自然科学と社会科学との違い
100年ほど前に著わされた「シュペングラーの西洋の没落」では、「ギリシャ・ローマの数学」と「現代西洋の数学」との違いが挙げられており、私自身としては、「マクロ物理学からミクロ物理学への移行」に関して、「数学における進化」が、大きな意味を持っていたようにも感じている。つまり、現在の「量子力学」などが発見される以前に、「西洋の没落」という著書が完成しているために、「過去100年間に、どのような変化が発生したのか?」を考える上で、この著書が、大いに役立つものと思われるのである。
そして、この点に関して、たいへん気になったポイントが、「自然科学と社会科学との違い」でもあるが、「シュペングラー」にとっては、「この違いが、よく理解できていなかったのではないか?」とも感じている。つまり、「138億年前の宇宙誕生」や「46億年前の地球誕生」を踏まえて、その後、「大自然界の生成発展」、あるいは、「人間社会の進化」に繋がっている状況のことだが、この点について、私自身は、「社会科学の発展に、大自然の摂理を歪める力が存在するのではないか?」とも感じている。
より詳しく申し上げると、「人間社会の特徴」として、私自身は、「文字の利用により、知識の集積が可能になった事実」であり、また、「貨幣の発明により、実体経済の発展が容易になった事実」が指摘できるものと考えている。つまり、「蟻」や「蜂」なども、人間と同様に、「分業化による共同作業」を行うものの、「文字や貨幣の欠如により、大自然の摂理を歪めるほどの影響力を持っていない状況」のようにも思われるのである。
ところが、一方で、「人類の影響力」については、現在の「地球温暖化がもたらす異常気象」、あるいは、「核戦争の勃発がもたらす地球環境の崩壊危機」などのように、「人類の存在」そのものが危ぶまれるような状況とも言えるのである。別の言葉では、「自然科学の進歩」に追いつかない「社会科学の進歩」の結果として、「誤った形で、技術進化が利用されている状況」のことである。
そのために、現時点で必要とされることは、「西洋文明の特徴」として挙げられる「数字や数霊(カズタマ)による世界の理解」だけではなく、「言語や言霊(コトダマ)による世界の理解」のようにも感じている。つまり、「量子のもつれ」が意味する「テレパシーのような状況」に関して、「天の智慧」と「人間の知識」が、簡単につながる可能性のことでもあるが、この点については、実際のところ、「1200年ほど前に、弘法大師空海が発見していた可能性」が指摘できるものと考えている。(2022.10.5)
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失われた30年の真因
最近では、「世界的な金融混乱、あるいは、軍事的混乱」の激化とともに、「これから、どのような時代が訪れるのか?」を考える人が増えてきており、その結果として、「日本の失われた30年」については、「過去の出来事」として処理されつつある状況のようにも感じている。つまり、「時代の流れ」や「人々の心理状態」から判断すると、現在では、「直面する混乱」や「将来への危機感」の方が、多くの人々にとって、「過去30年余りの停滞」よりも、大きな位置を占めつつある状況のようにも感じられるのである。
しかし、この点に関して、私自身が感じることは、「新たな時代を切り開くためには、過去の分析、そして、理解が必要ではないか?」ということであり、特に、現在は、いまだに理解されていない「失われた30年の真因」の分析が求められているものと考えられるのである。つまり、私自信は、以前から、「2001年から始まった日銀の量的緩和が、失われた30年の真因である」と結論付けてきたが、実際には、「この意見に賛同する人が、いまだに存在しない状況」とも言えるのである。
より詳しく申し上げると、「2001年に、日銀が実施した量的緩和」については、実質の「金融引き締め」であり、その結果として、「市中に出回る資金が日銀に吸収され、実体経済の成長に繋がらなかった可能性」が考えられるのである。つまり、それまでの「準備預金」を、「当座預金」という名称に変更し、「当座預金の増加は、量的緩和である」と、多くの国民に信じさせた状況のことである。
別の言葉では、「1997年から始まった世界的な信用収縮」の結果として、「大量の不良債権が、民間銀行のみならず、中央銀行にまで移転し始めた状況」だったために、「超低金利状態の創出」を目論んで、「日銀が当座預金を増やし、資金手当てをすることにより、国債の買い付けを始めた状況」のことである。そして、結果としては、「先進諸国におけるデリバティブの大膨張」と相まって、「日銀の量的緩和が、その後、20年以上も継続された」という展開だったことも見て取れるのである。
つまり、過去30年間の日本では、「バブル崩壊後の不良債権処理に、多くのエネルギーが使われていた状況」であり、その結果として、「国民の預金が、日銀を通じて、国債に変化していた状態」とも理解できるのである。別の言葉では、「国民が預金を引き出すと、日銀の国債残高が減少し、金利が上昇する可能性」が指摘できるために、「日銀の黒田総裁」としては、「量的緩和の維持」を主張し続けている段階とも想定されるのである。(2022.10.6)
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問われる宗教とカルト
10月9日に放映された「NHKの心の時代」では、「問われる宗教とカルト」という題名で、たいへん興味深い議論が展開されていたが、特に面白かった意見としては、「恐怖心による搾取と拘束」が挙げられるものと感じている。つまり、「恐怖心の発生要因」としては、「持っているものが失われる不安感」が指摘できるようだが、この時に、今回、指摘された「近景、中景、そして、遠景」が応用できるものと思われるのである。
より詳しく申し上げると、「安心感の欠如」として考えられることは、「仏教の四苦八苦」が指摘する「生老病死」などが主な要因となっており、実際には、「生活苦」や「病気への不安感」、そして、「老後の生活苦」や「死への恐怖心」などが挙げられるようである。そして、この点を、より深く分析すると、新たな景色が見えてくるものと思われるが、具体的には、「次元別の恐怖心が、どのような方法で、人々の肉体的、かつ、精神的な自由を奪うのか?」ということである。
つまり、「近景」が「三次元の世界」、そして、「中景」が「歴史を考慮した四次元の世界」、また、「遠景」が「あの世とこの世の違いを考慮した五次元の世界」だと考えており、この結果として発生する恐怖心にも、いろいろな違いが存在するものと思われるのである。また、「信仰の自由」を奪うことは、「精神的な拘束」であり、また、「お金や時間」を奪うことは、「物質的、あるいは、肉体的な拘束や搾取」のようにも感じられるとともに、「どのようにして、これらの問題を解決するのか?」が理解できた時に、「社会科学の次元上昇」が進展するものと思われるのである。
別の言葉では、「11次元にまで進化した自然科学」の力を借りて、「三次元に留まっている社会科学」の次元上昇を図る行為のことでもあるが、この点に関して、「7月8日に発生した安倍元首相の暗殺事件」は、実に多くの問題点を、現代人に投げかけている状況とも言えるようである。
つまり、この番組で指摘された「現代社会の病理と歪み」が凝縮されている可能性のことだが、実際には、「文明法則史学」が教える「物質文明という西洋的な価値観から、精神文明という東洋的な価値観への移行」が根本的な原因のようにも感じている。具体的には、「お金が現代の神様となり、さまざまな問題を引き起こしている状況」のことでもあるが、今後は、「お金」そのものが、「神から紙への堕落」を経験することにより、人々の精神的なレベルの急上昇に期待している次第である。(2022.10.9)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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