干支から見る2024年
「2024年」は「甲辰(きのえ たつ)」という暦となるが、「甲」に関しては、「十干」の始まりであるとともに、「貝割れ」、すなわち、「その後の十年間に関して、新たな芽が出る状態」を意味している。また、「辰」については、「震」や「振」に繋がることにより、「金融面での激震」や「人々が事件などに振り回される展開」を表しているが、実際には、「デリバティブの破綻が引き起こす世界的な金融大混乱」により、「世界中の人々が、大きな変動に見舞われ、大きく振り回されるような状態」も想定されるようである。
また、このような大混乱が発生する理由としては、「大膨張した世界的なマネーの存在」が挙げられるが、この点を理解するためには、「シュペングラーの西洋の没落」や「村山節の文明法則史学」などを理解する必要性があるものと考えている。具体的には、「共同体の規模拡大によりマネーの残高が増えてきた歴史」のことでもあるが、現在は、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時と似たような状況」とも考えられるのである。
つまり、「マネーの大膨張が限界点に達するとともに、財政赤字とインフレに悩まされ始めた状態」のことでもあるが、その後は、「ローマ法の無力化」が示すとおりに、「476年の西ローマ帝国崩壊」に向かい始めた状況だったことも見て取れるのである。別の言葉では、過去200年余りの期間、「資本主義」という言葉が示すとおりに、「資本」という「お金」が、「主義」という「最も大切なものである」と理解された結果として、「お金の残高が、実体経済の約10倍規模にまで大膨張した状況」となったのである。
そして、このような状況下で発生する現象は、シュペングラーが、100年ほど前に指摘したとおりに、「大都市における知性と貨幣の発生」であり、実際には、「大膨張したマネーの奪い合いのために、さまざまな手段が行使される状況」のことである。つまり、「人知」を象徴する「国家の法律」が、「天地自然の理」を表す「天や神の法」よりも重要視される事態となった結果として、社会全体が崩壊に向かう状況のことである。
別の言葉では、400年ほど前から始まった「自然科学」における次元上昇に対して、現在、「社会科学における次元の上昇」が不足している事態のことである。具体的には、それまでの「天動説」が「地動説」に転換するとともに、「ケプラーからニュートンへの移行」などにより産み出された「技術的な進化」が、反対に、世界全体を崩壊させる可能性でもあるが、今後は、「唯心論を基本的な価値観とした東洋文明」の発展により、「自然科学に見合うだけの精神的な成長が、人類全体に及ぶ変化」も想定されるようである。(2023.12.4)
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リーマンショック前との相違点
驚いたことに、現在、多くの人々が、「リーマンショック前との類似性」を議論しているが、実際には、「不良債権が民間から中央銀行へ移行した状況」が指摘できるとともに、これからの重要なポイントは、「金利よりも資金量の理解」だと考えている。別の言葉では、「リーマンショック以降の約15年間」に関して、「多くの人々が、金融システムにおける変化を理解していなかった状況」の結果として、「今後の金融大混乱に対する対応に関して、大きな間違いが生じる可能性」も危惧されるのである。
より詳しく申し上げると、「リーマンショック」に関しては「金融界の大地震」であり、実際には、「それまで大膨張してきたデリバティブが、成長の限界に突き当たるとともに、収縮を始めた状況」だったことも見て取れるのである。つまり、「民間金融機関のオフバランス(簿外)で大膨張したデリバティブ」に問題が生じるとともに、「民間金融機関の破綻により、金融システムの崩壊懸念が発生した状況」のことである。
また、その結果として発生した変化は、「インフレの大津波が水面下で発生した状況」、すなわち、「中央銀行のバランスシート大膨張」であり、具体的には、「中央銀行が民間からの資金借り入れにより国債などを買い付ける方法」が取られ始めたのである。別の言葉では、「目に見えないインフレ税が、国民の気づかない方法により課され始めた状況」でもあるが、現在では、この方法にも限界点が訪れたものと理解できるのである。
つまり、すでに始まった「今回の世界的な金融大混乱」については、「中央銀行が、どのようにしてバランスシートを膨張させ、市場に流動性を供給するのか?」が問われている状況とも言えるのである。別の言葉では、過去15年間に実施されてきた「先進各国の量的緩和(QE)」に関して、「クラウディングアウト」と呼ばれる「国家による資金吸い上げがもたらす金利上昇」が発生したことも見て取れるのである。
そのために、これから想定される状況としては、「先進各国における債務の貨幣化」、すなわち、「財政ファイナンス」が実施される可能性であり、この点については、「1923年のドイツ」や「1945年の日本」、あるいは、「1991年のソ連」などと同様の状況とも理解できるのである。つまり、「水面下で進行してきたインフレの大津波が、誰の目にも明らかになる状況」でもあるが、今回の特徴としては、「一国だけではなく、世界全体の問題点」であり、このことは、「1600年前の西ローマ帝国崩壊と同様の状況」ともいえるために、これからの金融大混乱には、細心大胆の対応が望まれる状況だと感じている。(2023.12.8)
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幽霊の正体
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という諺のとおりに、「幽霊」という「得体の知れない不気味な存在」に関しては、「枯れ尾花」という「正体」が判明したときに、「恐怖心」が消滅することが理解できるが、この点は、その他の事例にも応用が可能だと感じている。具体的には、「共産主義と資本主義」に対する理解のことだが、実際のところ、「共産主義」については、現在の「中国」や「ロシア」の実情からも明らかなように、「独裁者が運営する資本主義国家」のようにも思われるのである。
そのために、現在の「中国の脅威」、すなわち、「台湾や日本を武力で進行する可能性」に関しても、現在の「ロシア」などと同様に、「実際の軍事行動」が始まると、「他国からの信頼感が失われ、経済的な不振と信用崩壊がもたらすハイパーインフレに繋がる可能性」も想定されるのである。別の言葉では、「実体経済の悪化」と「不良債権がもたらす金融混乱」などにより、「国民の不満」が高まり、その結果として、「1991年のソ連」のような展開となる可能性のことである。
また、「資本主義諸国」に関しても、同様に、「マネーの膨張が継続する限りは、金融システムに問題が発生しない状況」だったものの、現在では、「米国」や「日本」などで、「今後、誰が国債を買うのか?」という問題が発生しているのである。つまり、今までは、「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」や「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張」などにより、「大量のデジタル通貨がもたらす経済的な繁栄」を享受することが可能な状況だったのである。
しかし、現在では、「デジタル通貨が枯渇する可能性」が危惧されるとともに、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」と「約330兆ドルの世界債務残高」の「目に見えない金融ツインタワーが、ほぼ瞬間的に崩壊する可能性」も存在するのである。つまり、今後は、「信用を築き上げるには長い時間が必要であるものの、崩壊は、一瞬に発生する」という言葉のとおりの状況が発生するものと考えられるのである。
しかも、この点については、「村山節の文明法則史学」や「シュペングラーの西洋の没落」などで、すでに解説されるとともに、歴史的な事実が証明することでもあるが、より重要なポイントとしては、やはり、「単なるサイクル論」ではなく、「11次元にまで進化した自然科学を、どのようにして、3次元にとどまっている社会科学に応用できるのか?」について、世界全体で真剣に議論し始めることだと感じている。(2023.12.12)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13485:240112〕