながらも、その後、「民間金融機関の預金が、日銀に吸い上げられて、国債の買い付けに回っている状況」に関しては、ほとんど理解されていない状況とも言えるのである。

そして、現在は、徐々に、「日本国民の覚醒」が始まった状況とも思われるが、実際のところ、「逆ザヤによる日銀の債務超過の可能性」が指摘されるとともに、「金利の更なる上昇とともに、どのような展開が予想されるのか?」に、日本国民のみならず、世界中の関心が集まってきた状況とも言えるのである。つまり、「お金とは、いったい、どのようなものなのか?」を考える人が増えてきた結果として、「お金の謎」や「金融システムの実情」などが、徐々に、解き明かされ始めたものと思われるが、今後は、「世界中の人々が驚くような大事件の発生により、このスピードが一挙に速まる可能性」も想定されるのである。

具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」が引き起こす「民間金融機関の破綻」であり、また、その後に予想される「先進各国の紙幣大増刷」でもあるが、この結果として発生する事態は、以前から申し上げているとおりに、「金融界の白血病」という「デジタル通貨が役に立たなくなる状況」とも言えるようである。(2022.6.28)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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