本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(379)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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214兆円のマージンコール

欧州の信用不安に関して、現在、「1.5兆ドル(約214兆円)のマージンコール(追証)」という、新たな問題が発生しているが、この理由としては、「価格下落のリスクを回避しようとした欧州のエネルギー企業が、先物の売りを実施した事実」が挙げられている。つまり、今回の問題は、私が提唱する「金融界のホーキング現象」、すなわち、「金融界のブラックホールに潜んでいたデジタル通貨が、実物資産に流れ出した結果として、商品価格の急騰を発生させる現象」の結果とも想定されるのである。

別の言葉では、過去10年余りの、「デリバティブの崩壊を隠蔽するために、国民の預金などを利用して、金融抑圧や市場価格のコントロールなどが実施されてきた状況」が、限界点に達したものと考えられるのである。つまり、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻」などをキッカケとして、「仮想現実の世界に存在したデジタル通貨が、実体経済の実物資産に流れ込み始めた状況」となり、その結果として、「予想外のエネルギー価格の上昇」が発生したものと理解できるのである。

 そして、今回の事件は、いまだに「約500兆ドル(約7.1京円)」もの想定元本が存在する「OTCの金利デリバティブ」に関して、「バブル崩壊の予兆的な事件」のようにも感じている。つまり、これから、本格的な「金融大混乱」が、世界的に発生する可能性を示唆した出来事のようにも思われるが、実際には、すでに世界を襲っている「インフレの大津波」に関して、「第三波の到来」を意味するものと考えている。

より詳しく申し上げると、「実体経済の約10倍の規模」にまで大膨張した、現在の「世界的なマネー経済」については、今後、「インフレの大津波により、あっという間に解消され、雲散霧消する展開」を想定しているが、この点に関して、驚かされる事実は、やはり、「ほとんどの人が、この点を理解していない状況」とも言えるのである。別の言葉では、多くの人々が、「マイナス金利という歴史的な異常事態」や「異常気象による大規模な自然災害」が発生しようとも、「明日は今日の延長であり、決して、大きな変化は発生しない」というような認識を持ち続けてきた状況のことである。

そして、結果としては、「人類の存在」そのものが、危機的な状態に陥ったものと考えているが、このような「人類の闇」と呼べるような状況は、まさに、「ロシア」という「プーチンが指摘する日出づる国」に象徴されるとともに、今後、「闇から光への大転換」が、この国から始まる状況を表わしているようにも感じている。(2022.9.7)

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幕末の金貨流出

江戸時代の末期、日本の金融市場において、特筆すべき大事件が発生した。具体的には、「1859年の6月22日から1860年の4月10日」までの約10か月間、「幕末の金貨流出」が発生した状況のことだが、この理由としては、「日本人が、世界の金融事情に疎かった」という点が指摘されている。つまり、「金銀比価」において、当時の日本では「1:4」、そして、海外では、「1:15」という比率だった状況下で、「江戸幕府が、海外の人々に金銀交換を許した」という愚策が実施されたのである。

そのために、海外の人々は、一斉に、「4キロの銀(シルバー)を日本に持ち込んで1キロの金(ゴールド)と交換し、その後、その金(ゴールド)を海外で、15キロの銀(シルバ-)と交換して、再度、日本に持ち込む」という行為、すなわち、典型的な「マネーマシーン(自働的なお金儲けの仕組み)」が形成されたのである。そして、結果としては、「日本が、50万両から100万両の金を失った」と言われており、私自身は、この事実が、現在の「日本のマイナス金利」と似ている状況のようにも感じている。

つまり、「円のキャリートレード」と言われる「円を借りて、ドルに投資し、為替や金利の差益を得る方法」のことだが、今後、「日銀の黒田総裁が、日本の金融緩和を継続する限りは、多くの投資家が、この手法に訴える可能性」も考えられるのである。別の言葉では、「海外投資家のみならず、日本人までもが、この手法を多用する可能性」も予想されるために、今後、「大幅な円安」、そして、「急激な輸入物価の上昇」が発生する展開も想定されるのである。

より詳しく申し上げると、「国家の体力」を測るバロメーターとして、「為替」と「金利」が指摘できるが、現在の日本は、「超低金利状態」だけを維持するために、「為替」や「景気動向」などを無視した状況となっているのである。つまり、「幕末の金流出」と似た「無謀な金融政策」のようにも思われるが、当時の日本では、「約10か月間で、我慢の限界に達した」という状況だったことも見て取れるのである。

そのために、今後の「日本の金融政策」には、大きな注目を払っている段階でもあるが、具体的には、「2023年の4月」に任期を終える「黒田総裁」が、「最後の最後まで、現在の『超低金利政策』に固執する可能性」である。つまり、「日本の体力が、根本から失われる可能性」であり、実際には、「日本の金融界を焼け野原状態にまで落とし込む可能性」のことである。(2022.9.9)

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文明の春夏秋冬

約30年ぶりに、「シュペングラー(1880年-1936年)」の著書である「西洋の没落」を再読し始めたが、今回、気付かされた事実は、「村山節氏の文明法則史学が、シュペングラーの影響を受けていた点」だった。具体的には、「文明の春夏秋冬」という言葉が使われるとともに、どちらの場合にも、同じ間違い、すなわち、私が以前に指摘した「春と冬に関する認識の誤り」が存在していたのである。

より詳しく申し上げると、「西洋の没落」という著書では、「インド文化」や「エジプト文化」、あるいは、「ギリシャ・ローマ文化」や「現在の西洋文化」などが、詳しく分析されるとともに、「似たような展開を辿っている事実」が指摘されているのである。つまり、「西暦1800年から2000年までの200年間の西洋文明」については、「戦国時代の中国文化」や「紀元前300年から紀元前100年までのギリシャ・ローマ文化」、そして、「紀元前1675年から紀元前1550年までのエジプト文明」などと同様に、「貨幣や民主主義が支配する時代」と結論付けているのである。

また、「西暦2000年から2200年までの200年間」については、同様の手法により、「皇帝主義の完成する時代」であり、また、「貨幣に対する暴力主義の勝利」や「政治的形式の原始的な性格の増加」などが指摘されているのである。つまり、「諸国民が、内的に向け意識の群衆に崩壊していく時代」とも説明されており、30年ほど前の私自身は、「この説明に納得するとともに、大きな驚きを覚えた」という状況だったのである。

また、「時代の証言者」の一人として、現在の私自身が可能なことは、「過去100年間に、どのような変化が、実際に発生したのか?」を検証することであり、「1800年から2000年までの状況」としては、実際のところ、「シュペングラー」が指摘するとおりに、「本質的に大都会的な特性を備えた民族体は、解体して無形式の大衆となる展開」だったようにも思われるのである。つまり、「民主主義が衆愚政治に変化した状況」のことであり、その結果として、現在では、「暴力的政策が、世界の貨幣を破壊している状況」のようにも感じられるのである。

ただし、「シュペングラーの問題点」としては、やはり、「後世の者は畏るべし」という言葉のとおりに、「過去100年間に進化した自然科学の存在」、すなわち、「量子力学」や「分子生物学」、あるいは、「複雑系の学問」などが理解できなかった点が指摘できるが、実際には、「人智では思い至らない、天や神の智慧の存在」のことである。(2022.9.12)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12441:221008〕