金融ツインタワーのパンケーキクラッシュ
「2月に発生する出来事」については、「2001年のゑひめ丸事件」や「2022年のロシアによるウクライナへの軍事侵攻」などのように、「その年を象徴するような事件の発生」が見られる傾向が多くなるが、この点については、今年も例外ではないものと感じている。具体的には、「2月5日に発生したスパイ気球の撃墜事件」であり、また、「2月6日に発生したトルコとシリア国境の大地震」のことだが、今回、特に気になったのが、「大地震において、多くのビルが、パンケーキクラッシュに見舞われた事実」だった。
つまり、私自身が想定する「戦後の26年サイクル」、すなわち、「2023年の8月15日までに、どのような金融混乱が発生するのか?」に関して、現在では、若干、違った展開が見えてきた状況のようにも思われるのである。具体的には、「デリバティブと世界債務の金融ツインタワー」において、今回の大地震のように、「世界各地で、金融機関がパンケーキクラッシュに見舞われる可能性」であり、実際には、2月に発生した「クレディスイスの巨額損失」や「暗号資産の価格急減」などのように、「今年の8月に向けて、さまざまな大事件が世界的に頻発する可能性」のことである。
別の言葉では、「コンピューターネットワーク」で繋がっている「現在の世界的な金融システム」に関して、「連鎖的な破たん」に見舞われる可能性であり、この結果として予想される「金融政策の変更」としては、結局のところ、「中央銀行による大量の資金供給」とも思われるのである。具体的には、「中央銀行のデジタル通貨(CBDC)」や「紙幣」などの大量供給により、「危機に陥った金融機関を救済する方法」のことでもあるが、この結果として発生する現象は、やはり、「政府や中央銀行、そして、通貨に対する国民の信頼喪失」とも考えられるのである。
そして、このような動きについては、すでに、世界の各地で始まっているものと思われるが、具体的には、「アフリカや中南米の国々で、預金の取り付け騒ぎなどが発生している状況」のことであり、また、「先進各国においても、金融システムや通貨制度への不安感が高まっている状況」のことである。
そのために、これから必要とされることは、「日本だけが、超低金利の状態から抜け出せていない事実」を認識しながら、「20年以上にも及ぶゼロ金利政策」、そして、「40年以上にも及んだ金利低下」の反転が、「今後、どれほどの反動を生み出すのか?」を、深く考慮することだと考えている。(2023.2.13)
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二種類の大地震
2月6日に発生した「トルコとシリア国境の大地震」には、大きな衝撃を受けたが、同時に感じたことは、東洋学が教える「天災が、天からの警告である可能性」でもあった。具体的には、「2011年の3・11大震災」に関して、熟慮の後に導かれた結論が、「その後に発生した『世界的なインフレの大津波』の予兆だった可能性」であり、実際には、「約10年という時間を経て、金融のブラックホールという仮想現実世界で形成されたデジタル通貨が、さまざまな金融商品のバブルを作り出した展開」のことである。
そして、現在では、その資金が、「現実世界の実物商品」に流れだした結果として、世界的な「インフレ」が実感され始めた状況となっているが、現在、必要なことは、「海中型と陸上型の二種類の大地震」の理解のようにも感じている。つまり、「3・11大震災のような海中型の大地震」に関しては、ご存じのとおりに、「人々が認識するまでに時間がかかるものの、気が付いた時には手遅れになっている状況」とも言えるのである。
また、一方の「陸上型の大地震」に関して理解できることは、今回のように、「ほぼ瞬間的に、大きな被害をもたらす展開」であり、また、このことを、現在の「世界的な金融情勢」に当てはめると、今後は、「金融面のパンケーキクラッシュ」が発生するものと思われるのである。具体的には、「クレディスイスの巨額損失」や「インドのアダニ財閥の不正会計」などが象徴するように、「ほぼ瞬間的に、資産価格が激減する状況」である。
より詳しく申し上げると、「信用が失われた金融資産や金融システムが、どのような末路を辿るのか?」ということでもあるが、実際には、「買い手や流動性の消滅」などにより、「資産価格の暴落」という展開が想定されるのである。つまり、「人為的な力を用いて、オフバランス(簿外)に積み上げられた資産」とも理解できる、現在の「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルものOTCデリバティブ」や「約330兆ドルもの世界債務残高」が、今後、どのような展開を見せるのか、ということである。
別の言葉では、「利は義の和なり」という東洋学の言葉のとおりに、「本物の利は、義という正当な行為でしか積み上げることができない」という状況でありながら、現在では、「不正な手段で築き上げられた大量の富が、世界的に存在する状況」とも言えるのである。つまり、「約五千年から六千年の歴史を持つ世界のマネー(お金)」に関しても、現在では、「目に見えないデジタル通貨」が主流となっているが、今後は、このことが「仇に(アダニ)」なり、「金融システムそのものが、パンケーキクラッシュに見舞われる可能性」である。(2023.2.14)
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世界的なドル離れ
現在、海外で盛んに議論されていることは、「世界的なドル離れ」であり、実際には、「BRICS諸国を中心に、金や銀などを本位とした新たな通貨制度の模索」である。あるいは、「米国ドルを中心とした現在の通貨制度」、すなわち、「国家の信用だけが本位となった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」に対して、「米国の個人投資家」までもが、大きな疑問を抱くとともに、「貴金属などへの投資」を増やしている状況のことである。
より詳しく申し上げると、現在の「世界各国中央銀行による金や銀の大量購入」の理由としては、「金融混乱の加速懸念」が指摘されており、具体的には、「目に見えない金融ツインタワー」、すなわち、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」について、今回の「トルコの地震」のように、「広い範囲で、金融機関のパンケーキクラッシュが発生する可能性」が危惧され始めているのである。
より具体的には、すでに始まった「世界的な金利上昇」が、今後、「金利負担の増加」に繋がることにより、結果として、「世界的な不動産バブルの崩壊」や「デリバティブの完全崩壊」、あるいは、「国家財政の破綻」などを引き起こす可能性のことである。別の言葉では、「1980年代初頭からの世界的な金利低下やデリバティブの大膨張」に関して、「急激な逆行現象」、すなわち、「海中に押し込められていたビーチボールが、急速に水面下に上昇するような動き」が発生しているものと考えられるのである。
そのために、これから必要なことは、「サウジアラビアを含んだBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、そして、南アフリカ)が、今後、どのような動きを見せるのか?」に注目することだと考えている。つまり、「ドル以外の通貨による貿易の推進」であり、また、「新たな通貨制度を推進する動き」のことでもあるが、現在、「米国内」で言われ始めたことは、「BRICSに対抗して、アメリカそのものが、逆ニクソンショックを実施する可能性」であり、実際には、「1971年にニクソン大統領が一時的に停止した、金とドルとの交換を再開する可能性」である。
具体的には、「額面が一兆ドルのプラチナ硬貨」などを発行する方法のことだが、「金融混乱」に関して、過去の歴史が教えることは、最初に、「約6ヶ月間のハイパーインフレ」が発生し、その後に、「デノミ」が実施されるとともに、「新たな通貨制度の実施」という展開であり、今後は、この点に留意しながら、「どれほどの金融大混乱、そして、インフレの大津波が世界を襲うのか?」に、大きな注意を払う段階に入ったものと感じている。(2023.2.20)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12905:230317〕