生成AIの活用法
現在、「生成AIの可能性や問題点」などについては、世界的な議論が活発に行われている状況でもあるが、この点について、私自身は、「日本の将棋界」が参考になるものと感じている。つまり、以前、「プロ棋士とコンピューターとの対決」が実施されていた頃には、「プロの騎士がコンピューターに勝つことができず、将棋界そのものが消滅するのではないか?」と考えていたが、実際の状況としては、反対に、「藤井七冠の登場により、将棋界の進歩に繋がった」という展開となったことも理解できるのである。
具体的には、「将棋における以前の定石」が通用しなくなるとともに、「最善手を求める動き」が活発になったわけだが、このことは、「今後の人間社会にも当てはまるのではないか?」とも想定されるのである。つまり、「現在の経済や社会が、どのような経過を経て成立したのか?」を考える「四次元の経済学や社会科学」から言えることは、「マネーの膨張により、経済全体に遠心力が働いた可能性」、すなわち、「共同体の規模が大きくなった結果として、さまざまな新しい職業が誕生した状況」とも理解できるのである。
より詳しく申し上げると、「共同体の規模拡大に伴い、一次産業から二次産業、そして、三次産業から金融業の発展」へとつながったことが見て取れるが、現時点で必要なことは、「生成AIができる仕事」と「生成AIが作れる商品」とを分けることだと感じている。つまり、「過去100年余りの経済発展」を考えた場合に、「さまざまな商品が産み出され、また、いろいろな職業が誕生した状況」でもあったが、今後の注目点としては、「どのような職業、そして、商品が生き残るのか?」を考えることのようにも思われるのである。
具体的には、「戦争」や「他国への侵略」などへの従事は、「地球温暖化に晒されている人類」にとって「全く不要の職業」のようにも感じられるとともに、反対に、「既存の技術を利用し、また、世界全体の力を合わせながら、人類が生き延びる方法論を考えること」が重要なポイントとも思われるのである。そして、この時に、大きな役割を果たすのが、「量子理論」や「分子生物学」、そして、現在の「生成AI」のようにも思われるのである。
つまり、現在の「さまざまな混乱」についても、結局は、「人類の絶えざる進化と発展に必要な出来事である可能性」も指摘できるために、短絡的な結論を導き出すのではなく、より長期的な観点から考慮する必要性があるものと感じているが、この時に、大きな力を発揮するのが、「人類の言語や行動などが、どのようにして発展してきたのか?」を考える「高次元の社会科学」とも想定されるのである。(2023.7.24)
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日本のプライマリーバランス
7月25日に発表された「国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)」については、今までの「日本国民に対して安心感を与えようとする思惑」が効果を失うとともに、「水茹での状態に陥っていた日本国民に対して、危機感を与え、覚醒を促した効果」の方が強かった状況のようにも感じている。つまり、「なぜ、世界において、日本だけでマイナス金利が実施されているのか?」を考えさせられるとともに、「円安がもたらす日本国家の体力低下」などに関して、いろいろなヒントがもたらされたものと想定されるからである。
より具体的に申し上げると、今までは、「マイナス金利による見えない税金」が徴収され、また、「円安の進行」により、「日本の民間部門の体力」が失われてきた状況だったことも見て取れるのである。つまり、「虎の子」の状態となっていた「約1000兆円の個人預金」についても、「一ドルが100円の時に、約100兆ドルだった残高が、現在の一ドルが140円という状況下で、約71兆ドルにまで目減りした状況」となっており、このことは、「日本国家の体力や資産」に関して、「国家の財政危機を救うために、日本国民が犠牲になってきた状況」とも理解できるのである。
そして、今後は、「78年前の敗戦時」と同様に、「危機感を抱いた日本人が、急速に意識と行動を転換させる展開」が想定されるが、実際には、「インフレ(通貨価値の下落)に怯えた人々が、慌てて、換物運動に走り出す可能性」である。つまり、現在、米国で危惧されている「金利上昇で金利の支払い負担が急増する可能性」に関しても、「日本の方が、はるかに危機的な状況である事態」が、今後、広く認識されるものと考えられるのである。
そのために、今後は、「円安や金利上昇に怯えた日本人が、パニック状態に陥る可能性」も危惧されるわけであり、この理由としては、今回の「内閣府のレポート」のとおりに、「利払い費用を除いたプライマリーバランスでさえ、2025年度でも赤字が継続される事態」への危機意識が挙げられるものと感じている。つまり、現在の「インフレによる税収増」と、これからの「金利上昇による財政負担増」を単純計算すると、今後、「国家や日銀のバランスシートと財政状態」に、大きな歪みが出る事態も想定されるのである。
別の言葉では、現在の「マイナス金利がもたらしている国家財政の一時的な安定状態」に関して、間もなく、「今までのツケを払わざるを得なくなる事態」が訪れる可能性のことでもあるが、実際には、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手が消滅し、債務の貨幣化という財政ファイナンスの実施を迫られる状態」のことである。(2023.7.26)
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米国金利の行方(改訂版)
米国では、2か月ぶりに、「0.25%の利上げ」が実施されたが、この点に関する意見として驚かされるのは、「今後、景気の悪化により、利下げが実施される」というものである。つまり、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」の時と同様に、「急激な利下げが実施される可能性」が期待されているようだが、この問題を考える時に参考になるのが、以前に使われた「家計の例え」だと感じている。
具体的には、「国家の歳出と歳入、そして、債務残高を家計に例える方法」のことであり、実際には、「日本の国家財政」が「600万円の年収、そして、1200万円の支出の家が、1.2億円の借金を抱えているような状況」のことである。そして、この方法を、現在のアメリカに応用すると、「年収が840万円、そして、支出が980万円で、しかも、3000万円の借金を抱えているような状況」とも言えるようだが、この時の問題点は、やはり、「デリバティブという隠れ借金の存在」とも理解できるのである。
このように、「日米の国家財政」に関しては、他の先進諸国と同様に、「決して、安心できるような状態」ではなく、反対に、「金利上昇と景気悪化により、資金繰りに問題が発生する可能性」も想定されるのである。つまり、今後は、「収入が減りながら、金利負担が増える展開」が指摘できるために、「決して、借金の金利低下が可能ではない状態」、あるいは、「高利貸しに借金を依頼せざるを得ないような状態」とも理解できるのである。
別の言葉では、「国債の買い手」が消滅し、「債務の貨幣化」、すなわち、「国家の債務を中央銀行の紙幣や通貨に置き換える方法」である「財政ファイナンス」が実施される事態までもが想定される展開のことである。つまり、今までは、「国債の魅力増加のために、利上げが実施されていた状況」だったものの、今後は、「国債価格の暴落により、市場金利の急騰が危惧される展開」も予想されるのである。
より具体的には、「デリバティブのバブル」が崩壊し、「G-SIBs(グローバルな金融システム上重要な銀行)の破綻が発生する可能性」でもあるが、この時に、重要な役割を果たすのが、「7月末から始まったFedNowという決済システム」だと考えている。つまり、「デリバティブや国家債務を、中央銀行が肩代わりする方法」とも想定されるために、今後の注目点は、「世界中の人々が、いつ、この事実に気付き、どのようにして換物運動が発生するのか?」とも思われるが、時間的な余裕がなくなった現在では、「一刻も早く、資産の一割程度を貴金属で保有すること」が必要な状況のようにも感じている。(2023.7.27)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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