本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(387)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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金融ツインタワーの崩壊

「2001年の9・11事件」では、「目に見える金融ツインタワー」がテロ攻撃により崩壊したが、その21年後の現在では、「目に見えない金融ツインタワー」が、崩壊寸前の状況のようにも感じている。具体的には、「約330兆ドル(約5京円)もの世界債務」と「約500兆ドル(約7.3京円)ものOTC金利デリバティブ」のことであり、実際のところ、「過去20年あまりの世界的な超低金利状態は、これらの金融ツインタワーによって支えられてきた」という状況だったのである。

別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」という通貨制度のもとで、「人類史上、未曽有の規模でのマネー大膨張が発生した状況」のことでもあるが、現在では、「世界的なインフレ率と金利の上昇により、史上最大のバブル崩壊が発生する可能性」が危惧されているのである。つまり、今回の「世界的な金融大混乱」については、既存の経済学では、全く説明がつかず、新たな理論が求められているものの、「日銀を始めとした先進各国の金融当局者」は、必死に、問題の先送りと時間稼ぎを図っている状況とも理解できるのである。

そして、結果としては、「バブルの崩壊が遅れれば遅れるほど、崩壊後の被害が大きくなる事態」も予想されるが、この点については、過去の歴史が教えるとおりに、「権力者は、最後の最後まで、ありとあらゆる手段を行使する状況」とも言えるようである。つまり、現在の「ロシア」などと同様に、「独裁者は、国民のことなど顧みずに、自分の地位や名誉、そして、利益だけに固執しがちである」ということが「どのような歴史でも繰り返されがちな事実」とも理解できるのである。

ただし、この点について、「西洋哲学」では、「ライプニッツの予定調和説」などを中心にして、以前から、「神の計画」が認識されていたようだが、実際には、「目の前の混乱についても、結局は、その後の、人類の進化や創造にとって、必要な出来事だった可能性」のことである。つまり、「11次元にまで進化した自然科学」と「3次元にとどまっている社会科学」に関して、「現在の出来事は、必要悪とも言える状況ではないか?」と理解されている可能性のことである。

より具体的には、「量子のもつれ」が示唆するように、「此岸(現実世界)と彼岸(あの世)との関係性」に関して、「何らかの力が働き、制御されている可能性」、すなわち、「天の網が廻らされ、より大きな神の手が働いている可能性」のことである。(2022.11.1)
 
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異次元金融緩和政策の破綻

「マイナス金利」と「為替介入」の共存については、「異次元の金融緩和政策が、すでに破綻している状況」を示唆しているものと思われるが、その理由としては、「限界が見えているにもかかわらず、なりふり構わず、現状を維持しようとする行為」が指摘できるものと考えている。つまり、現在の状況としては、「第二次世界大戦の終了時に、神風特攻隊などの非常手段に訴えたものの、結局は、体力の消耗を加速させた展開」と同様の意味を持っているようにも感じられるのである。

より詳しく申し上げると、「マイナス金利政策」については、「国債を発行した国家が金利を受け取る状況」というように、「国民から国家への資金移動」が発生しており、また、「為替介入」については、「マイナス金利政策の問題点」を隠蔽する目的が存在するものと思われるのである。つまり、現在は、「不健康な政府の債務膨張」という根本的な問題点に立ち向かうのではなく、依然として、「小手先の処理」で、問題の先送りを実施している状況とも考えられるのである。

そして、このような展開については、「過去の歴史」が教えるとおりに、「必ず、行き詰まりの時期を迎える」という結果となるものと考えているが、今回も、例外ではなく、しかも、時期的に近づいている状況のようにも感じている。つまり、「1991年のソ連」と同様に、「国債の買い手消滅」が引き起こす「金利の急騰」であり、その時には、「日銀が債務超過に陥る可能性」も想定されるのである。

別の言葉では、「日銀に対して、無制限の資本注入が実施される可能性」のことでもあるが、この点については、最近、「ノーベル経済学賞」を受賞した「バーナンキ氏」が、以前に、「日銀が、金融政策において、世界の主導者である」とも述べていたのである。つまり、「20年ほど前から、異常な金融緩和や国債の買い付けなど、禁じ手と呼ばれた政策を、次々と実施してきた状況」のことである。

そのために、今回も、「日銀が主導して、先進各国の紙幣増刷を主導する可能性」を憂慮している状況でもあるが、今回の注目点は、やはり、「500兆ドル(約7.4京円)ものOTC金利デリバティブ」と「330兆ドル(約5京円)もの世界的な債務残高」という「目に見えない金融ツインタワー」の存在であり、実際には、「金融ツインタワーの崩壊により、本格的な金融大混乱が始まり、また、インフレの大津波が、世界を襲い始める可能性」が想定されるようである。(2022.11.2)
 
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「インフレとは何か?」という問題への40年後の解答

現在、人類全体が問われているのは、「インフレとは何か?」ということであり、この点については、私自身が、40年前の1982年に、米国の大学で受けたマクロ経済学の試験問題が思い出される状況である。つまり、この時の試験問題は、ただこれだけだったが、辛うじてパスした私は、その後、長年にわたり、投資の実践を通じて、この問題を、長く追及せざるを得なかったのである。

別の言葉では、私自身の人生は、「デリバティブ」と「インフレ」の理解が、主な主題だったようにも感じているが、現在では、私なりの解答が見つかるとともに、今後の展開を危惧している状況である。つまり、今後、未曽有の規模での大インフレが発生する可能性を憂慮しているが、この点については、「過去40年間のマネー大膨張」、すなわち、「1971年のニクソンショック」をキッカケに始まった「信用本位制」と呼ぶべき通貨制度と、その後、「1980年代初頭からのデリバティブ大膨張」が大きな意味を持っているものと考えている。

より詳しく申し上げると、「1923年のドイツのハイパーインフレ」から経済用語として使われ始めた「インフレ(通貨価値の下落)」と、「1929年の大恐慌」から経済用語となった「デフレ(通貨価値の上昇)」に関しては、「どのような商品と通貨が、具体的に、どれほどの規模で存在するのか?」の理解が、最も重要なポイントとも思われるのである。つまり、既存の経済学に含まれていない「金融商品」、すなわち、「デリバティブを中心とした商品と通貨の両面性を併せ持つ商品」を理解することである。

また、「1980年代初頭からの約20年間」の状況としては、「実体経済の成長」から「マネー経済の成長」への移行期間であり、また、その後の「2000年から現在までの約20年間」については、「デリバティブの急成長が産み出した大量のデジタル通貨が、金融界のブラックホールを作り出した状況」とも想定されるのである。別の言葉では、経済統計に含まれていない「金融商品」の価格急騰が発生しながら、「生活の必需品」である「一次産品」などは、「政府による価格統制が実施されてきた状況」だったのである。

そのために、これから必要なことは、「先進各国の政府と中央銀行が、どのような決断をするのか?」、すなわち、「資金のひっ迫を補うために、いつ、1923年のドイツ型の政策を実施するのか?」ということでもあるが、一方で、「なにも実施しない場合には、1929年の大恐慌が発生する可能性」が憂慮されるものと考えている。(2022.11.3)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
 
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12598:221202〕