シリコンバレー銀行の破綻
3月10日に発生した「シリコンバレー銀行の破綻」に関しては、典型的な「金融機関のパンケーキクラッシュ」、すなわち、「債券価格の暴落」や「資産価格の急落」が引き起こす「資金的な行き詰まりの状況」を表しているものと感じている。別の言葉では、「時間のサイクル」のとおりに、現在では、すでに、「目に見えない金融ツインタワーの崩壊」が始まったものと思われるが、実際には、今までのような「問題の先送り」が難しくなった状況を意味しているものと考えられるのである。
より詳しく申し上げると、今回の「破綻」は、これから予想される「金融機関の連鎖破綻」の始まりを意味するとともに、今後は、「戦後の26年サイクル」が表わすとおりに、「今年の8月15日にかけて、現在の信用本位制と呼ぶべき通貨制度が崩壊する可能性」を表しているものと考えている。つまり、現在のような「約600兆ドルものOTCデリバティブ」、そして、「約330兆ドルもの世界的な債務残高」については、「一朝一夕で構築されるような状況」ではなく、実際には、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊」にまで、その起源を辿る必要があるものと思われるのである。
しかも、今回は、「19世紀から始まった産業革命」、そして、「20世紀に発生した人口の大爆発」、あるいは、「中央銀行主導のマネー創造」などにより、結果として、「世界的なマネーの残高が、きわめて異常な大膨張を見せた状況」とも言えるのである。より具体的には、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、「デリバティブやデジタル通貨の残高が、人類史上、きわめて異例なスピードで積み上がっていった展開」のことである。
そのために、今後は、「金融機関のカウンターパーティーリスク」、すなわち、「一社の破綻が、その後、連鎖的な破たんに繋がる可能性」が危惧される状況でもあるが、残念ながら、現在の日本では、「デリバティブの存在」のみならず、「日銀や日本国家の破たん懸念」までもが、ほとんど議論されていない状況とも言えるのである。
つまり、「臭いものや怖いものには蓋をして、実情を見ようとしない態度」が取られていたわけだが、実際には、「時間とともに、必ず、真理や真実が現れる」ということが、「相場」のみならず、「人生」などにおける真実とも言えるのである。別の言葉では、「三次元の経済学」のように「理屈と膏薬はどこにでも付く」というような態度に終始していると、結局は、「日本の失われた30年」のような結果のみならず、「資産そのものの急激な損失」に繋がる可能性のことである。(2023.3.13)
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2008年と2023年の違い
3月に発生した「銀行の連鎖破綻」に関して、現在、多くの人々は、「2008年の再来」を想定しているようだが、実際には、全く違った状況だと考えている。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」は、それまでの「デリバティブの急激な成長」が止まったことにより発生した大混乱であるとともに、「目に見えない金融タワー」において、「デリバティブの一本だけがそびえたっていた状況」とも言えるのである。
そして、その後の展開としては、「量的緩和という名目のリフレーション政策」により、「もう一本の目に見えない金融タワー」である「世界的な債務残バブル」が積み上げられていったことも見て取れるのである。つまり、「デリバティブのバブル崩壊」を隠蔽するために、「先進各国の中央銀行が、こぞって、量的緩和(QE)と呼ばれる金融政策を実施した展開」のことである。
より詳しく申し上げると、「デリバティブの大膨張」により発生した「大量のデジタル通貨」を利用して、「世界の金融市場がコントロールされた状況」のことでもあるが、その結果として発生したのが、いわゆる「金融のメルトダウン」だったことも理解できるのである。つまり、「何でもバブル」と呼ぶべき状態が発生したわけだが、この時の問題点は、「金融のメルトダウン」が、「デジタル通貨が作り出した仮想現実的な世界から、実物資産にまで浸透し始めた事態」とも言えるのである。
別の言葉では、「インフレ指数に含まれている商品」にまで、「何でもバブル」が到達し始めたために「世界的なインフレ」が発生し、その結果として、「先進各国が、慌てて、金利を上げ始めた状況」のことである。つまり、現在では、「約600兆ドルのデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」が存在するとともに、「2001年の9・11事件」の時のように、「二機のジェットが、すでに突入したような状況」となっているのである。
しかも、現在は、「金融ツインタワーの崩壊」が「世界の債務」の方から始まった状況であり、今後は、「デリバティブ」に関しても、同様の展開が想定されるのである。つまり、「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行群)」においても、「パンケーキクラッシュ」が発生する可能性が危惧されるわけだが、今回は、「2008年」とは違い、「先進各国が、最後の手段である『紙幣の増刷』を行うか、それとも、何もせずに『大恐慌的な破たん』を待つのか?」の選択を強いられている段階とも想定されるのである。(2023.3.15)
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3月の世界的な金融混乱
今回の「米国の銀行破たん」と「クレディスイスの救済買収」は、私が想定していた「金融ツインタワー崩壊の始まり」を表すとともに、「今後の更なる金融破たん」を象徴する出来事だったものと感じている。つまり、「戦後の26年サイクル」が指し示す「2023年8月15日」に関して、予兆的な事件が発生したことにより、「これからどのような破たんが発生するのか?」が気にかかる状況とも思われるのである。
より詳しく申し上げると、今回の「世界的な金融混乱」に関しては、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」と「1980年台初頭から始まったデリバティブの大膨張」が、根本的な原因とも言えるのである。具体的には、「2008年前後にピークを付けたデリバティブの残高」であり、また、その後の「量的緩和という名のリフレーション政策」のことだが、現在では、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」が、パンケーキクラッシュと呼ぶべき状況で破たんを始めているのである。
別の言葉では、「G―SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)」を中心にして、今まで、「デリバティブを利用した市場価格のコントロール」が実施されてきた状況でもあったが、現在では、「インフレ率と金利の上昇により、全てが逆回転を始めた段階」とも言えるのである。つまり、「人類史上、初めての出来事」である「通貨と金(ゴールド)の分離」が産み出した「大量のマネー創造」により、現在の世界は、「1600年前の西ローマ帝国崩壊以来の危機的な事態」に見舞われているものと考えられるのである。
より具体的には、「貨幣の歴史」において、「1600年前から増えてきたマネーの残高」が、「100年ほど前の中央銀行の創設以来、過去100年間で急激に増加した展開」のことである。しかし、現在では、全ての「金融商品」や「通貨」の信頼が揺らぎかけているために、今後の注目点は、いまだに報道が限られている「デリバティブ」に関して大事件が発生するとともに、現在の通貨制度が機能不全に陥る可能性とも言えるのである。
ただし、これからの過程で予想される展開としては、「三次元に留まっていた経済学や社会科学」が、「11次元にまで高まっている自然科学」のように、急激な次元上昇を始める可能性も想定されるようである。具体的には、「文明法則の800年サイクル」や「時間と空間の関係性において、共同体の規模やマネーの残高が、どのような発展を見せてきたのか?」などを理解することにより、「お金や心の謎」などが解明される状況である。(2023.3.21)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion12950:230408〕