本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(373)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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世界のゾンビ企業

今月は、「1945年8月15日の敗戦」から「77年目の記念日」を迎えるが、この点に関する現在の感想は、やはり、「当時の日本人が、天皇陛下の玉音放送まで、日本の敗戦を認めようとしなかった事実」である。つまり、「軍事力の壊滅的な喪失に見舞われ、また、全国各地がB29の大空襲に襲われようとも、日本国民が、戦争に負けるとは信じていなかった状況」のことである。

ただし、いったん、敗戦を認識した日本国民は、ご存じのとおりに、「軍国主義から民主主義への大転換」を、驚くべきスピードで実践したわけだが、この事実を現在の状況に当てはめると、興味深い展開が見えてくるものと感じている。つまり、「日本の軍部」は、「原子爆弾」という「未知の強烈な破壊力を持つ兵器」に直面した時に「敗戦」を認めたわけだが、現時点では、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ(金融派生商品)」の破裂が、「原子爆弾の投下」に匹敵する事件のようにも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「日中戦争から大東亜戦争」へと続く軍事的衝突に疲れ果てていた日本国民は、「二個の原爆投下」という大事件の発生により、あっという間に、「軍国主義」を放棄したものと思われるのである。別の言葉では、「日本は神の国であり、決して、戦争に負けるはずがない」と信じ込まされていた人々が、「天皇陛下の玉音放送」により、目が覚めた状況だったようにも感じられるのである。

そして、その後は、「軍事力」ではなく、「金融力」による世界進出を目論んだわけだが、結果としては、「実体経済の成長期」だった「1945年から1980年代」までは、「世界の奇跡」と呼ばれるほどの成功例となったことも見て取れるのである。つまり、「モノ作り」に関しては、世界でも飛び抜けた才能を発揮することができたわけだが、問題は、「金融商品」に関して、ほとんど理解が進まず、世界から後れを取った事実だと感じている。

より具体的に申し上げると、「高度経済成長の神話」や「銀行預金の安全神話」などに囚われた結果として、「世界の金融商品やデジタル通貨が、どのような発展を遂げたのか?」が、ほとんど理解されていなかった状況のことである。そして、「大量のデジタル通貨を背景にした、いわゆるDX革命が、今後も永遠に継続する」というような錯覚を基にして、「デジタル通貨が神様のような存在」となったわけだが、今後は、77年前の「天皇陛下の人間宣言」と同様に、「デジタル通貨が、神から紙へ変化する事態」が想定されるとともに、全く新たな時代が幕を開けるものと考えている。(2022.7.28)
 
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77回目の敗戦記念日

7月8日に発生した「安倍元首相暗殺事件」については、大きな「驚き」を覚える状況でもあったが、その後の報道を吟味すると、今回の事件は、「東西文明の大転換」に関して、大きな意味を持つ可能性も考えられるようである。つまり、「富を追求する西洋文明」の末期において、実際には、「宗教までもがお金儲けの手段として使われた」という状況でありながら、「国民は、実情を知らされていなかった状態」だったものと感じられるのである。

別の言葉では、「国民自体が、お金の魔力によって、魂を奪われたような状態」のことだが、実際には、「カール・ポランニー」が指摘する「悪魔のひき臼」により、「目の前に存在するマネー」だけを重要視したものと思われるのである。つまり、「精神的な豊さよりも、金銭面での豊かさを望む状態」であり、実際のところ、「昨今の犯罪を見ると、ほとんどが、金銭的な目的が指摘できる状況」となっているのである。

また、この点に関して、大きな役割を持つのが、「選挙」であり、実際には、「ほとんどの政治家が、大衆迎合的な政策しか提示できない状況」となっており、その結果として、「財政赤字の解消」が不可能な状態となっているのである。別の言葉では、「金融システムが崩壊するまで、国家の借金が膨らむ状況」のことでもあるが、この点に関して、今回、最も悩まされた事実は、やはり、「簿外取引でのデリバティブ大膨張」だった。

つまり、ほとんどの国民に知らされない状況で、一部のメガバンクが、「シニョリッジ(通貨発行益)」を享受し、また、「GAFAMなどの米国企業が、デジタル革命の恩恵を受けた」という展開のことである。別の言葉では、西洋文明が指向する「富の時代」の最終段階において、「未曽有の規模でマネーの大膨張が発生し、借金漬けの経済成長により、地球環境までもが脅かされる状態」のことである。

そのために、今後の注意点としては、「どれほどの反動が訪れるのか?」を熟慮することでもあるが、今回の襲撃事件については、「このことを考えるキッカケの出来事」だったようにも思われるのである。つまり、「東洋学」が教える「数奇な事件」に関して、実情としては、「人智が及ばず、将来的に、事件の意味が理解される出来事」とも理解できるのである。より具体的には、東洋文明が指向する「唯心論の時代」が始まる可能性でもあるが、この点については、「西暦400年から1200年に、東洋でどのような社会が形成されたのか?」、あるいは、「11次元にまで発展した自然科学が、今後、社会科学に対して、どのような影響を与えるのか?」が参考になるものと感じている。(2022.8.1)
 
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共産主義者による信用破壊

800年間も継続した「西洋文明の富の時代」に関して、私自身としては、「1971年8月15日のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」や「1997年8月」に発生した「信用収縮」、そして、「2008年前後のGFC(金融大危機)」などの大事件発生により、完全に終焉するものと考えていた。しかし、実際の展開としては、「中国共産党のゼロコロナ政策」や「ロシアのウクライナ侵攻」などのように、「資本主義の後には共産主義の時代が訪れる」という「史的唯物論」を信仰している人々が引き起こした「共産主義者の信用破壊」へと繋がったことも見て取れるのである。

より詳しく申し上げると、「西洋文明の唯物論が産み出したマネー神話」については、実際のところ、800年ほど前の「仏教における末法思想」や「西洋の十字軍」などと同様に、きわめて強固な秩序や体制が形成されたものと考えられるのである。つまり、1600年前の「西ローマ帝国の崩壊」の時には、「パンとサーカスの堕落した生活」や「財政赤字による大インフレ」などの内部要因だけではなく、「蛮族の襲撃」という外部からの大事件が加わって、初めて、「西洋の物質文明」が崩壊したものと思われるのである。

そして、この崩壊過程を、最近の「実体経済」と「マネー経済」の面から分析すると、いろいろな事実が見えてくるものと思われるが、実際には、「過去の50年間が、マネー経済の崩壊において、二つのステージに分けられる可能性」のことである。つまり、「前半の約26年間(1971年から1997年)」が、「マネーの膨張が、実体経済の収縮を補った時期」であり、この時の注目点としては。「1997年8月」に発生した「信用収縮」が挙げられるものと考えている。

また、「1997年から2023年までの26年間」には、「デリバティブの残高急増によるマネーの大膨張」という「前代未聞の事態」が発生したわけだが、このことは、「マネー経済そのもののバブル発生と崩壊」を表しているものと感じている。つまり、「マネーの創出」に関して、「簿外取引(OTC)によるシニョリッジ(貨幣の発行益)」、すなわち、「欧米のメガバンクによるデリバティブの独占的な発行」と「その行為により生み出された巨額な利益」に対して、かつての共産諸国などが、牙をむき始めた可能性である。

別の言葉では、「20年ほど前から金(ゴールド)の蓄積を始めた中国やロシアなどの国々が、西洋の資本主義諸国を転覆させようとした可能性」のことでもあるが、実際には、「西洋文明の終焉」を引き起こす「世界的な内部分裂」を意味しているものと感じている。(2022.8.2)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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