習近平の経済政策
現在は、「GDPが世界一位である米国の金融混乱」に市場の関心が集まっているが、今後は、「GDPが世界第二位である中国の経済混乱」にも人々が注目せざるを得ない状況とも言えるようである。つまり、現在の「習近平の経済政策」に関しては、「鄧小平の資本主義的経済運営」から、一挙に、「毛沢東の共産主義的経済運営」に大転換を迎えた状況となっており、そのために、現在の中国は、「1990年の日本のバブル崩壊」と「1991年のソ連崩壊」が、同時に押し寄せてきたような状況とも考えられるのである。
より具体的には、「日本の土地バブル」よりも「約4倍の規模にまで膨らんだ中国の不動産バブル」が崩壊したことにより、現在では、「大量の不良債権が、民間金融機関から中央銀行へと、急速に移行を始めた段階」とも想定されるのである。しかも、この時に注目すべき点は、「復活した東西冷戦構造」により、「中国が、西洋諸国から、金融面で切り離された状況」とも言えるのである。
つまり、「脱ドル化」を標榜して、「デジタル人民元」を「BRICS諸国」に普及させようとする企てについては、結果として、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手が消滅し、急速に、紙幣の増刷に迫られる展開」をもたらす可能性も予想されるのである。別の言葉では、「1997年から1998年に発生した西洋諸国の信用収縮」が、今後、「中国で、突然に発生する可能性」のことでもあるが、この時の問題は、「その後、西洋諸国が創り出したデリバティブ」が利用できない点とも考えられるのである。
そのために、今後の「中国経済」に関しては、「米国経済の苦境」と相まって、きわめて厳しい状況に陥るものと想定されるが、この原因としては、やはり、「1600年に一度の文明大転換」が指摘できるようである。つまり、現在の世界情勢に関しては、既存の常識では判断できず、より高次元の分析が必要な状況のようにも感じているが、実際には、「数百年前から研究されていたドイツ哲学」であり、また、「日本の村山節氏が発見した文明法則史学」などである。
そして、結果としては、「東洋哲学」が指摘する「世界が絶えざる進化と創造の過程にある状況」が、今後、より一層明らかになるものと考えているが、この点について、現在、必要とされることは、「西郷隆盛」が指摘するように、「温かい春の前には、厳しい冬の到来が必要であり、このことは神の摂理である」というような「天地自然の理」、あるいは、「神の摂理」などを深く理解することだと考えている。(2023.5.10)
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ジャニーズの闇
最近、「ジャニーズの闇」が、盛んにマスコミで取り上げられ始めたが、この点については、「現代社会の縮図」であるとともに、「ジャニーズバブルの崩壊」を表している状況のようにも感じている。つまり、今までは、「お金儲けのためなら、どのようなことでも許されるような雰囲気」であり、また、「取り巻きが絶対権力者に忖度して、不都合な真実を隠蔽する体質」だったものと理解できるのである。
別の言葉では、「組織内での出世のために、権力者に取り入る必要性が存在する可能性」のことでもあるが、この点については、「複雑系」が指摘する「組織の秩序化と崩壊」が当てはまる状況とも言えるようである。つまり、どのような組織、あるいは、文明においても、前半の発展期は、「秩序だった成長」という特徴が存在するものの、後半の崩壊期においては、「腐敗や形骸化」という特徴に変化する状況のことである。
より詳しく申し上げると、「戦後の日本」では、最初に、「実体経済の成長」という時期が存在し、この時には、「実力者が組織の長となる傾向」が存在したものの、その後、「経済の金融化」の期間では、「外交よりも内交」、あるいは、「舌平目という名の上司の動向だけを気にする社員の増加」というような特徴が見られたのである。つまり、「日本における組織の弱体化」が進展したわけだが、この点については、「明治維新以降の軍事的な社会」においても、同様の状況だったものと考えている。
このように、今回の「ジャニーズに関する報道」については、「単なるスキャンダル」ではなく、「時代の転換期」を象徴する意味合いを持っている状況のようにも思われるが、今後の注目点としては、今までの「熱狂的なファン」が、今後、どのような変化を見せるのかだと感じている。つまり、「愛情」や「尊敬」などの想いが、今後、どのような変化を見せるのかということでもあるが、実際には、この点が、「マネーの消滅」にも応用が可能な状況のようにも思われるのである。
具体的には、私が想定する「神から紙への変化」、すなわち、「神様と崇められていたデジタル通貨が、間もなく、単なる紙屑へと変化する可能性」に関して、今回の「ジャニーズの闇」が参考になる可能性のことである。別の言葉では、「バブルの崩壊後に、マスコミが一斉にバブルを攻撃する態度」が、今回も繰り返される可能性に注目している状況でもあるが、これから必要とされることは、「ジャニーズ」のみならず、「日本の金融政策」においても、「当事者が、素直に実情を暴露する態度」とも言えるようである。(2023.5.13)
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基軸通貨国の恩恵
現在、海外では、「世界的なドル離れ」が話題になるとともに、「米国が、今まで、基軸通貨国としての恩恵を、どれほど受けてきたのか?」に注目が集まっているが、この点には、大きな違和感を覚えている。つまり、今から30年ほど前の「1990年代」に、「米国における双子や三つ子の赤字」が議論されるとともに、「シティバンクなどのメガバンクが、倒産の危機に追い詰められていた状況」だったからである。
別の言葉では、「基軸通貨国であるはずの米国」が、世界的な信用を失った結果として、「ドル安」のみならず、「金融システム不安」にも見舞われていたのだが、その窮状を救ったのが、「デリバティブの大膨張」だったのである。具体的には、「2000年前後に約8000兆円の規模」だったものが、その後、「2008年前後に約8京円」という「10倍程度の規模」にまで大膨張した展開のことである。
より詳しく申し上げると、「メガバンクを中心にして、オフバランス(簿外)で、OTCデリバティブを大膨張させることにより、大量の金融商品とデジタル通貨を産み出した状況」のことでもあるが、この結果として発生したのが、いわゆる「DX革命」や「GAFAMなどの巨大企業の成長」だったことも見て取れるのである。つまり、「米国の復活」が、「デリバティブの急拡大」によってもたらされたわけだが、不思議な点は、現在でも、この点が指摘されず、また、「デリバティブ」そのものが隠蔽されている状況のようにも感じられる事態である。
このように、「基軸通貨国の恩恵」として考えられる点は、「デリバティブの大膨張」が実現可能だった事実であり、決して、「ドル高」や「低金利」などが無条件で達成可能な状況とは言えないようにも感じている。別の言葉では、現在の中国が、次の基軸通貨国を目指そうとも、「軍事的、あるいは、経済的な強さ」などが欠如することにより、決して、実現可能な状況とは思われないのである。
より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国」、あるいは、「現在の米国や100年ほど前のイギリス」などのように、「パックスロマーナ」、あるいは、「パックスブリタニア」や「パックスアメリカーナ」などと呼ばれるような時代は、「西洋文明の末期に、巨額の貨幣が積み上げられたことが、必要不可欠の要因として指摘できる状況」とも言えるとともに、今後は、「大都市における貨幣と知性の時代」の終焉であり、また、「東洋の唯心的な文明」が始まる展開が想定される状況のようにも感じている。(2023.5.14)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13066:230610〕