春と修羅
宮沢賢治の「春と修羅」という詩には、現在、大きな刺激を与えられているが、その理由としては、「肉眼と心眼との違い」、そして、「人知と天智の違い」などに関して、私自身の「心の仮説」と同様のことが述べられているようにも感じられたからである。つまり、「わたくしという現象」という表現は、「肉体を持った人間が、人知や肉眼により、さまざまな不条理を経験する姿」を意味しているものと考えられるのである。
しかし、一方で、「仮定された有機交流電燈」という表現により、「神様と人間との関係性」が述べられているようにも感じられたが、具体的には、「神様が創った大自然」、すなわち、「138億年の歴史を持つ大宇宙」と「46億年の歴史を持つ地球」において、「時間とともに、大自然が、どのようにして進化したのか?」、あるいは、「数万年に誕生した人類が、大自然の中で、どのような社会を産み出したのか?」ということである。
別の言葉では、「自然科学」に関しては、ご存じのとおりに、「ニュートンの力学」により、「四次元の段階」にまで進化し、現在では、「量子理論」などにより、「11次元」にまで発展したと言われているのである。しかし、一方で、「社会科学」に関しては、いまだに「お金の謎」も解けず、また、「時間とともに、どのような空間が発展するのか?」も理解できず、「三次元の段階」に留まっているものと考えられるのである。
そして、このような状況が「修羅」という言葉に集約されているようにも感じられたが、実際のところ、この点を「心眼」や「天智」から考えると、「未熟な人類が、さまざまな苦労を味わうことにより、精神的なレベルの上昇を遂げている状況」とも理解できるのである。別の言葉では、「心眼」では、「悲母観音が、涙ながらに、人類の成長を見守り、慈しんでいる状態」が見えながらも、「肉眼」では、「神も仏もあるものか」と思われるような「現実」が存在する状況のことである。
より詳しく申し上げると、仏教を深く学んだ「宮沢賢治」にとっては、「4次元や5次元の社会科学」が、「因果の時空制約」という表現に著わされているように、ある程度、理解できていたものと考えられるのである。そして、この問題については、「心象や時間それ自身の性質として第四次延長の中で主張されます」と述べられているように、「未来の人類が、さまざま問題を解決する姿」が見えていたようにも感じられるが、実際には、「量子理論や人工知能などの応用により、軍事費などがゼロになる、効率的で平和な社会の到来」とも言えるようである。(2023.5.30)
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マイナスのレバレッジ効果
現在は、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務」という「目に見えない金融ツインタワー」が、急激なスピードで崩壊中であり、間もなく、この点に関する大事件の発生も想定されるようである。そして、この時に、最も大きな役割を果たすのが、「マイナスのレバレッジ効果」だと思われるが、この点に関して参考になるのが、「日本の土地バブル崩壊」の時に発生した「時価総額の急激な膨張と収縮」とも言えるようである。
つまり、当時の状況としては、「1985年から1990年までの約5年間」で、「日本の土地の時価総額が、約600兆円から約2400兆円にまでの急増を見せた」と言われたほどのバブルが形成されたのである。別の言葉では、「日本の土地を売れば、日本以外の全世界の土地が買える」と言われたほどの状況でもあったが、この時に思い出されるのが、「時価総額の落とし穴」である。
具体的には、「全体の約3%程度の土地が、実際に売買された」という状況でありながら、「残りの97%の土地保有者が、『絵にかいた餅』とも言える未実現利益に酔いしれた状態」である。そして、「バブルの崩壊」とともに、「絵に書いた餅が雲散霧消した」という展開となったのだが、この点を、数字で表すと、「600兆円÷30=20兆円」から「2400兆円÷30=80兆円」というように、「60兆円の資金が投入されただけで、全体の時価総額が1800兆円の増加を見せた」という計算になるのである。
そして、この計算方法を、現在の「世界的な土地やデリバティブ、そして、債権のバブル」に当てはめると、きわめて巨額な「未実現利益」が存在する状況とも考えられるのである。別の言葉では、「世界的なバランスシート不況の凄まじさ」に恐怖心を抱かざるを得ない状況とも思われるが、今後の問題は、「マイナスのレバレッジ効果が、これから、どれほど働くのか?」だと感じている。
具体的には、「デリバティブと債券のバブル崩壊により、世界のG-SIBsが危機的な状態に陥る可能性」であり、また、「世界各国の中央銀行が、一斉に、CBDCの大量発行を行う可能性」である。つまり、「あると思っていた世界の資金が、一斉に雲散霧消することにより、新たな中央銀行デジタル通貨が発行される状況」であり、このような状況下では、「80億人の換物運動」、すなわち、「早い者勝ちで、生活に必要な食料などの物資を奪い合う状況」が考えられるようである。(2023.5.31)
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米国の債務上限問題
懸案だった「米国の債務上限問題」については、ご存じのとおりに、「2025年1月までのサスペンション(一時的な停止)」という結論に落ち着いたが、この結果として湧き上がってきた議論は、「1971年のニクソンショックと似たような結論だったのではないか?」というものだった。つまり、1971年当時は、「金本位制」が採用され、「金とドルとの交換」が可能な状況でもあったが、実際には、「ベトナム戦争」で軍事費を使いすぎた「アメリカ」に対して危機意識を持った「フランス」や「ドイツ」などが、「ドルではなく、金(ゴールド)による支払いを求めた」という状況だったのである。
しかし、当時のアメリカとしては、「金(ゴールド)による支払い」が難しかったために、結果として、「一時的な停止」が宣告されたわけだが、このことが、有名な「ニクソンショック」と呼ばれるものだったのである。つまり、本来は、「短期間で金本位制に戻るはずだった」という状況が、実際には、「50年以上も、一時的な停止が継続されていている状態」となっていることも理解できるのである。
そのために、今回の「米国の債務上限問題」に関しても、「ニクソンショックと同様に、長期間にわたり、サスペンションが実施されるのではないか?」という危機意識が蔓延すると同時に、「これ以上の時間稼ぎは不可能である」という認識が広まっている状況となっているのである。つまり、「米国の中央銀行であるFRBが、最後の手段に訴え始める可能性」のことでもあるが、実際には、「CBDC(中央銀行デジタル通貨」の発行」、あるいは、「紙幣の増刷」のことである。
別の言葉では、「1923年のドイツ」などと同様に、「ハイパーインフレで国家の借金を棒引きにする政策」のことであり、現在では、この結果として、「巨額の資金が、貴金属の現物を大量購入し始めた状況」となっているのである。つまり、「LME(ロンドン金属取引所)」や「COMEX(シカゴ・マーカンタイル取引所)」、あるいは、「上海先物取引所」などで、「大量の貴金属が現引きされている事実」が確認されているのである。
より詳しく申し上げると、「中央銀行」のみならず、「機関投資家」や「個人の富裕層」までもが、「貴金属の現物を保有し始めた状況」となっており、このことは、「米国」、そして、「世界各国で、ハイパーインフレが発生する可能性」が危惧されている状況とも考えられるが、この点に関する問題点は、やはり、「日本で、ほとんど、この議論が行われていない事実」とも言えるようである。(2023.6.5)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13101:230630〕