ロシアの国民投票
2022年の9月に実施された「ロシアへの併合に関するウクライナ南部や東部の住民投票」については、「権力の暴走」を、全世界の人々に明らかにするとともに、「国民の覚醒や気付き」を引き起こし始めた状況のようにも感じている。つまり、東洋の言葉である「非理法権天」において、「権力の暴走」から「天地自然の理」への移行が展開している可能性のことである。
具体的には、「社会組織の規模」と「統治形態」に関して、「規模の拡大とともに、より強い統治力が必要とされる可能性」を考えているが、実際には、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」の時に「数多くの小さな共同体」に分裂した人間社会が、その後、「東洋の唯心論」や「西洋の唯物論」という時代を経て、最近では、「国家共同体」を超えた「世界共同体」という状態にまで「世界の結び付き」が強くなったものと理解できるのである。
つまり、「宗教で統治される非合理な社会」から「より合理的な社会」、そして、「法律で統治される社会」から「権力の暴走」へと移行してきたものが、現在では、再度、「エントロピー増大の法則」が働いている状況のことである。つまり、「秩序の形成」や「自己組織化」がピークを付け、現在では、「マネーの暴走」により、「世界全体が、再度、小さな共同体への分裂を始めている可能性」のことである。
そして、この時の注目点は、「人道を逸脱したロシア政府の悪魔(サタン)的な行為」などを見ることにより、「世界中の人々が、何を信用すべきなのか?を真剣に考え始めた状況」とも思われるのである。つまり、現在では、数多くの国々で、「軍事力や金融力を行使した権力の暴走」が始まっており、その結果として、「多くの国民が、生活に困窮し始めている状況」となっているのである。
そのために、これから必要とされることは、現在の「世界的な金利上昇」、そして、「ドルの独歩高がもたらす悪影響」を理解することであり、実際には、「依然として、約500兆ドルの残高を有するOTC金利デリバティブが破裂する時期」を考慮することである。つまり、「2月に発生した出来事」から予想される「11月の初旬」が気に掛る状況でもあるが、今回は、「長崎への原爆投下の日付」、そして、「9・11事件の意味する日付」などが、すべて、一致し始めており、実際には、「11月2日前後の数日間」という「バブル崩壊のXデー」 が算出される状況となっているために、これからの一か月間は、きわめて大きな注意を払いながら、相場に対応する必要性があるものと感じている。(2022.9.29)
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ドルの独歩高が示唆する危機
現在の「ドルの独歩高」については、「米国の強さではなく、弱さを象徴する出来事」であり、実際には、「金利高で世界の資金を集めることにより、辛うじて、デリバティブのバブル崩壊を防いでいる状況」とも想定されるようである。別の言葉では、「国家の体力」を測るバロメーターとして、「金利」と「為替」が指摘できるが、現在の米国においては、「資金的な逼迫」がもたらす「金利の上昇」に関して、「米国の強さの表れではないか?」というような誤解が存在するものと思われるのである。
より詳しく申し上げると、現在の金融危機に関して、最も注目すべき事態は、以前から指摘しているとおりに、「いまだに約500兆ドル(約7,2京円) もの残高を有するOTC金利デリバティブ」とも言えるが、今までの展開としては、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「国民の預金などを利用して超低金利状態を作り出し、デリバティブのバブル崩壊を遅らせてきた」という状況だったのである。
しかし、最近では、「マネー経済から実体経済への資金移動」が始まり、その結果として、「世界的なインフレ」が認識され始めるとともに、「金融システム」を守る理由で、「世界的な金利上昇」が始まったことも見て取れるのである。つまり、現在は、世界全体が、大きな危機を迎えている状況下で、「中央銀行や国家の資金繰り」に関して、「米国だけが、為替の強さを享受できている状態」とも言えるのである。
別の言葉では、「世界の資金が米国に集まっており、その結果として、ドルの独歩高が発生している状況」、あるいは、「ドル高が産み出す資金的な余裕により、デリバティブのバブル崩壊が遅れている状況」とも思われるが、今後の問題点は、やはり、「ドルの独歩高がピークを迎えた時に発生する危機」とも理解できるのである。つまり、「デリバティブのバブル崩壊が防ぎ切れなくなる瞬間」のことでもあるが、この点については、今後、「米国以外の国々から、本格的な金融混乱が発生する可能性」も考えられるようである。
具体的には、現在の「英国」のように、「大減税」を発表しながら、同時に、「国債の買い付け」を目論んでいる状況のことだが、この時の問題は、やはり、「資金を、どのようにして捻出するのか?」という点にあるものと考えられるのである。つまり、現在では、世界的な「資金のひっ迫状態」が発生しており、この理由としては、「デリバティブ」という金融商品が創り出した「未曽有の規模でのデジタル通貨」が枯渇し始めている状況が指摘できるものと感じている。(2022.10.1)
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買い手不在の債券市場
最近、世界的に議論され始めたことは、「今後、誰が、債券を買うのか?」ということであり、実際の状況としては、「金利の上昇により、今後、値下がりが予想される国債などを買う主体が見当たらない状況」とも言えるのである。別の言葉では、「国債の買い手だった中央銀行のバランスシート」に関して、最近、「残高の縮小」が発生しているために、現時点で必要なことは、「国家財政の仕組み」を理解する必要性とも思われるのである。
具体的には、「戦後の日本」を見れば明らかなように、当初は、「税収で、国家の歳出を賄う状況」だったものが、その後は、「将来の税金」とも言える「国債の発行」により、「国家の財政赤字を埋め合わせる状況」に変化したことも見て取れるのである。そして、この点については、「日本」のみならず、「米国」や「欧州諸国」でも同様の状態だったが、今回、最も注意すべき点は、やはり、「1971年のニクソンショック以降、世界の通貨制度が、私が主張する信用本位制に変化した事実」であり、また、「1980年代の初めから、デリバティブの残高が天文学的に大膨張した事実」だと考えている。
つまり、結果としては、「デリバティブの残高大膨張」で恩恵を受けた「メガバンク」と「先進各国の中央銀行」が、「2008年のリーマンショック以降、きわめて異常な超低金利状態を作り出した状況」とも言えるのである。別の言葉では、「国債の大量買い」により、「ゼロ金利」や「マイナス金利」という、歴史的に、きわめて異常な事態が発生したものの、現在では、「国債を買う資金が欠如した状況」に陥ってしまったのである。
そのために、現在では、「国債の価格」のみならず、「株価」や「商品価格」までもが急落する展開となったわけだが、今後の注目点としては、「先進各国の中央銀行が、今後、どのような政策を選択するのか?」が挙げられるのである。つまり、「このまま、株価や商品価格、そして、国債価格の暴落を容認するのか?」、それとも、「最後の手段である古典的な金融政策を実施するのか?」ということである。
具体的には、唯一残された「紙幣の大増刷」のことだが、この点について、今までの推移を振り返ると、「紙幣増刷の規模が、あまりにも巨大になりすぎる可能性」や「現在のデジタル通貨が、今後、ほとんど役に立たなくなる可能性」も指摘できるものと思われるのである。つまり、「世界全体で、数京円という規模の債務を減少させる必要性」があるために、これから必要とされる「紙幣発行の規模」が、「1923年のドイツ」や「1945年のハンガリー」などを、はるかに上回る可能性のことである。(2022.10.4)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion12498:221029〕