日銀のデジタル円
「デジタル円の導入」に関する記事が、最近、マスコミを賑わし始めているが、この点に関する注意事項としては、「なぜ、現在、デジタル円などのCBDC(中央銀行デジタル通貨)が、世界的に必要とされているのか?」の理解が挙げられるものと考えている。つまり、「5000年から6000年の歴史」を持つといわれる「人類の通貨」において、「デジタル通貨が、どのような意味を持つのか?」を理解することである。
別の言葉では、「お金(マネー)とは、いったい、どのようなものなのか?」、あるいは、「どのようなメカニズムでマネーの大膨張が発生するのか?」などの理解でもあるが、今回の「デジタル通貨」に関しては、「先進各国の資金的なひっ迫」が根本的な理由として挙げられるものと感じている。つまり、いまだに隠蔽され続けている「デジタルバブルの崩壊」という「不都合な真実」を解決するために、「紙幣の増刷」ではなく、「世界的なデジタル通貨の発行」が目論まれている可能性のことである。
そして、この計画については、「マネーの性質」を無視した無謀な行為であり、その結果として、悲惨な結果をもたらすものと考えているが、その理由としては、以前から指摘している「80億人の換物運動」が挙げられるものと思われるからである。つまり、「お金(マネー)」は「人々の信用」を形にしたものであるために、今後、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入」と同時に、「世界中の人々が、受け取ったCBDCを、即座に実物商品に交換する動き」が始まるものと考えられるのである。
より詳しく申し上げると、「信用が完全に失われた、数多くの通貨の歴史」を紐解くと、「信用は一瞬にして崩壊する」という言葉のとおりに、「ほぼ瞬間的というタイミングで、人々が、一斉に、実物商品を買い求め始める展開」が見て取れるのである。別の言葉では、すでに失われつつあった「通貨の信用」が完全崩壊することにより、「貨幣の流通速度」が急上昇する展開のことでもあるが、現在の米国では、すでに、この動きが始まりつつある段階とも理解できるのである。
そのために、今後の注意点としては、「現在、世界的に、どれほどのお金(マネー)や負債、そして、どのような種類の商品が存在するのか?」を再確認しながら、「自分の生活のためには、どのような商品が必要不可欠なのか?」についても、改めて考えてみることでもあるが、実際には、「正月の地震」からも明らかになったとおりに、「食料品や水などの基本的な物資」であり、また、「実物資産と交換可能なマネー」のようにも感じている。(2024.1.11)
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リスク資産と安全資産
以前から違和感を覚えていたことに「リスク資産と安全資産との区別」が存在するが、具体的には、「国債は安全資産であり、国債への投資がリスクオフである」などの意見のことである。つまり、現在では、「1980年代初頭から始まった世界的な金利低下」により、いつの間にか、「国債は安全資産である」というような神話ができあがったものと思われるが、実際の状況としては、「現在のアルゼンチンなどの国々」や「敗戦直後の日本」など、数多くの国々で、「国債は『リスク資産』であり、また、『身の無き財産』である」と認識されていたことも見て取れるのである。
別の言葉では、「広義、あるいは、四次元のグレシャムの法則」のとおりに、「多くの人々は、これから値が下がると思われる資産を手放し、反対に、これから値上がりすると思われる資産を手元に置こうとする傾向」が存在するものと考えられるのである。つまり、現在では、「今まで値上がり、あるいは、値下がりし続けてきたから、これからもその傾向が継続するだろう」というような安易な認識のもとに、「リスク資産と安全資産との区別」がなされている状況のようにも思われるのである。
しかも、現在では、「DX 革命は永遠に継続する」というような「新たな神話」が出来上がっている状況のようにも感じられるが、その結果として発生した心理状態が、「半導体などのテック銘柄が安全資産である」という理解ともいえるのである。つまり、「何が安全資産で、何がリスク資産なのか?」が、現代人には、よく理解されていない状況のようにも感じられるが、この点については、「銘柄に惚れず、株価に惚れる」という投資の格言が参考になるものと考えている。
具体的には、「どのような銘柄でも、実態よりも値上がりすれば価値がなくなり、反対に、実態よりも値下がりしている場合には、価値が出る状況」のことであり、実際のところ、冒頭の「世界的な国債価格」に関しては、「借り手がデフォールト(債務不履行)の状態に陥ると、貸し手が保有する資産がゼロになるリスク」も存在するのである。
そのために、本来は、「裏側に借り手が存在しない資産」、すなわち、「カウンターパーティーリスクが存在しない資産」が、基本的には、「安全資産」とも考えられるが、「投資の実践」においては、往々にして、「値下がりしている場合には、貴金属までもがリスク資産として認識されていた状況」であり、そのために、これから必要とされることは、やはり、「現在、どの商品の価格に惚れるべきか?」の理解だと感じている。(2024.1.14)
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何でもバブルの最終章
現在の「日本株の価格高騰」については、「何でもバブルの最終章」が始まるサインの一つのようにも感じられるが、実際には、「ハイテクバブルの終了後に、貴金属や商品などの本格的なバブル相場が始まる可能性」のことである。別の言葉では、「世界的なハイパーインフレの発生」が危惧される状況のことでもあるが、この理由としては、やはり、「2009年前後から始まった世界的な『何でもバブル』の存在」が指摘できるようである。
より詳しく申し上げると、「2008年前後にピークを付けた世界的なデリバティブのバブル」については、その後、「バブル崩壊を隠そうとする思惑」の存在により、時間をかけて、「QE(量的緩和)」や「YCC」など、さまざまな金融政策が実施されてきた状況だったことも見て取れるのである。つまり、「中央銀行のバランスシート大膨張」に関して、「民間部門からの資金借り入れ」により実施されてきたわけだが、その結果として発生した現象が、「金融ピラミッドにおけるメルトダウン」、すなわち、「国債や不動産、あるいは、株式などの価格上昇」だったものと考えられるのである。
しかし、現在では、最も出遅れていた「日本株」、しかも、「PBRが1倍割れの割安株」などにも資金が集まり始めているために、これから想定される展開は、「デリバティブのバブル崩壊を象徴するような大事件」の発生と「金融市場における価格コントロール」の終焉とも思われるのである。つまり、「世界的な国債のバブル」については、現在、辛うじて、「国債の買い手」が存在する状況でもあるが、今後は、「世界的な財政ファイナンス」の実施により、「国債価格の暴落」と「金利の急騰」、そして、「本格的な紙幣の大増刷、あるいは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」が始まる可能性も想定されるのである。
別の言葉では、「マネーの性質」である、「ハイパーインフレによる発散」、あるいは、「大恐慌による銀行の連鎖破綻」などの方法で「マネーの残高が減少する事実」が、世界的に認識され始めるものと思われるが、現在では、まさに、そのような局面に差し掛かろうとしている状況のようにも感じられるのである。
つまり、「米国」を中心にして、「国債の買い手」が見つかりにくくなっており、その結果として、「中央銀行の財政ファイナンス」が、世界的に始まる可能性のことでもあるが、そのために、現時点で必要なことは、「現代のマネーが単なる数字に過ぎない」という事実を理解しながら、「できるだけ多くの貴金属や商品、そして、食料などの実物資産」を保有することだと考えている。(2024.1.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion13540:240209〕