本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(411)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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人口減と生産性

現在、日本で問題となっているのは、「人口減による国力の縮小」であり、また、そのために必要なことは、「生産性の向上」と理解されているようだが、実際には、全くの「時代錯誤的な意見」とも言えるようである。つまり、現在は、「西洋の物質文明」から「東洋の精神文明」への大転換期、すなわち、「社会全体の価値観が劇的に変化するパラダイムシフトの時期」に差し掛かっているものと考えられるからである。

そして、「生産性」の概念、すなわち、「一人の人間が、どれほどの産物や利益を産み出すことができるのか?」という認識についても、実際には、根本的な過ちが存在するものと感じている。具体的には、「20世紀の世界」が経験した「一次産業から二次産業、そして、三次産業から金融商品への変遷」のことであり、この時に重要なポイントは、「生産物」と「貨幣」が、大きく変化した事実とも言えるのである。

別の言葉では、「100年以上の歴史を持つ中央銀行が、マネーの膨張に関して、重大な役割を果たした事実」のことでもあるが、過去100年余りの期間は、「新たな『商品』の発明により、結果として、『銀行預金』や『市場による信用供与』などのマネー供与が可能な状況」だったのである。つまり、「フロー」である「実体経済」の成長に伴い、「ストック」である「マネー」の残高が急増したわけだが、この時の注意点は、「デリバティブ(金融派生商品)が創り出したデジタル通貨の存在」とも理解できるのである。

より詳しく申し上げると、現在の「世界的なインフレ」の真因としては、「金融界のホーキング放射」、すなわち、「金融のブラックホールで創られた巨額のデジタル通貨が、限られた実物資産へ入り始めた状況」が指摘できるのである。つまり、現在は、100年ほど前にシュペングラーが指摘した「貨幣の敗北、あるいは、崩壊の時代」に入っており、そのために、今後は、「生産性の概念」そのものが、役に立たなくなる時代が訪れるものと考えられるのである。

そして、これから予想される展開としては、「地位や名誉、そして、お金」などの「人爵」ではなく、「精神的な成長、そして、心の安定」などを求める時代であり、この時に役立つのが、現在の「11次元にまで進化した自然科学」とも考えられるのである。具体的には、「お金の謎」や「時間のサイクル」、そして、「心の謎」などが解明されることにより、「社会科学そのものが、四次元、あるいは、五次元の段階にまで発展する状況」であり、また、「技術の進化により、お金そのものが不要になる可能性」である。(2023.4.27)
 
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ランダムウォーク理論の問題点

今年で「47年目」を迎える「私自身の実践投資」について、過去を振り返ると、最も大きな妨げの一つとなったのは、やはり、「ランダムウォーク理論」だったようにも感じている。つまり、「今日の株価」から「明日の株価」への推移としては、いわゆる「正規分布」が想定されるというものだが、実際には、「シュペングラー」が指摘する「成ること」と「成ったこと」の違いの方が、現状を、よく説明しているものと思われるのである。

別の言葉では、「成ること」というのは、「明日の株価」に関する可能性であり、実際には、「ランダムウォーク理論」が指摘するとおりに、「小数点を含めると、無限の可能性が存在する状況」とも言えるのである。しかし、一方で、「成ったこと」、すなわち、「明日に達成された株価」というのは、当然のことながら「一つ」だけであり、また、「その他の全ての可能性が排除された状況」だったことも理解できるのである。

そして、このことが、私が考える「三次元と四次元との違い」のようにも感じているが、実際のところ、「三次元の世界」では、「理屈と膏薬はどこにでも付く」という言葉のとおりに、「どのような意見でも述べることが可能な状況」となっているのである。しかし、一方で、「四次元の世界」の厳しさとしては、「時が全てを証明する」という言葉のとおりに、「結果が一つしか存在しない状況」であることも見て取れるのである。

このように、「投資の実践」においては、「決して、油断せずに、常に真理を追い求める努力」が必要とされているものと考えているが、特に、今回のような「歴史的な大転換期」においては、より一層、この態度が求められているものと感じている。つまり、「米国の株式と金利」のように、「約40年間も、同じトレンドが形成されてきた状況」については、決して、「ランダムウォーク理論」で説明が可能な状況ではなく、反対に、「どのようなメカニズムが存在していたのか?」を解明する必要性があるものと考えられるのである。

別の言葉では、「歴史の全体像」に関して、「文明法則史学」が教えるとおりに、「1600年前まで、時代を遡りながら、今後、どのような展開が予想されるのか?」を考えることである。つまり、「シュペングラーの西洋の没落」や「村山節の文明法則史学」で指摘されているとおりに、「当時のローマ法が無視されるような状況」が発生する可能性であり、また、「貨幣の崩壊」により「民族の大移動」が発生する可能性でもあるが、現在の「世界的な金融混乱」を見ると、まさに、「誰もが予想しない規模の大混乱」が発生する可能性が高まっている状況のようにも感じている。(2023.5.1)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13038:230526〕