本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(418)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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産業革命と中央銀行

現在の世界情勢としては、「ハイパーインフレ」の発生により、「東西文明の交代」が始まる局面に差し掛かっているものと思われるが、この点に関する興味深い事実としては、「時間的なサイクルが半減する法則」が挙げられるものと感じている。具体的には、「400年ほど前の西暦1600年前後に『時は金なり』という認識が誕生し、それから約200年後に産業革命が発生し、実体経済の成長が始まった展開」のことである。

そして、「100年ほど前から、世界各国で中央銀行が誕生し、マネーの大膨張が始まった状況」であり、また、「その半分の期間である約50年前から、信用本位制と呼ぶべき通貨制度が誕生した状況」だったことも見て取れるのである。しかも、この点については、「戦後の26年サイクル」のとおりに、更なる「サイクルの半減期」が存在している状況のようにも感じているが、実際には、「2010年前後にデリバティブの大膨張が終焉し、その後、中央銀行のバランスシート大膨張、及び、リフレーション政策である量的緩和(QE)が始まった展開」のことである。

つまり、「マネー残高のスパイラル的な膨張」が産み出したものは、「社会情勢の加速度的な変化」だったものと思われるが、実際には、「大都市化の加速」であり、また、「知性と貨幣への、人々の過剰な信頼感」のことである。別の言葉では、私が作成した「心の座標軸」において、「人々の興味と関心、そして、行動が、『目に見えるもの』と『自分』に向かった状況」のことであり、このような「志(心指し)」が産み出す社会は、前述のとおりに、「1600年に一度の大都市」とも理解できるのである。

より具体的には、「パンとサーカス」であり、また、「スポーツ選手の高額給料」などのことでもあるが、この理由としては、やはり、「1980年代の初頭から始まった、デリバティブの大膨張、そして、世界的な金利低下」などが指摘できるようである。ただし、現在では、「西洋文明の絶頂期が、すでに終了した可能性」も想定されるために、今後は、「金融システムや中央銀行の破綻」、そして、「世界各国の財政破綻」を象徴する「世界的なハイパーインフレ」に備える必要性があるものと感じている。

別の言葉では、「世界的な信用消滅」がもたらす「デジタル通貨の無力化」、すなわち、「デジタル通貨が神的な存在から、単なる紙切れに変化する展開」のことでもあるが、現在では、「この事実に気付いた人々が、慌てて、貴金属などの実物資産を購入し始めた状況」のようにも感じている。(2023.6.12)
 
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共産主義国家の実情

現在の「ロシア」や「中国」などを見ると、「共産主義国家とは、いったい、どのような役割を持っていたのか?」という疑問を持たざるを得ない状況でもあるが、実際には、「資本主義の崩壊後に共産主義の時代が訪れる」というような「妄想」、あるいは、「誤解」を基に築かれた「軍事力を背景にした帝国主義的な資本主義国家」だったようにも感じている。つまり、「西暦1800年前後から始まった資本主義」に関して、「最後の段階で、資本主義社会の仲間入りを果たした状況」でありながら、現在では、「共産主義の語源であるコミュニティーそのものを崩壊させようとしている状況」のことである。

より詳しく申し上げると、現在の「新たな冷戦構造」については、「2010年前後にピークを迎えたグローバル共同体を崩壊させる役目」を果たすとともに、「2022年から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻」については、「同一民族同士の戦い」というように、「国家共同体を、更なる分裂に導く役割」を持っているようにも感じられるのである。別の言葉では、「共同体の規模縮小」に関して、いろいろな役割を持っている状況とも思われるが、この事実から導かれる「今後の注目点」としては、「資本主義」を象徴する「貨幣」の崩壊が、「共産主義国家を、これから、どのような方向に導いていくのか?」だと考えている。

より具体的には、今後の問題として、「資本力を背景にした軍事力が、今後、どの方向に向かうのか?」という点が指摘できるが、実際には、「他国への侵略」ではなく、「国内の争乱」を引き起こす可能性が憂慮される状況とも感じられるのである。つまり、「世界的な信用消滅がもたらすハイパーインフレ」により、「先進各国のみならず、中国やロシアまでもが、未曽有の金融混乱に巻き込まれる可能性」であり、このような状況下では、「軍事力が国家を分裂させる役割を持つ可能性」が危惧される状況のようにも思われるのである。

より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国」と同様に、「法治国家の象徴だったローマ法などが使われなくなるような展開」を見せる可能性であり、また、「数多くの小さな共同体に分裂した社会で、徳治国家が展開される可能性」のことである。つまり、「唯物論を基にした西洋文明」から「唯心論を基にした東洋文明」への移行の始まりであり、この時に、最も重要な役割を果たすのが、やはり、「共同体の規模」、そして、「マネーの残高」のようにも感じられるのである。また、同時に考えなければいけない事実は、やはり、「11次元にまで進化した自然科学が、三次元に留まっている社会科学に対して、きわめて大きな影響力を行使する可能性」とも言えるようである。(2023.6.13)
 
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国債と金を巡る最後の攻防戦

世界の金融市場では、現在、「国債と金(ゴールド)を巡る最後の攻防戦」が繰り広げられている状態とも思われるが、実際には、「西洋の先進各国が、国債の価格暴落を防ぐために、金利を上げている状況」のことであり、また、一方で、「中国やロシアなどのBRICs諸国は、国債価格の暴落とともに、世界的な金融システムの崩壊が起こる可能性を想定し、大量の金(ゴールド)を買い付けている状況」のことである。

そして、このことが、私が想定する「金融を武器にして展開された第三次世界大戦」だったものと考えているが、この点についても、「間もなく、決着が付くのではないか?」と考えている。つまり、現在では、多くの投資家が、「金価格の暴騰」と「国債価格の暴落」を待っているような状態であり、また、「世界的に政府が取れる金融政策が限られている状態」であることも、各国で理解され始めているからである。

より詳しく申し上げると、「過去20年ほどは、G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)が、オフバランス(簿外)で大量のデリバティブを保有し、さまざまな市場価格のコントロールを行ってきた」という状況だったのである。しかし、現在では、「デリバティブが創り出したデジタル通貨」が使い尽くされるとともに、世界の資金が金融商品から実物資産へと移行を始めたことも見て取れるのである。

つまり、現在では、「未曽有の規模の巨大な資金が、きわめて小さな実物資産の市場へ流れ出し始めた状態」となっているために、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」に関しては、想像を絶するような規模となる可能性が危惧されているのである。別の言葉では、「デリバティブの崩壊」が隠蔽可能な状況下では、「世界の資金が実物資産へ移行する事実」が、多くの人々に理解されていなかったものと理解できるのである。

ところが、現在では、「大量の資金が貴金属市場に流れ始めるとともに、世界各国の中央銀行のみならず、機関投資家や富裕層などが、大量の金や銀などを現物で保有し始めた状況」となっており、このことは、多くの人々が、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」に備え始めた段階とも言えるのである。しかしながら、「日本では、このことが、ほとんど理解されない状況」、すなわち、日本人だけが、「水茹での蛙」の状態となっており、そのために、「世界の金融市場で、どのようなことが起こっているのか?」を理解していないようにも感じられるが、今後の注目点は、やはり、「日本のゼロ金利やマイナス金利が解除された時に、どれほどの混乱が発生するのか?」だと感じている。(2023.6.14)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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